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地場景況感、首都圏の賃貸業況DI3期ぶり上昇

 不動産情報サービスのアットホーム(株)は29日、40回目となる「地場の不動産仲介業における景況感調査」(2023年10〜12月期)の結果を発表した。北海道、宮城県、首都圏(1都3県、東京は23区と都下)、静岡県、愛知県、近畿圏(2府1県)、広島県、福岡県の13都道府県14エリアで前年同期と比較した業況判断指数(DI)を算出(「50」が前年並み)。同社加盟店のうち、都道府県知事免許を持ち5年を超えて不動産仲介業に携わる不動産店の経営者層が対象。調査期間は23年12月12〜25日。有効回答数は1,913店。分析はアットホームラボ(株)。

 当期の賃貸仲介DIは、首都圏が48.6(前期比2.1ポイント上昇)と3期ぶりに上昇した。一方近畿圏は41.7(同0.8ポイント低下)と3期連続で低下した。前年同期と比べると首都圏は11期連続、近畿圏は7期連続で上昇。

 全国14エリアでも、9エリアが前期比上昇。首都圏では神奈川県以外の4エリアが前期比・前年同期比とも上昇。特に東京23区の好調が首都圏全体をけん引するかたちになった。近畿圏では大阪府・兵庫県は前期比下落、前年同期比は横ばいまたは低下となった。京都府は51.9と前期比上昇に転じ、4期連続で50超となった。その他の6エリアでは、宮城県・愛知県が前期比・前年同期比ともに低下。他4エリアでは前期比・前年同期比上昇となった。コメントでは「転勤に伴う法人契約の社宅案件が増えた」(千葉市)、「法人チェーンの出店意欲が上がってきている」(神戸市)など、法人の賃貸需要の活発さを示す声がみられた。

 売買仲介の業況DIは首都圏が44.3(同0.4ポイント上昇)、近畿圏が45.1(同3.4ポイント上昇)と、いずれも前期比上昇した。前年同期比は、首都圏が0.3ポイント低下、近畿圏が0.2ポイント上昇とほぼ横ばいでの推移となった。エリア別では、14エリア中8エリアが前期比低下、11エリアが前年同期比低下となった。堅調な東京23区と京都府からは購入意欲の高さを挙げる声が目立ったものの、全体的には「物件価格の高騰で客足が遠のいている」(福岡市)、「新築マンションの購入希望だったが、価格と広さが条件に合わないため既存マンションの検討に変えた」(大阪市)など物件価格の高騰による購入意欲の減退を指摘する声や、「在庫が増えていることを知り、値引き交渉をしてくるユーザーが増えた」(札幌市)といった在庫物件の増加に関するコメントが目立った。

 24年1〜3月期の見通しDIは、賃貸仲介が首都圏53.6、近畿圏50.9と、共に上昇の見込み。14エリア中13エリアで上昇の見込みと、楽観的な見方が広がっている。千葉県、東京23区、京都府、大阪府、愛知県では見通しDIが50を超える。売買仲介では、首都圏が42.9、近畿圏が45.0と共に下落、14エリア中6エリアで上昇を見込む。

 アットホームラボ執行役員データマーケティング部部長の磐前淳子氏は、「賃貸において、東京23区の好調は、出社率の上昇に伴う職住近接・人口流入の回復が一因。繁忙期が早まっているとの声もある。売買に関しては売り買いの希望価格の乖離などから在庫過多の傾向がみられるが、東京23区、特に都心では需要が旺盛」と分析している。

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