消費税がついに10%に上がりました。

今回は軽減税率の適用やキャッシュレス還元など様々な施策が施されていますが、分かりにくくて、戸惑う方も多いのではないでしょうか。

このように、税金は昔から複雑で苦手意識を持つ方が多い話題です。特に不動産の税金ともなると、かなり複雑になってきます。

しかし、税制をしっかりと把握することによって、得をすることもありますので、しっかりとポイントや軽減措置などの適用条件を抑えておきましょう。

不動産には購入に関する税金の話と売却に関する税金の話がありますが、今回は購入に関する税金をお話しします。

【目次】
1、 住宅ローン控除
(1)概要
(2)適用条件
(3)注意点
2、住宅取得資金贈与の非課税特例
(1)概要
(2)適用条件
(3)注意点
(4)適用条件
3、不動産取得税
(1)概要
(2)内容
(3)軽減措置
4、固定資産税・都市計画税
(1)概要
(2)内容
(3)軽減措置
5、登録免許税・抵当権設定費用
(1)概要
(2)内容
6、印紙税
(1)概要
(2)内容
7、すまい給付金
(1)概要
(2)適用条件
(3)給付金額と収入額の目安
8、最後に

1、住宅ローン控除

(1)概要
住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んだ方(借入期間10年以上)に対して、最長13年間、最初の10年間は年末残高の1%を所得税から控除し(最大400万円)、残りの3年間はローン年末残高の1%と建物価額の2%の3分の1のいずれか小さい額によって、控除額(年間最大26.66万円)が決定され、所得税から控除する制度です。(最大控除額約480万円)なお、所得税から引ききれない部分に関しては、住民税からも控除されます。

今年10月の消費税増税によって、期間が最長10年間だったのが、最長13年間に延長されています。

上記の最大400万円、480万円の控除額が適用されるのは、新築物件や既存(中古)住宅の中でも、消費税課税物件に限ります。

既存(中古)住宅に多い一般個人が売主となっている物件(非課税物件)は控除期間が最大10年間で控除額の最大は200万円となっています。

新築物件と既存(中古)物件を下の表にまとめてみましたので、確認してみましょう。
・新築物件(一般住宅)
新築 ローン控除

・既存(中古)物件(中古一般住宅)
中古 ローン控除
※既存(中古)住宅でも、課税物件(不動産会社などが売主の物件)であれば、最大400万円、最長13年の適用がされます。

(2)適用条件
住宅ローン控除には適用条件があります。借入人と住宅でそれぞれ分けて説明します。

借入人の適用条件
・住宅ローンの借入期間が10年以上。
・取得等した日から6か月以内に居住を開始し、引き続き控除適用年の12月31日までに居住していること。
・控除適用年の合計所得金額が3,000万円以下であること。

物件の適用条件
・床面積50㎡以上。(登記簿記載の床面積)
・1/2以上に相当する部分がその人の居住用であること。
・既存(中古)住宅の場合は以下の要件が追加されます。
① 取得の日以前20年以内(マンションなどの耐火建築物の場合25年以内)に建築されたもの。
② 地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるもの(耐震基準)に適合していること。
※①②に要件を満たさない物件であっても、昭和56年6月以降に建築確認を受けた「新耐震基準物件」と昭和56年6月以前に建築確認申請された物件でも、耐震改修工事を実施し現在の耐震基準を満たしている物件であれば、「耐震基準適合証明書」を取得することによって住宅ローン控除が適用できる場合があります。

(3)注意点
住宅ローン控除は税制優遇の一つですので、他の税制優遇措置と併用できない場合がありますので、注意しましょう。

住宅ローン控除と併用できない他の税制優遇措置は
・不動産売却時の3000万円の特別控除
※買換え時に、売却した不動産に売却益が出たため、「3000万円の特別控除」を適用した場合、買換え先の購入物件での住宅ローン控除は適用できません。
・認定住宅の特別控除
・リフォームのローン控除
・リフォームの特別控除
以上の税制優遇措置と住宅ローン控除の併用はできません。

2、住宅取得資金贈与の非課税特例

(1)概要
両親や祖父母から資金援助を受けて、住宅購入をする方もいらっしゃると思います。

2017年の新築マンション購入者への調査では、全体の約2割の方が、資金援助を受けて住宅を購入しており、その援助額の平均は925万円にもなっています。

こういった親等からの資金援助は、法的には「贈与」という扱いになります。そして、贈与が発生した場合には、金額に応じて、贈与税を納める必要があります。

例えば、1,000万円の資金援助を受けた場合、基礎控除額の110万円を差し引いても、177万円の贈与税を納める必要があります。

しかし、住宅を購入する目的に贈与が行われる場合には、金額に上限を設けて、非課税とする措置があります。これが、住宅取得資金贈与の非課税特例です。こちらも今回の増税によって、非課税限度額の拡充が行われています。

非課税限度額は以下の表のとおりになります。
新非課税

(2)適用条件
贈与者
・贈与者は受贈者の直系尊属であること(父母・祖父母)
受贈者
・年齢が20歳以上(贈与年1月1日時点)
・合計所得金額が2,000万円以下
・原則、贈与年の翌年3月15日までに新築、取得又は増改築等をした上で居住していること(贈与年の翌3月15日以後、遅滞なく居住することが確実であると見込まれる場合も含む)
物件
・床面積が50㎡以上240㎡以下であること(登記簿上の床面積)
・床面積の1/2以上が居住用であること
・既存(中古)住宅の場合は以下の要件が追加されます。
① 取得の日以前20年以内(マンションなどの耐火建築物の場合25年以内)に建築されたもの。
② 地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準ずるもの(耐震基準)に適合していること。
※①②に要件を満たさない物件であっても、昭和56年6月以降に建築確認を受けた「新耐震基準物件」と昭和56年6月以前に建築確認申請された物件でも、耐震改修工事を実施するなど現在の耐震基準を満たしている物件であれば、「耐震基準適合証明書」を取得することによって適用できる場合があります。

(3)注意点
・贈与年の12月31日までに居住していないときは、特例の適用は不可となり、修正申告が必要となります。
・新築住宅の場合は、翌年3月15日までに工事が棟上げ状態まで進んでいれば、建売住宅やマンションなどは同日までに引き渡しを受けていることが条件です。

(4)適用期限
2021年12月31日まで

3、不動産取得税

(1)概要
不動産取得税とは、不動産を取得した際に一回限りかかる地方税のことをいいます。
取得には、購入や増改築だけではなく、不動産の交換や贈与なども含まれます。

一方、最近多い相続による取得の場合には、課税されません。

(2)内容
不動産取得税の納税額は【課税標準×税率】によって定められます。

不動産取得税の課税標準は
・宅地の土地・・・固定資産税評価額の半分(特例:2021年3月31日まで)
・宅地等以外の土地と家屋・・・固定資産税評評価額
とされており、

税率は
・土地と住宅にそれぞれ3%(特例:2021年3月31日まで)。
・住宅以外の家屋には4%
税率が適用されます。

(3)軽減措置
一定の新築住宅や既存(中古)住宅を取得した場合には、課税標準に控除額を設けて減額します。

①新築住宅の場合(居住用)
【固定資産税評価額-※控除額1,200万円】×税率3%
※床面積50㎡以上240㎡以下。2020年3月31日までに新築された認定長期優良住宅は、1,300万円。
戸建以外の貸家住宅は40㎡以上240㎡以下(サービス付き高齢者向け住宅は30㎡以上210㎡以下)

②中古(既存)住宅
【固定資産税評価額―新築時期に応じた控除額】×税率3%
しかし中古住宅の場合には、次の4つの要件のいずれかを満たす必要があります。
・1982年1月1日以後新築
・床面積50㎡以上240㎡(現況床面積)
・地震に対する安全基準に適合することの証明がされたもの(例:新耐震物件)
・取得日までに耐震改修工事の申請等をし、かつ、居住日までに耐震改修工事を完了していること等の一定条件を満たすもの

いずれかの条件を満たしたうえで、控除額は新築時期に応じた額になります。
下の表にまとめました。
取得税 控除額

4、固定資産税・都市計画税

(1)概要
固定資産税・都市計画税は、毎年1月1日現在に市町村の固定資産課税台帳に所有者として登録されている方に対して課税される税金のことをいいます。また、都市計画施行内の土地家屋に対しては、別途、都市計画税も課税されます。

(2)内容
・固定資産税の計算式は
固定資産課税台帳に登録された評価額×1.4%(標準課税)
・都市計画税の計算式は
固定資産課税台帳に登録された評価額×0.3%(制限課税)
となります。

(3)軽減措置
①住宅敷地は課税標準を軽減
住宅用地のうち1戸あたり200㎡以下の部分は、小規模住宅用地として評価額の6分の1(都市計画税は3分の1)を課税標準します。また、200㎡を超える部分は(住宅の床面積の10倍まで)は評価額の3分の1(都市計画税は3分の2)を課税標準とします。

②新築住宅の固定資産税減額
2020年3月31までに新築された住宅は一定期間、居住用部分に対応する税額の2分の1に相当する金額が減額されます。

②の減額には次の要件を満たす必要があります。
・戸建て・・・50㎡以上280㎡以下(居住用面積が50%以上あること)
・マンション・・・50㎡以上280㎡以下

また、減額期間は
戸建
・一般住宅・・・3年度分
・認定長期優良住宅・・・5年度分

マンション
・一般住宅・・・5年度分
・認定長期優良住宅・・・7年度分

となります。

5、登録免許税・抵当権設定費用

(1)概要
登録免許税は、不動産登記簿に自身の所有物として登記する際に収める税金のことを言います。

また、購入時に住宅ローンなど抵当権を設定する際にも、設定するための税金を納める必要があります。

私たち不動産会社は、これら二つと司法書士への報酬額を含めて「登記費用」としてお客様にご案内しています。

(2)内容
不動産の場合は、固定資産税評価額を、住宅ローンなどの抵当権設定登記は債権金額を(住宅ローンを借りた金額)それぞれ課税標準として、税率をかけて税額を計算します。

また、2020年3月31日までに新築もしくは引き渡しを受ける物件には軽減税率が適用され、税率が軽減されます。下の表で確認しましょう。
免許税

6、印紙税

(1)概要
印紙税は、不動産関係以外にも納める場面があり、実際に納めたことや場面に接したことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

不動産では、主に不動産譲渡契約書(売買契約書)などに貼付する際に納める必要があります。※住宅ローンを借入する際は、金銭消費貸借契約。

(2)内容
税額は、その契約書記載の金額(不動産売買の場合、その取引金額)によって異なります。印紙税も2020.3.31まで軽減税率が適用されます。税額は以下の通りになります。
印紙税
※表の税額が軽減税率後の金額です。
※不動産取引に多い価格帯だけ抜粋しています。

7、すまい給付金

(1)概要
すまい給付金は、一定条件をクリアした住宅を購入した際に、収入などに応じた給付金が支給されることを言います。

前回の消費税引き上げ(5%→8%)の際に、国による住宅購入支援策の一つとしてスタートしました。
今回の10%への増税によって、給付金が今までの最大30万円から50万円へと増額がされ、収入額による制限も最大510万円から775万円に拡充されました。

こちらは税金の負担軽減ではありませんが、制度を把握しておくことで、給付金がもらえる可能性がありますので、説明します。

さて、詳しい適用条件といくら支給されるかを見てみましょう。

(2)適用条件
住宅ローンを利用して住宅購入する場合
新築住宅
・対象者自身が居住していること
・床面積が50㎡以上あること(登記簿面積)
・施工中に第三者機関による品質確認の検査を受けていること

中古(既存)住宅 上記の要件に加えて
・売主が「宅地建物取引業者」であること
・「既存住宅売買瑕疵保険」に加入していること
・「既存住宅性能表示制度」を利用(耐震等級1以上に限る)
・建設後10年以内で、新築時に「住宅瑕疵担保責任保険」に加入していること
または、「建設住宅性能表示制度」を利用していること

現金で購入した場合 新築・既存(中古)物件の要件に加えて
・年齢50歳以上(引き渡された年の12月31日時点)であること
・収入額の目安が650万円以下(都道府県民税の所得割額が13.30万円以下)

となっています。

(3)給付金額と収入額の目安
給付金額と収入額の目安は以下の表のとおりになります。
給付額縦

※神奈川県や政令指定都市は、他の都道府県と住民税の税率が異なるため、収入額の目安は同じですが、所得割額が表とは異なります。※収入額の目安は、夫婦(妻は収入なし)及び中学生以下の子供が2人のモデル世帯において、住宅を取得する場合の夫の収入額の目安です。

8、最後に

購入時の税金や税制優遇についてお話してきましたが、いかがでしたでしょうか。

年度変わりに変更される税制ですが、今年は消費税の引き上げもあり、10月より変更されている部分があります。

そして、税制優遇の適用条件は「人」や「物件」よって異なってきますので、どのような税制優遇があるか購入前に把握しておきましょう。

※この記事は2019年10月現在の税制を参考にしています。