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中古マンションをリノベーションする際のポイントまとめ

中古マンションをリノベーションする際のポイントまとめ

新築マンションの価格高騰やコロナ禍によって、マンションの探し方も大きく変わってきました。

今はかつて主流の「新築物件だけ」という探し方ではなく、中古マンションも並行して探す方が増えてきています。

しかしながら、中古物件となると「他人が一度住んでいた」などという抵抗感があることも事実であり、なかなか気が進まないといった方もいらっしゃいます。

そこで今回は室内を新築マンションのように工事できる「リノベーション」について、またそのため中古物件の選び方や費用、注意点等についてまとめました。

1、中古マンションをリノベーションすることのメリット・デメリット

メリット・デメリット

(1)中古マンションをリノベーションすることのメリット

【メリット1】 豊富な中古物件数

コロナ禍によって、通勤されている方や在宅勤務されているなど様々な働き方へと変容し、自宅に対する価値観に大きな変化が生じました。

これら自宅に対する価値観の大きな変化や考え方がの多様化により、場所や間取が限定されている「新築マンション」だけでは納得する住まいさがしについて対応できなくなっています。

一方、中古マンションは首都圏地域であればほとんどの各沿線・各駅に売買物件があり、物件選びに大切な「住みたい場所」の選択肢が広がります。

また、狭いお部屋、広いお部屋など物件の種類も豊富でまさに「自分に合ったマンション」を探すことが可能です。

【メリット2】 自分好みの部屋づくりができる

メリット1で自分の希望する立地や広さ、価格が反映された物件を見つける事ができたなら、次は自分や家族のライフスタイルに合わせたお部屋づくりを考えてみましょう。

例えば単身の方でリビングを大きく使いたいといった要望であれば、20㎡や30㎡の単身用の広さのマンションではなく、50㎡近いやや広い物件を購入して、2LDKの物件を1LDKに変更してリビングを大きく使用できるように間取の変更するのも良いでしょう。

またその他、「対面キッチンにしたい」「すべてフローリングにしたい」などやや築年数が経ったマンションでもマンションが定める工事規定に抵触しなければ、今風の新築マンションのような間取や設備に変更することができます。

この【メリット1】と【メリット2】を享受することによって、自身が希望する「自宅」に大きく近づくことができます。

【メリット3】 新築物件より割安

今は新築・中古物件ともに価格が上昇しており、特に新築マンションはなかなか手の届かない価格帯まで上昇しています。

とはいえ中古マンションは比較的購入価格を抑えることができますので、その分お部屋のリノベーション費用へとお金を回すことができます。

(2)中古マンションをリノベーションすることのデメリット

メリットがある一方でデメリットも存在します。購入する前によく確認しておきましょう。

【デメリット1】 マンションの管理や構造によるリノベーション工事の制限に留意する

マンションは集合住宅です。リノベーション工事が施行できる範囲は「専有部」だけになります。

「専有部」であっても、マンションの共用部に接する場所などでは専有部側の工事ができないなどといった事が起こり得ます。

リノベーション工事は、予め管理組合に申請して承認を得てから始まるので規定に抵触する工事はできないようになっていますが、万が一抵触するような工事が発覚した時は、工事のやり直しや原状回復を求められることがありますので注意しましょう。

【デメリット2】 マンションの築年数によっては税制優遇が受けられない

不動産を自己居住用で購入すると、各種諸条件を満たせば不動産に関する税金の控除を受けることができます。

その諸条件の中の一つに「築年数による制限」があり、いわゆる旧耐震基準と呼ばれるマンションには原則税制優遇の適用が受けられません。

旧耐震基準マンションとは、現行の耐震基準の一つ前の基準で建てられたマンションのことを言います。

現行の耐震基準は大規模地震(震度6弱~震度7)が発生した時にも「倒壊しない」レベルの耐震強度が求められるのに対して、旧耐震基準はそもそも大規模地震(震度6弱~震度7)の想定をしていません。

中古物件にも既存住宅流通の促進として税制優遇の措置の適用が受けられますが、大規模地震発生時に倒壊の恐れのある旧耐震基準のマンションは適用外となっています。

詳しくは次の章で述べます。

2、リノベーション向きの中古マンションの選び方

リノベーション向きマンション

(1)築年数の確認

どのような状態の中古マンションがリノベーションに良いのか悪いのか等の明確な判断基準はありませんが、「ある程度の築年数が経過したマンション」がリノベーション向きと言えるでしょう。

「ある程度の築年数」とは、前の章でも触れましたが新耐震基準で建てられたマンションのことを指します。新耐震基準のマンションであればリノベーション向きと言えます。

新耐震基準マンションは昭和56年6月以降に建築確認を受けたマンションのことを言います。建築年月で表すと昭和57年以降頃のマンションからが新耐震基準マンションと言えます。
(ただしこの時期は過渡期のため、昭和57年築であっても新耐震基準と旧耐震基準が混在しています)

もし購入希望物件の建築年月が昭和57年から昭和58年前後であれば、必ず不動産会社の担当者に税制優遇の適用が受けられるか否かを確認しておきましょう。

(2)マンションの構造

マンションの構造は、大幅な間取変更をするリノベーション工事ができるかどうかに大きく関わるため、しっかりとした確認が必要です。

マンションには大きく二種類の構造があります。


【ラーメン構造】

柱と梁を剛接合(強く固定)し、建物を支える構造のことをいいます、ラーメンとはドイツ語で「枠・額縁」という意味で、柱と梁で建物の枠組みを作っていきます。マンションのような集合住宅や公共施設のような建物に多く採用されている構造です。

ラーメン構造は柱と梁をフレームとしているため、建物の構造に影響しない壁であれば基本的に取り外すことが可能です。

そのため、リノベーション工事を行う際には大きな間取の変更などが可能になります。

【壁式構造】

柱や梁で枠組みをするのではなく、「壁」で建物を支える構造のことをいいます。こちらもマンションなどの構造として採用されており、柱や梁がない分お部屋をスッキリさせることが可能です。

しかしながら文字通り「壁」を構造の基礎としているため、大きな間取変更を伴うリノベーション工事には向かないことに注意が必要です。

ラーメン構造も壁式構造も不動産広告では表示されていないことがほとんどです。不動産会社の担当者に確認することが必要です。

(3)配管経路

お部屋の水廻り(キッチンなど)を変更する際は、お部屋を通っている配管についての確認が必要です。

マンションの配管経路は大きく分けて以下の二つです。

【床スラブ上配管】

マンションの躯体である床スラブの上を通っている配管のことを床スラブ上配管といいます。

躯体の上を配管が通っているので、躯体を壊さずに水廻りの位置を変更することができます。従って水廻りの位置を変更したい希望があれば、床スラブ上配管であることが望ましいです。

【床スラブ下(貫通)配管】

配管が床スラブを貫通して通っている配管のことを床スラブ下(貫通)配管といいます。

この場合、下の階のお部屋の天井裏を配管が通っているため、水廻りの位置を変更したい場合には、下の階のお部屋の天井裏を工事する必要があります。

そのため、下の階の方の工事に関する合意が必要になるとともに大掛かりな工事になる場合があり注意が必要です。

3、中古マンションをリノベーションするためにかかる費用

費用

リノベーションの工事費用については、お部屋の広さや構造、工事の規模や内容によって変わってきます。

一般的な金額になりますが、70㎡の3LDKのお部屋をフルリノベーション(元のお部屋を解体し新たなお部屋へつくりかえる)をする場合、おおよそ800万円以上の負担を要すると言われています。

もちろん、お部屋の現況によっては工事する部分と工事しない部分を分けることができますので、そこでの費用の調整も可能です。

リノベーションを検討する際には、必ず現地で施工業者と入念に打ち合わせを行いましょう。

こちらからリノベーションの概算見積りのシミュレーションがご利用いただけます

4、中古マンションをリノベーションする際の注意点

注意点

マンションをリノベーションするときは管理規約の遵守や定められた工事規定に沿った工事であることが大前提になります。

しかしながら、この大前提を守って施工してもトラブルが起きてしまうことをよく耳にします。リノベーション工事はかなり慎重に進めなくてはならない工事であることを認識しておきましょう。

ではマンションをリノベーションする際の注意点をご紹介します。

(1) 共用部は工事ができない

マンションには大きく分けて「専有部」と「共用部」とに分けられます。

リノベーション工事ができるのは「専有部」だけになり、「共用部」は原則工事ができません。

専有部とは基本的にお部屋の中のことを表しているのですが、お部屋の中すべてが専有部であるとは限りません。

例えば「バルコニー」や「窓サッシ」、「玄関ドア」については、いずれもお部屋に備え付けられてものや中に設置してあるものですがこれらはすべて共用部に該当します。

特に「バルコニー」や「玄関ドア」については、新築マンションや築年数が浅いマンションと築30年ほど経過しているマンションを比べるとかなりの差を感じると思います。

また窓サッシも経年変化が生じて、建付けが良くなかったり汚れやキズがあったりします。

お部屋の中は限りなく新築のようにすることができますが、これらの部分は勝手に交換や変更を行うことができませんので注意しましょう。

(2)施工業者の選定

先に述べましたが、マンションのリノベーション工事は慎重に進める必要があります。

それゆえにリノベーション工事を依頼する施工業者の選定は慎重に行う必要があります。マンションのリノベーション工事に精通していて、多くのマンション工事の実績がある施工業者に依頼すると良いでしょう。

(3)施工業者との入念な工事内容の打ち合わせ

中古マンションのリノベーション工事とは、例えば築後30年経ったマンション(建物)に今の最新設備を導入する工事になります。

新築マンションのように、建物(構造)も新しく設備も最新という組み合わせであれば特段問題は生じませんが、中古マンションの場合は建物(構造)は古いままで最新の設備を導入しますので、双方規格が合わないなど工事不能な場合が発生する可能性があります。

従って、自身の好みや希望等は施工業者にしっかりと伝え、施工業者と現場で入念に工事についての打ち合わせをすることが大切です。工事ができる部分とできない部分や希望設備の導入可否はご自身でも認識しておきましょう。

ここを怠ると「こんなはずではなかった」などの後悔の原因になります。マンションの購入費用やリノベーションの工事費用は大きなお金を費やします。工事内容を把握して、納得することが大切です。

(4)隣接住戸への配慮

リノベーション工事は大きな音を発します。特に工事着手時最初の「既存のお部屋の解体作業」はとても大きな音が発生します。

管理組合に工事の申請を行うと共に、必ず着工前に隣接住戸の方にご挨拶を済ませておきましょう。

5、よくある質問

Q1、工事期間はどのくらいですか?

A.工事の規模にもよりますがフルリノベーション工事であれば、おおよそ2か月前後の期間を要します。

また、マンションによっては管理組合への工事の申請から承諾が得られるまで1ヶ月程度かかる場合もあります。

事前に不動産会社の担当者を通して、購入するマンションの工事規定を確認しておきましょう。

Q2、住みながら工事はできますか?

A.購入と同時にリフォームやリノベーションを行う場合は入居前の工事をお勧めしています。

住みながらの工事ももちろん可能ですが、居住者さまの負担を考慮すると入居前に完成するとメリットが多いと思います。

壁紙の張替え、トイレや洗面台の交換のような短期間で完了する工事の場合は検討の余地はあります。個別に相談してみましょう。

Q3、途中で工事の内容を変更できますか?

A.工事の進捗状況にもよります。難しい部分は設備の変更、配線、配管の変更、完成済間取りの変更等です。変更が比較的容易な部分は壁紙や後付照明器具になります。

6、まとめ

リノベーションは、気を遣わなければいけないことや慎重に丁寧に進めていかなければならないことが多く、完成するまで気を抜くことができません。

一方で自身の好みを反映したお部屋つくりができるリノベーションは、楽しく、完成がとても待ち遠しくなります。

自分が理想とする新築マンションになかなか出会えない時などは、中古マンションを購入してリノベーションすることを検討することもおすすめします。