住宅ローンを借りる際に必ず行われる事前審査ですが、どのような基準で行われるのでしょうか。
今回は、事前審査で、金融機関が何を審査の判断材料にしているのか、また事前審査を受ける前に確認しておきたいことは何かをご紹介していきます。
1.住宅ローンは複数の金融機関に打診するのが一般的
2.住宅ローンの審査のポイント
借入人の属性
借入状況
個人信用情報
3.事前審査に落ちてしまう時にありがちなこと
①.奨学金
②.携帯電話
③.車のローン、カードローン
④.税金・国民健康保険
4.借入限度額の目安
5.まとめ
1.住宅ローンは複数の金融機関に打診するのが一般的
住宅ローンは、同時に複数の金融機関に打診することが一般的です。
複数の金融機関に打診することで審査に通る可能性を高めることも期待できますし、住宅ローンの審査基準や条件は金融機関ごとに異なっているため、自分に合った住宅ローンを組むためにも有効です。
また、1つの金融機関だけに事前審査を申込んで駄目だった場合、次の金融機関での結果が出るまでに時間を要してしまいます。
そうした時間の無駄をなくすためにも、住宅ローンは複数の金融機関に打診した上で、条件に合うところを探すようにしましょう。
2. 住宅ローンの審査のポイント
事前審査とは、購入する物件が金融機関の担保として適切なのかと、借入の申込み内容の諾否を本審査の前に仮承認という形で出す手続きです。
事前審査で仮承認が出ると、本審査までに転職をしたり、他の借入をしたりなど、審査に影響を及ぼす状況が発生しない場合は、本審査が通る可能性が高いと言えます。
その意味では、事前審査が通ったということは、マンション購入の現実性が高まったと言えます。
では、何が住宅ローンの審査のポイントになるのでしょうか。
住宅ローンは、借入する人の将来の収入を返済の原資としていますので、審査のポイントは、返済金額が収入に見合っているか、収入の安定性が見込まれるか、きちんと返済をする信用ある人物がどうか、購入する物件は担保として適切か、ということになります。
物件については、購入しようとするマンションが、金融機関それぞれの担保基準に適合しているのかどうかと、担保としていくらの評価がでるのかを判断します。
そして、きちんと返済してくれるかどうかは、次の3つの項目を判断材料として審査を行います。
・借入人の属性
・借入状況
・個人信用情報
・借入人の属性
属性とは借主の年収・年齢・勤務先・勤続年数・雇用形態・家族構成などのことを指します。
まず年収は、希望する住宅ローンの年間返済額が、審査基準の割合に収まっているかどうかを確認するのに使われる最も重要な要素です。
次に年齢ですが、ほとんどの金融機関では、完済時の年齢を80歳前後にしているため、最長の35年ローンを組めるのは「43歳~45歳」までです。
同じ借入額でも、返済期間が短ければ年間返済額は多くなります。上記の年収と年間返済額の割合に影響する要素となります。
住宅ローンの審査では「安定した収入」があるかどうかが重要です。
そのため、一般的に最低勤続年数は1年以上と定められており、転職したばかりの方や転職予定のある方は、原則として住宅ローンを組むことができません。
また、転職歴が多い場合も審査が不利になりやすいですが、キャリアアップのためという説明ができれば、逆に評価アップの可能性があります。
一般的に、契約社員や派遣社員、アルバイトの方は、正社員に比べて審査が厳しくなるようです。
・借入状況
先の属性の説明で述べた年間返済額には、住宅ローン以外の車のローンや教育ローン、カードローン、キャッシングなどの返済も合算されます。
他の借入があっても住宅ローンに申込むことは可能ですが、融資額は少なくなってしまいます。
・個人信用情報
個人信用情報とは、ローンやクレジットカードなどの申込みの履歴情報、ローンやクレジットカードの契約内容や支払状況の情報のことです。
他のローンやクレジットカードを延滞した場合、個人信用情報にその履歴が残ります。この履歴が残っていると、審査上の大きな減点となってしまいます。
こういった個人信用情報はCICやJICCなどの情報機関で管理されており、費用はかかりますが、自分の情報はホームページから取り寄せることもできるので、気になる場合は事前に確認してみてもいいかもしれません。
CIC: https://www.cic.co.jp/
JICC: https://www.jicc.co.jp/
また、個人信用情報の延滞の記録は、延滞金支払日から5年経つと消えるようになっています。
3.事前審査に落ちてしまう時にありがちなこと
最後に、事前審査に落ちてしまう原因の中から、見落としがちなものを4つピックアップしてご紹介していきますので参考にしてみてください。
①.奨学金
多くの方が忘れがちなのが、奨学金です。
奨学金もれっきとした借金ですので、住宅ローンの審査の対象になります。毎月返済している奨学金があれば、返済負担額を計算する際に組み入れましょう。
奨学金も延滞してしまうと記録が残るため、住宅ローンの審査を通ることは難しくなります。
また、教育ローンなどでも扱いは同じですが、借入したのが親であれば本人の借入にはなりません。
②.携帯電話
もう1つ見落としがちなのが、携帯電話です。
毎月支払っている携帯電話料金には、携帯電話本体を分割で購入した場合の本体代金と通話料、データ通信料などが含まれています。
携帯電話本体を分割支払いにした場合はクレジット契約となり、携帯電話料金を延滞した場合、個人信用情報に延滞の記録が残ってしまいます。
このことは携帯電話を購入する際の「個別信用購入あっせん契約申込書」などに記載されているので、確認してみましょう。
③.車のローン、カードローン
車のローンやカードローンがあると審査に通らなくなるわけではありませんが、借入限度額が減ってしまいます。
可能な場合は、車のローンやカードローンを返済しておくことも検討しましょう。
④.税金・国民健康保険料
税金や国民健康保険料などの未納も審査の対象です、
個人信用情報には残りませんが、納税証明書などから確認でき、税金の差し押さえは、税務署や役所などが行います。
返済ができなくなった場合、金融機関が抵当権を実行したとしても、物件の金額から税金の未納分が引かれてしまいます。
そのため、通常の延滞よりも、税金の未納が住宅ローン審査に大きな影響を及ぼします。心当たりのある方はあらかじめ支払っておきましょう。
4.借入限度額の目安
借入限度額は年収、金利、返済期間、返済額などから計算できます。
住宅ローンの比較サイトや金融機関などのホームページでは、それらの情報を入力すると、簡単にシミュレーションすることも可能です。
下記はある金融機関の例になりますが、返済期間35年で年収別に計算すると以下のようになります。
■年収に対する借入限度額の早見表
年収 借入限度額
300万円 → 1,920万円
400万円 → 2,980万円
500万円 → 3,730万円
600万円 → 4,480万円
700万円 → 5,220万円
ただし、借入限度額は住宅ローンの審査上の上限金額です。
実際に借入限度額まで借りると、毎月の返済負担が大きくなって家計を圧迫します。住宅ローンは、現在の家計の状況だけでなく、教育費など将来の支出なども考えて無理のない範囲で利用することをおすすめします。
5.まとめ
マンションを購入する際に申込む住宅ローンの事前審査についてご紹介しました。
住宅ローンは借りられる金額が多い分、借主の様々な情報が審査されます。
住宅ローンの仕組みをよく理解して、スムーズに手続きを進められるようにしましょう。自分では気づいていないものも審査の対象になっている場合があります。
マンション購入に際しては多くの方が住宅ローンを利用します。携帯電話や奨学金、車のローンなどの残金を調べてみて、審査のネックにならないかどうかを確認しておきましょう。