こんにちは。コラム担当の米川です。
今回は2024年第3四半期(2024年7月から9月まで)のマーケットインフォメーションをお届けします。
7月から9月の首都圏中古マンション市場ですが、件数について市場の変調が見られました。
成約件数は2024年7月に2023年5月以来14ヶ月ぶりに前年同月比割れ、8月9月も前年同月割れが継続中です。
新規登録件数は2024年3月以降、7ヶ月連続で前年同月比割れが継続しています。
在庫件数は2024年5月以降、5ヶ月連続で前年同月比割れが継続しています。
成約件数の減少はボリュームの大きい東京都23区での成約数減少が最大要因です。当該地域は前年同月比で7月-3.2%、8月-9.6%、9月-11.7%と件数減少幅が拡大中です。

㎡単価についても一部変調がありました。
成約単価は2020年5月以降、53ヶ月連続で前年同月比で上昇中です。
新規登録は2024年5月以降5ヶ月連続で上昇しています。
在庫は2024年8月に2023年7月以来、13ヶ月ぶりに前年同月比で上昇、9月も上昇継続しています。
2024年7月までは成約上昇率が新規登録を上回っていましたが、一転8月以降は新規登録上昇率が成約上昇率を上回り「かなり強気な売出」が増えた可能性があります。

2024年7月から9月の間、世間では様々な変化がありました。植田和男日銀総裁による金融正常化に向けた政策金利引上げ可能性の示唆、米国の景気先行き懸念の発生、日米金利差縮小予想に伴う円高進行、円高進行に伴う輸出不振を嫌気した日経平均の乱高下が記憶に残るところです。また直接的な影響としては短プラ金利上昇による金融機関の住宅ローン金利引き上げ発表がありました。


首都圏中古マンション市場は物価上昇に伴う原材料費の高騰、人件費の上昇で新築マンションの先高観の影響で前年同月比で成約㎡単価の上昇が続いています。
しかしながら7月から9月までの短期間では変調が見られます。成約㎡単価の低下、新規登録㎡単価の上昇、在庫㎡単価の上昇です。
背景として想像できるのは以下の3点です。
成約㎡単価の低下 適正価格の物件が以前より価格を下げて成約(相場の下落基調)
新規登録㎡単価の上昇 先高観による高値期待の売出増加
在庫㎡単価上昇 成約に至らない割高物件の増加

首都圏中古マンション市場は潮目を迎えている可能性があります。
目次
首都圏エリア(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県)の市況について

2024年7-9月の首都圏中古マンション市場では、住宅ローン金利の上昇や米国の利上げの影響が続く中、価格は一時の上昇から若干下落し、平均成約㎡単価は76.73万円となりました。在庫件数も減少しており、需要の調整が進んでいます。国内購入者の一部が金利上昇の影響で買い控えたものの、価格下落が購入促進につながっている可能性があります。今後も需給バランスの変化が市場に影響を与える見通しです。
都心3区の市況について

2020年7-9月時点での都心3区平均成約㎡単価は124.40万円、2024年7-9月時点では190.41万円、
比較すると53.06%の上昇を記録し、急激に上昇し続けています。在庫件数は2020年頃から一時
減少し、その後増加の兆候がみられましたが、足元では再度減少し2021年頃の水準まで戻りつつ
あります。
城東エリアの市況について

2020年7-9月時点での城東エリア平均成約㎡単価は63.97万円、2024年7-9月時点では89.13万円、比較すると39.33%の上昇を記録しています。一方、在庫件数は2023年4-6月時点で最も高い在庫
水準となった後、現在は減少傾向にあります。
城南エリアの市況について

2020年7-9月時点での城南エリア平均成約㎡単価は80.97万円、2024年7-9月時点では109.06万円、比較すると34.70%の上昇を記録しています。一方、在庫件数は2023年4-6月時点で高い在庫水準となりましたが、以降、減少しています。
城西エリアの市況について

2020年7-9月時点での城西エリア平均成約㎡単価は95.21万円、2024年7-9月時点では136.29万円、比較すると43.14%アップと急激に上昇しています。一方、在庫件数は2023年4-6月時点で高い在庫水準となりましたが、以降、減少しています。
城北エリアの市況について

2020年7-9月時点での城北エリア平均成約㎡単価は71.79万円、2024年7-9月時点では93.59万円、比較すると30.36%アップと急激に上昇しています。一方、在庫件数は2023年4-6月時点で高い在庫水準となりましたが、以降、減少しています。
東京多摩エリアの市況について

2020年7-9月時点の東京多摩エリアの平均成約㎡単価は43.11万円、2024年7-9月には55.30万円へと28.27%上昇しました。過去数年間で価格は上昇していますが、2024年にはやや減少傾向が見られます。一方、在庫件数は2020年に一時減少したものの、その後は増加し、高水準を維持しています。
さいたま市の市況について

2020年7-9月時点でのさいたま市平均成約㎡単価は41.61万円、2024年7-9月時点では59.75万円にまで上昇しており、これは43.58%の上昇を示しています。一方、在庫件数は2020年頃に一時的に
減少しましたが、その後増加傾向が続いており、供給が以前として多いことが示されています。
埼玉中央エリアの市況について

2020年7-9月時点の平均成約㎡単価は39.40万円、2024年7-9月時点では54.39万円となり、増減を繰り返しつつも38.06%上昇しています。一方、在庫件数は2020年頃に減少したものの、その後増加傾向にあり、現在は高水準を維持しています。
千葉総武エリアの市況について

2020年7-9月の千葉総武エリア平均成約㎡単価は36.05万円、2024年7-9月には48.82万円となり、増減を繰り返しながらも35.41%上昇しました。一方、在庫件数は2020年頃に減少後、増加傾向が
続き、現在は近年で最も高い水準に達しています。
横浜市の市況について

2020年7-9月時点での横浜市平均成約㎡単価は47.77万円、2024年7-9月時点では58.83万円と23.14%上昇しましたが、直近では下落傾向にあります。一方、在庫件数は2020年頃に減少後、
増加傾向が続き、現在も高い水準を維持しています。
川崎市の市況について

2020年7-9月時点での川崎市平均成約㎡単価は54.16万円、2024年7-9月時点では71.65万円と32.30%上昇しましたが、直近では下落傾向にあります。一方、在庫件数は2020年頃に減少後、
増加傾向が続き、現在も高い水準を維持しています。