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専有部分と共用部分を理解して、マンションで快適に過ごそう!

専有部分と共用部分を理解して、マンションで快適に過ごそう!

マンションの内見に行くと、不動産会社の担当者に建物の中を案内してもらっているときに「ここは専有部分です」、「ここは共用部分です。」という説明を受けることがあると思います。

分譲マンションは、見た目は一つの建物なのですが、「区分所有法」という法律によって、「専有部分」と「共用部分」に分けられます。

言葉ではなんとなく理解できても、よくよく考えると「実際の線引きはどこ?」という疑問も生じてきます。そこで今回は、入居後に快適なマンションライフをお過ごしできるように、専有部分と共用部分について解説したいと思います。

※2020/04/25初出(2021/09/18更新)

【目次】
1、区分所有法の歴史
2、専有部分
3、共用部分
4、共用部分の専用使用権
5、トラブル発生箇所による責任所在の差
6、まとめ

1、区分所有法の歴史

先に出てきた聞きなれない言葉「区分所有法」は、正式には「建物の区分所有等に関する法律」といいます。驚くことに実は歴史は古く、始まりは明治時代に制定された民法の一部からといわれています。

しかし当然ながら、その時代にはマンションなどという集合住宅はあまりなく、この法律が単独で制定されるのは、1962年(昭和37年)になってからになります。

この法律の制定のあと、高度経済成長期にあたる昭和40年代に入ると首都圏を中心に日本では分譲マンションの建設ラッシュが始まります。

その後、当時の法律では対応できない問題点(不動産登記法やマンションの管理・運営に関して)について対応する形で、1983年(昭和58年)に法改正がなされます。

この法律によって、集合住宅における所有権をはっきりするために、専有部分と共用部分の定義が制定されています。

2、専有部分

分譲マンションの各室には、区分所有権が設定されています。

区分所有権とは、一棟の建物の中にある各室に対して、登記法上の概念で一棟の建物全体と区別して(実際には区別していません)独立した所有権を認めることをいいます。分譲マンション内の各お部屋がこれに該当し、専有部分と呼ばれる部分になります。

お部屋の中でも、間仕切り、住宅設備、建具、天井や床などお部屋の内側が専有部分に該当します。
リフォームやリノベーションなどで、交換、修理ができるのは、この専有部分だけに限られます。

こちらも参考にご覧ください。「中古マンション×リフォーム・リノベーションで理想の暮らしを手に入れよう!」

3、共用部分

共用部分は、一棟の建物の中で「専有部分以外のすべての部分」が該当します。

理解しやすい代表的な共用部分としては、マンションのエントランス、自動ドア、廊下、階段、エレベーター、躯体(隣室や戸外との間の壁、階を区切る床)等が挙げられます。

また、後述しますが、玄関ドア、窓ガラス、サッシ、バルコニー、駐車場、駐輪場も共用部分になります。

共用部分は一棟の建物に住む区分所有者全員が共同で所有するとし、共用部分の管理、補修などは、区分所有者で形成される管理組合が行います。個人の判断で勝手に変更することはできません。

そして共用部分の管理や補修・修理は、区分所有者全員が毎月納める、管理費や修繕積立金によって行われます。日常的な管理に必要な費用は管理費の中から支払われます。一定年ごとに行われる「大規模修繕工事」は修繕積立金により支払われます。

4、共有部分の専用使用権

ところで、共用部分の中に、玄関ドア、バルコニーや窓ガラス、サッシなど「これは専有部分では?」と思われる部分が含まれています。これらは各お部屋についてあるので、専有部分のように見えますが、一棟の建物の外観の一部をなしていることから、共用部分と定めています。

これら一見、専有部分に見えるような共用部分には、その部屋の区分所有者に「専用使用権」が付されています。共用部分でありながら、他の区分所有者の使用を認めず、その部屋の区分所有者だけに使用を認めるものとしています。

専用使用権部分の日頃の管理は、専用使用権が与えられた区分所有者が行いますが、勝手に撤去や現状を変更するような行為は認められていません。専用使用権は、区分所有法に定めはなく、各マンションの管理規約等によって使用ルールが定められています。

その他、専用使用権が認められている代表的な例として、ルーフバルコニー、専用庭、専用駐車場、駐輪場、物置などがあります。

また、これらの専用使用権を有した場合、ほとんどのマンションで専用使用料を管理組合に支払うようになっています。

なお、ルーフバルコニーや専用庭など、一棟のマンションの中でも一部のお部屋にしか付いていない専用使用権は、販売広告時のお部屋のアピールポイントとして使われます。
ルーフバルコニーや専用庭が付いているお部屋は、マンションでありながら、テーブルなどを置いて、アウトドア気分で食事が楽しめたりや、子供用のプールで置いてみたり、ガーデニングを楽しめたりすることができます。(マンションの管理規約を遵守の上)

5、トラブル発生箇所による責任所在の差

マンション内でのトラブルの代表的な例として、水漏れが挙げられます。水漏れは、発生場所によって、責任の所在が異なってきます。

例えば、不注意がで水が出しっぱなしになり、床が水浸しになった結果、下の階へ水を漏らした場合には、上階の居住者の過失が原因ですので、下の階の人に対する、損害賠償責任は上階の居住者が負うことになります。これは分かりやすい例です。

しかし、普段目にする機会がない、マンションの床下等に配管されている、給排水管が原因の水漏れが発生した場合はどうなるのでしょうか。

これらの管は、水道水(給水管)の場合、マンション各階まで供給し各部屋に給水するための管と、水道水をお部屋の蛇口まで給水するため、お部屋の中に配管された管とに分けられます。

一般的に前者の管を共用管、後者の管を専有管といいます。共用管は共用部分に該当しますので、そこが原因で水漏れが発生した場合には、管理組合が責任を負います。

一方、専有管が原因で水漏れが発生した場合には、その部屋の区分所有者が責任を負うようになります。

このように給排水管が原因の水漏れは、先述したように目に見えない箇所ですので、どこが原因か調査を慎重にする必要があります。

特に専有管と共用管との接合部分は水漏れが起きやすい箇所です。この接合部分は水道メーターを境に、室内側が専有部分、屋外側は共用部分に該当します。万が一、水漏れが発生した場合は原因が何かにかかわらず、管理組合に報告して協力を仰ぎましょう。

また、これらに対応するべく、火災保険には必ず加入するようにしておきましょう。

水漏れ以外にも、トラブルは起こります。専有部分であっても、下の階や隣室への騒音問題や共用部分での喫煙マナーの問題、ゴミの捨て方の問題、廊下に荷物を置くことによる通路の妨害など、集合住宅ならではのトラブルが発生する可能性があります。

みんなが使用する共用部分ではもちろんの事、専有部分であっても、集合住宅であることを意識して、生活を送るようにしましょう。

6、まとめ

購入時にはあまり気にしない共用部分や専有部分の区別ですが、そこに住み始めると意識するようなことが多く出てきます。

周囲とのトラブルを回避するためにも、共用部分と専有部分の認識はしっかりと持っておきましょう。