一般コラム
市況・相場

結局どうなるの?気になる今後のマンション市況

結局どうなるの?気になる今後のマンション市況

この数年、不動産価格が上昇しているというニュースは誰もが一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

主な上昇原因は、東京オリンピック・パラリンピック開催決定によって、東京の再開発が活発になり、建設費や地価が高騰したことと、外国人の投資が活発であること、都心部への人口流入(以下、都心回帰)によって、東京23区を中心に住宅需要が高まったからだといわれています。

今回は不動産市場において、「東京オリンピック」と「都心回帰」がどのように影響を与えて、また今後はどうなっていくのか考えてみました。

<目次>
1、東京オリンピック開催決定が与えた影響
(1)建設費や地価の高騰
(2)外国人の投資需要の高まり
2、都心回帰が与えた影響
(1)職住近接
(2)中高年世代が郊外から都心へ
3、気になる今後の市場動向は?
(1)東京オリンピック
(2)都心回帰
(3)東日本不動産流通機構(REINS)や国土交通省のデータから読みとれること
4、まとめ

1、東京オリンピック開催決定が与えた影響

皆さんが不動産の値上がり理由を真っ先に挙げるとしたら、2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催決定ではないでしょうか。これは、どのように不動産価格に影響を与えたのでしょうか。

(1)建設費や地価の高騰

東京オリンピックの開催が決定されて以降、インフラ整備による建設費の高騰や再開発による地価の高騰がみられるようになりました。皆さんも街を歩いていると、多くの建設現場や再開発予定地などを目にする機会が増えたのではないでしょうか。

居住用不動産の中で、この影響を特に受けたのが「新築マンションの分譲」です。土地の仕入れ値は上がり、建物を建てる建設費も上がり、結果、分譲価格も高い設定にせざる得ない状況になりました。

首都圏の新築マンションの2017年平均分譲価格は5,452万円(※リクルート住まいカンパニー調べ)と過去最高を記録しており、一般サラリーマンの手の届きにくい価格帯まで上昇しています。

(2)外国人の投資需要の高まり

東京オリンピック開催決定を理由に価格上昇を招いた原因のひとつとして、外国人投資家による不動産購入件数の増加も考えられます。東京は世界的な大都市なのにもかかわらず、他の世界の大都市と比べると、不動産価格は割安だといわれています。

そんな中、オリンピック開催が決まり、より世界から東京の不動産が注目を浴びることになり、価格上昇の要因の一つになったといわれています。

2、都心回帰が与えた影響

今、「職住近接」や「中高年の都心回帰」がトレンドになり、より都心へ住居を構える傾向が以前より強くなっています。

(1)職住近接

今、共働き世帯が増える中、起こっている現象が、「より都心に住む」ことです。

共働き世帯の中には、子供がいる方もいらっしゃると思いますが、子育て環境を考えて郊外へという傾向は以前より減っています。忙しい共働き世代にとっては、各方面へのアクセスの方が重要視され、その結果、都心または都心に近いエリアで購入したい人が増えるようになりました。

しかも、最近では共働き世帯の中でも、パワーカップル(世帯年収1,400万以上)と呼ばれる世帯も出現しており、今高騰しているマンション市場でも十分に購入できる資金力があり、結果として価格上昇を支えているといえるでしょう。

(2)中高年世代が郊外から都心へ

都心に人口が集中するもう一つの原因として、中高年世代の都心への住み替えが挙げられます。

まさに、この中高年の世代の方は、高度成長期の「ドーナツ化現象」の中心にいた方々です。

高度成長期の都心の住宅は高嶺の花であり、人々は都心を離れ、当時各都市郊外で開発が盛んだった「ニュータウン」に夢のマイホームを購入するようになり、これが一つのトレンドとなっていました。

しかし現在、その世代の方々は子育てを終え、また自身の高齢化も重なって、郊外での生活に不便さを感じる方も多く出始めるようになりました。その結果、病院や交通など生活インフラが整っている都心へ戻ってきているようです。

特に、生活しやすい「マンション」への住み替え意識が高く、新築・中古共に購入者が増えており、この現象も価格上昇を支えているといえるでしょう。

3、気になる今後の市場動向は?

これまでは価格上昇の原因について説明しましたが、これらが今後の不動産市況にどのような影響を与えるのでしょうか。今後も価格が上昇していくか、下落していくのかを考えてみました。

(1)東京オリンピック閉幕後

年も明け、オリンピック開催まであと1年と少しになりました。まだ競技場や選手村などの建設は続いておりますが、建設費の高騰も落ち着きを見せ始めています。

しかし、建設費の高騰は落ち着きをみせているものの、2020年以降も東京では多くの再開発が予定されています。したがって、地価に関しては大きく下がることはないと予想されています。

となると、オリンピックが終わったからといって、マンションの価格が暴落することは考えにくいと考えられます。また、外国人投資家の動きも注視する必要がありますが、インバウンド需要がある中、オリンピックが終了したからといって、東京の魅力が一気に落ちるということも考えにくいでしょう。

しかしオリンピック関連でいえば、中央区晴海の選手村の存在が気になるところです。選手村は、まさに価格上昇をけん引している都心の湾岸地域に存在していますが、オリンピックが終わった後に、分譲が予定されています。分譲戸数が5960戸に上る大型分譲です。

このマンション供給過多の今、選手村の販売価格はいかほどなのかとても気になります。巷では坪300万円を切るようなことも言われておりますが、そうなれば周囲の販売中物件を中心に市場に大きな影響を及ぼすことも予想できます。

(2)都心回帰

都心回帰に関しても続くことが予想されますが、そもそも日本では人口減の問題を抱えており、以前より住み替えの絶対数は少なることは確かです。

東京都の人口も2025年にピークアウトを迎えることが予想されているので、もうあと6年しかありません。都心回帰の流れは次第に以前ほどの勢いはなくなっていくと考えられます。

さらに、すでに郊外の人口減は始まっており、結果、都心へ住み替えをしたくても、郊外の自宅の売却価格が下がり、うまく資金調達ができない事態も起き始めています。

となると都心回帰を理由に不動産市況が活発になることは、今後考えにくいといえるでしょう。

(3)東日本不動産流通機構(REINS)や国土交通省のデータから読みとれること

図1 首都圏 圧縮  加工

上のグラフは首都圏の中古マンション市況(平均成約㎡単価・成約率・在庫件数)を現したものになります。

成約価格は順調に上昇を続けていますが、反対に成約率は年々低下しており、在庫件数(販売中物件)が増加していることが分かります。

成約価格は上昇している一方で、成約率が下がり在庫が増加しているということは、好立地の物件や人気のエリアの物件は高価格で成約できているものの、それ以外の物件は成約に至れずに、販売に苦戦していることが読み取れます。今後も売れるマンション・売れないマンションに分かれていくことが予想されます。

それを裏付けるように、国交省が毎年行っている「住宅市場動向調査」では、新築・中古マンションを購入した理由として「立地・環境」と選択した人が3年連続上昇しています。どちらも3年で10%の伸び率で、今後も伸びることが予想されます。

中古マンション購入理由 500 連結
国土交通省「住宅市場動向調査」より作成

今在庫になっている物件は、価格の見直しをせざる得ない局面に近づいているのかもしれません。

4、まとめ

今回は価格が上昇に至った原因と、それが今後どういった影響を及ぼすかを述べてきましたが、現在の取り巻く環境の今後を予測すると、皆さんが気になっている2020年の後に価格が暴落するようなことは考えにくいでしょう。ただ、上昇要因に今ほどの勢いがなくなることは確かなので、徐々に下降傾向になることが予想されます。

ただ、全体が下降傾向になるのではなく、地域間で格差を生じさせながら下がっていくものと考えられます。

2020年以降も開発が続く、立地が良い都心3区(千代田区、港区、中央区)をはじめとするその周囲では、さらに上昇する可能性もありえます。

しかし、その他の地域は、下降傾向になることも予想され、さらにその中でも立地や物件の良し悪しによって、売れ行きに差が生じると思われます。

いつ下がるという時期の断定はできませんが、2020年を境に何らかの変化が生じるかもしれません。

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