一般コラム
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どうなる賃貸管理 ~民法改正の影響~

どうなる賃貸管理 ~民法改正の影響~

2020年を目途に施行される予定の改正民法、居住用賃貸を運用する中で、特に影響が考えられる事項が3つあると思われます。

  1. 個人保証の限度額設定が必須となること
  2. 敷金の返還義務が明文化され定義されていること
  3. 住宅設備等の故障の際、賃料減額をする必要性が生じること

1.「個人保証の限度額設定が必須となること」について

個人保証について、現在は無限責任となります。しかし、無限責任となると連帯保証人の負担が大きいことから、改正民法では「連帯保証人について責任限度額(極度額)を設定しなければ無効となる」とされました。例えば、具体的に「極度額180万円の範囲内で連帯して保証する」という形式で明記する必要性が出てきます。

さらに事業のための賃貸の場合、賃借人から連帯保証人に財産状況などの情報を提供したうえで、連帯保証人引き受けをお願いする事となりました。つまり、賃借人に情報提供義務が課せられたことになり、注意が必要です。

以上の事から、個人保証に代わって機関保証、つまり、家賃保証会社の利用が増加することが予想されています。代理店となる不動産管理会社によって保証内容も異なりますので、不動産管理会社選定の材料とすると良いでしょう。

2.「敷金の返還義務が明文化され定義されていること」について

賃借人が退去する際に「原状に復して明け渡す」必要性が出てきます。

国土交通省は『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』(以下、「ガイドライン」という。)の中で、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失・善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。このガイドラインの考え方が改正民法でも明文化されます。

しかし、現在ガイドラインに則って原状回復の線引きをしている不動産管理会社・貸主であれば、大きな変更点は無いものと考えられます。

3.「住宅設備等の故障の際、賃料減額をする必要性が生じること」について

入居中に故障等が発生し借主に責任が無い場合、「賃借物の一部滅失による賃料の減額」ということが定義されています。簡単に言えば、故障個所に応じて賃料を減額するということになりますが、実際には免責期間が設定される事が予想されます。まだ改正民法施行まで期間が有りますので、今後関係協会などがガイドラインを作成し、今後の指針が示される事でしょう。

ひとつはっきりしている事は、免責期間が設けられたとしても入居者の生活に支障が出ないように、早急に修繕対応する必要性があるという事です。

経年劣化などで故障不具合はつきものですが、修繕体制が整っている不動産管理会社に賃貸管理を任せる事が、より重要となります。

~まとめ~

改正民法施行までに賃貸業界としてもガイドライン制定など、これから徐々に整備されていくことが予想されます。変化に対応できる、信頼のおける不動産管理会社をいかに選定するか、その重要性がますます高まったと言えます。

是非、この機会に入居中管理にフォーカスして、自分に合った不動産管理会社を探してみてください。