売却コラム
マンション売却コラム

「言えばよかった瑕疵告知」

お取引にあたりお客様からいただく質問の中で、

「瑕疵とはなんですか?」

「告知事項はどのようなものを指すのでしょうか?」

「どこまでが告知事項なんですか?」という声をいただくことがよくあります。

今回はこの「瑕疵の告知義務」についてお話ししたいと思います。

1.「瑕疵」(かし)とは

2.「瑕疵」の種類

①物理的瑕疵

②心理的瑕疵

3.その他:判断材料としての周辺施設等

4.「瑕疵」の告知義務

5.まとめ

1.「瑕疵」(かし)とは

不動産売買においては売主様と買主様はお取引を行う際、社会生活上一般的に期待されている信頼を裏切らないようにお互いに誠意をもって行わなければならないとされています。

一般的に「瑕疵」とは、売買の取引をする際に
「売主様からその情報を聞いていたら、この取引はしなかったですよ。」
と買主様が感じる内容のものを指します。

2.「瑕疵」の種類

マンションに限らず、不動産を売却するときに物件に「瑕疵」がある場合には、「物件状況等報告書」を通じて売主様は買主様に告知する義務があります。その瑕疵には、大きく分けて以下2種類があります。

①物理的な瑕疵

②心理的な瑕疵

それぞれについて詳しくご説明します。

①物理的瑕疵

一戸建て住宅の場合は、柱や基礎などの構造部分が欠損していたり、シロアリの害や雨漏りなどによる腐食、給排水管の詰まりや故障などが該当します。

マンションですと、雨漏りやシロアリの害や給排水管の詰まりや故障、上階からの水漏れ、などが該当します。

また、土地についても、地中に廃材などが埋められたままになっていたり、有害物質を含む土壌汚染、極端な軟弱地盤であることなども該当します。

つまり、物理的瑕疵をわかりやすく言うと、“物質的な欠陥”になります。

物理的瑕疵は、現地を確認したり専門家の調査などによって把握することができ、大概の欠陥は補修で直すことが可能です。

売主様が上記のような瑕疵を認識していた場合、「物件状況等報告書」に明記することになっており、告知を行うことにより、これらの物理的瑕疵に対しての瑕疵担保責任を負わずに済むようになります。

また、万が一引渡し後に欠陥(瑕疵)が発覚した場合の措置については、売買契約書に「売主の瑕疵担保責任」が明記されており、買主様に対する一定の保全措置が講じられています。

なお、壁クロスの剥がれやフローリングの擦り痕など、日常生活で生じる軽微なキズや損耗は、瑕疵とは見なされません。

②心理的瑕疵

心理的瑕疵をわかりやすく言うと、購入者が心理的に嫌悪感を憶える要因を指します。

例えば、過去に物件内や近隣で発生した自殺・事故・事件(殺傷事件・強盗・空き巣)や近隣間トラブル、迷惑行為(奇声等)などが該当します。

また、過去に発生した火災・漏水・洪水による浸水・火災による二次的な浸水等が該当します。

これらの他にも、近年では近所にゴミ屋敷や騒音トラブルなどの迷惑行為を起こす人がいる場合も、心理的瑕疵と認識されるようになっているようです。

心理的瑕疵についても物理的瑕疵と同様、「物件状況等報告書」に明記することになっており、告知を行うことにより、瑕疵担保責任を負わずに済むようになります。

物理的瑕疵と心理的瑕疵の違いは、修繕等で問題が解決できるか否かということになります。

3.その他:判断材料としての周辺施設等

また、反社会的勢力の活動拠点や火葬場などの施設が近くにあるといった周辺環境に影響を及ぼすと思われる施設等は購入の際の判断材料となります。

周辺施設についてはもう少し書いておこうと思います。いろいろあってきりがないのですが
道路・電車・踏切・バス停・飛行機の騒音・

工場・店舗・救急病院・消防署・

宗教施設・学校・幼稚園・保育園・運動施設・公園(大小関わらず)、

厩舎・養鶏場・養豚場等

パチンコ店・競馬場・競輪場・ボートレース場、そのほかギャンブル関連施設、

風俗関連施設、

高圧線、送電施設、変電所、原子力関連施設、

廃棄物処理施設、下水処理施設、

米軍施設・自衛隊関連施設、
河川、海
人によっては気になる部分かと思います。

しかし周辺施設に関しては、購入する前に、買主が確認できることなので大きな問題にはなりませんが、心理的瑕疵については見て確認できるものではないので、告知義務が発生するのです。

4.「瑕疵」の告知義務

ご自身の為にも全て正直に告知してください。

物理的瑕疵であれば売主様の知りうる範囲で修繕が終わっていたとしても具体的に買主様にお伝えいただく(物件状況等報告書に記載する)のが一番です。

買主様の立場に立って考えていただければ理解できると思いますが、正直にご説明いただければ何ら気にするところはないと思います。

心理的瑕疵の告知は物件の所有者様にとってはマイナス要因でしかなく、売買であれば近隣相場価格よりも価格を落として販売しなくては売れないとか、賃貸であれば周辺賃料相場よりも賃料を落とさなくては借り手が付かないなど、悩ましい問題となるのは事実です。

自分には何の落ち度がない場合は本当に不当な結果でしかありません。

告知せず相場価格でお取引できたらと思うのは当然かもしれません。

「心理的瑕疵についての告知義務はどれくらいの期間で存在しますか?」

このように質問される売主様が多くなるわけです。

私の経験からも、売主様はある一定の期間が経過したら告知義務がなくなり告知しなくても良くなることを皆さん期待しています。

しかしながら現在の判例等では、心理的瑕疵の告知義務に関する慣例・慣習が定まっておらず、制定法などが存在しないことから、絶対と示す基準がないのが現状です。

結論からいうと告知義務が消え、告知する必要がなくなる日が到来するということは、あまり現実的ではないということです。

告知しないで賃貸契約もしくは売買契約を結んだ場合には、借主もしくは買主から債務不履行、もしくは損害賠償請求される可能性が非常に高いのです。

告知を怠ったことから千万円単位の損害賠償請求や、売買契約の解除を求められた判例もあります。

(一財)不動産適正取引推進機構の判例検索はこちら

http://www.retio.or.jp/case_search/search_result.php?id=28

5.まとめ

昨今では居住者の高齢化が進み、ご高齢単身者による老衰・病死(孤独死)が増えています。

所有者の方やご親族、相続人からすると今後の売買に際して問題になると考える方が多いようです。

心理的瑕疵物件を売買する手順は、通常の物件とほとんど変わりません。

ただ一点、告知義務に従い物件の瑕疵について記載するだけです。

心理的瑕疵を説明するタイミングとしては、物件を査定してもらう際に必ず不動産会社に伝えておきましょう。

査定の際にはどのような事態が起きたのかを詳しく説明します。

ここで心理的瑕疵について隠そうとするのは、得策ではありません。

不動産会社も瑕疵を把握しないままでは、正しい見積もりが出来ません。

後日の事を考えれば、相場価格で売れないリスクよりも、瑕疵を隠したことにより損害賠償を請求されることの方がはるかに大きな損害となります。

正しく状況を確認できれば、物件を購入してくれる人も出てくるはずです。

ただし一般的な物件とは言い難い部分があるので、心理的瑕疵物件の扱いに長けている不動産会社を選ぶのが1つのポイントです。

出来れば心理的瑕疵物件の取り扱い経験が豊富な不動産会社に依頼することをおすすめします。

心理的瑕疵物件を多数取り扱った経験がある不動産会社の担当者は、購入希望者にきちんと説明し、理解をしてもらい、書面化することで後の訴訟リスクを抑えることにも長けています。

またなかなか売ることが難しい、どうしても現金化したいという物件がある場合には、物件の買い取りを行っている不動産会社もあります。買い取ってから自分たちでリノベーション等加工することで、直接的な心理的瑕疵を感じさせない不動産に再生しているのです。

まずは自分の物件の状況を相談し、誠実で明快な回答がもらえる不動産会社を選びましょう。

オークラヤ住宅では、お客様のご状況に合ったマンション売却のご提案をしております。
マンション売却のことでご不明点がございましたら、
お気軽にお問い合わせください。

お問い合わせを心よりお待ちいたしております。

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