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田の字型のマンションとは?レイアウトの特徴や選ぶ際のポイントを解説

田の字型のマンションとは?レイアウトの特徴や選ぶ際のポイントを解説

マンションを購入する際に気になることのひとつが「間取り」ではないでしょうか?マンションの間取りを大きく分けると「田の字型」「センターイン型」「ワイドスパン型」の3種類がありますが、多くのマンションで「田の字型」が採用されています。

そこで今回は、田の字型マンションの特徴やメリット、注意点について解説します。田の字型マンション以外の型や田の字型マンションを選ぶ際のポイントも解説しますので、これからマンションの購入を考えている方はぜひ参考にしてみてください。

田の字型マンションとは

田の字型マンションとは、漢字の「田」のように長方形で上下左右に部屋がきれいに分かれる間取りのマンションです。たとえば、玄関からまっすぐに伸びた廊下の左右に1部屋ずつ、廊下の先にリビング、リビングの隣に1部屋といった間取りです。玄関の反対側にあるリビングに接する形でバルコニーが配置されていることも特徴のひとつ。田の字型は主にファミリー向け3LDKの間取りとして、多くのマンションで採用されています。

レイアウトの特徴

多くのマンションで田の字型の間取りが採用されている理由のひとつが、できる限り無駄を省いた設計であることです。田の字型の間取りは水回りが中央部分に集まっているため、施工効率を高めることができます。さらに、水回りがまとまっていると、住み始めてからのメンテナンスもおこないやすくなるでしょう。

また、田の字型は他の間取りタイプよりも間口が狭いことが多いため、効率よく部屋割りを増やしやすい特徴もあります。

田の字型マンション以外の型 

田の字型マンション以外にも、「センターイン型」「ワイドスパン型」と呼ばれる間取りタイプがあります。ここでは、センターイン型とワイドスパン型の特徴について、田の字型マンションと比較しながら解説します。

センターイン型

センターイン型は、玄関が中央に配置されている間取りのことをいいます。玄関の左右に部屋が分かれていて、一方にLDK、もう一方に居室が配置されているのが一般的です。 

玄関が中央に配置されていることから、田の字型と比較すると各部屋につながる廊下が短いことも特徴のひとつです。センターイン型は廊下が短い分、田の字型よりも居室の面積を広くすることができます。さらに、廊下が短いので各部屋への移動がしやすい生活動線の良さがあり、機能的で暮らしやすい点もメリットです。

さらに、リビングなど家族が過ごす「パブリック」の空間と、寝室・子ども部屋といった「プライベート」の空間を分離しやすいこと、角部屋でなくてもバルコニーを2か所に設置できることも大きな魅力です。センターイン型マンションは、来客スペースとプライベートな空間を分けたい人や、日当たりや風通しの良さを求める人に向いているといえるでしょう。 

ただし、センターイン型マンションは供給数が少ないので選択肢が限られてしまう可能性があります。

 ワイドスパン型

ワイドスパン型は、バルコニー側の間口が広く取られている間取りです。一般的な田の字型マンションのバルコニー側間口は6m前後ですが、ワイドスパン型マンションの多くは7~8m以上となっています。

バルコニー側の間口が広いので、リビングの他に1〜2部屋がバルコニー側に配置される間取りが多いでしょう。田の字型と比較するとバルコニーに接する居室が多いことから、採光性が高く明るい部屋を確保しやすいことも特徴のひとつ。バルコニーの幅が広くなるので開放感が増すメリットもあります。 

ワイドスパン型マンションはバルコニー側の間口が広いことから、田の字型マンションと比較すると分譲戸数が少なくなりがちです。また、リビングが中心に配置されて各部屋につながる間取りが多いため、各部屋のプライバシーを確保したい人には向いていないかもしれません。

田の字型マンションのメリット

ここでは、田の字型マンションのメリットについて解説します。メリットを踏まえて、ご自身やご家族に適した間取りであるか検討してみてください。 

希望の物件が見つけやすい

田の字型の間取りは画一的な規格で汎用性が高く、多くのマンションで採用されています。供給されている数が多いため、希望に合う物件を見つけやすいメリットもあるでしょう。

さらに、田の字型マンションは水回りのメンテナンスがしやすいように中央に集約されていることも特徴のひとつ。メンテナンスしやすい配置であるためトラブルを防ぎやすく、結果的に維持管理にかかるコストの削減にもつながります。

採光性が高い

田の字型マンションは、リビングと居室が玄関側とベランダ側に配置されている間取りです。各部屋に窓を設置することが可能で、室内に自然光を取り入れやすいといえるでしょう。

田の字型の間取りには「縦長」だけでなく「横長」のタイプもあります。横長タイプはバルコニー側にリビングが広がる間取りとなるため、縦長タイプよりもさらに明るく開放感のあるリビングになります。開放感を求める場合は、物件選びの際にサッシの高さにも注目してみましょう。

なお、横長タイプの場合はリビングと接する部屋の窓がなくなってしまうことに注意が必要です。

換気性が高い

田の字型マンションはリビングと居室が玄関・バルコニー側の外部に面しているため、各部屋に窓を設置しやすい特徴があります。そのため、自然の光を取り入れやすいだけでなく、窓を開けて室内の空気を入れ替えやすいメリットもあるのです。マンションは戸建てよりも気密性が高い特徴があるため、換気のしやすさは大切なポイントのひとつといえるでしょう。

部屋の独立性が高い

田の字型マンションは、玄関からまっすぐに伸びた廊下の左右に居室、廊下の先にリビングがある間取りが一般的です。玄関側の各部屋とリビングは廊下によって隔てられているため、各部屋の独立性が高いこともメリットといえます。仕事部屋や子ども部屋など、家族個人の空間を確保しやすい間取りであるといえるでしょう。

田の字型マンションの注意点 

田の字型マンションには上記のようなメリットがある一方で、注意点もあります。家族構成や生活スタイルなどによっても適した間取りが異なるため、メリットと注意点の両面から実際の暮らしをイメージしてみましょう。

外の共用廊下に面する部屋のプライバシー性が低い

玄関側に配置された部屋は、同じフロアに暮らす住民が利用する共用廊下と接しています。そのため、共用廊下に面している窓から室内が見えてしまう可能性があるのです。玄関側に配置された部屋は、プライバシーを保ちにくいといえるでしょう。 

窓を開けにくく採光性が気になる場合は、共用廊下を挟んだ向かい側に階段やエレベーターなど光を遮るものが少ない部屋を検討してみましょう。ブラインドなどを活用して、共用廊下から見えないように工夫したうえで窓を開ける方法もあります。

また、共用廊下と面している部屋は、エレベーターに向かって歩く住民の足音などの騒音が聞こえてくる可能性もあります。共用廊下と部屋の距離・プライバシー性が気になる方は、エレベーターに近い物件を避けたり、アルコープや玄関ポーチのある物件も検討してみましょう。

部屋の面積が比較的狭くなる

田の字型マンションにおける特徴のひとつが、玄関から各部屋につながる廊下が長いことです。専有面積が広くても、廊下の面積が大きければその分居室が狭くなってしまいます。特に、「LDK」と表記される部屋は扉からリビングダイニングまでの区間が実質通路として利用されるため、間取りに表記された面積よりも体感的に狭く感じる可能性があるでしょう。廊下の面積に圧迫されて、収納スペースも狭くなりやすい点にも注意が必要です。

家族内でのコミュニケーションが減少する可能性がある

先ほど解説したように、田の字型マンションのメリットには「部屋の独立性が高い」ことがあります。しかし裏を返せば、家族そろって過ごす時間が少なくなってしまい、家族間のコミュニケーションが減少する可能性があるともいえるでしょう。

家族がそれぞれ独立された個人の部屋で過ごすようになると、どうしても顔を合わせる時間が減少してしまいます。同じ空間にいれば会話が生まれやすくなるので、コミュニケーション不足となることに不安を感じる場合は、一緒に過ごす時間を増やせるように各部屋の使い方を工夫してみるようにしましょう

田の字型マンションを選ぶ際のポイント

田の字型マンションは、できる限り無駄を省いた設計で多くのマンションで採用されています。他の間取りタイプよりも数が多いので、選ぶ際のポイントを押さえておけば、ご自身やご家族の希望条件に合う物件を見つけやすくなるでしょう。ここでは、田の字型マンションを選ぶ際のポイントを2つご紹介します。

高層階や角部屋など採光と換気の良い部屋を選ぶ

毎日の暮らしに大きな影響を与えやすいポイントのひとつが「日当たり」です。日当たりは部屋の明るさだけでなく、室内の暖かさや湿度にも影響を与えます。日当たりを重視する場合は、日の光が部屋に入りやすい南向きの物件や窓が多くなりやすい角部屋、光を遮るものが少ない高層階を検討してみましょう。明るく開放感のあるリビングダイニングを求める場合は、横長タイプの間取りもおすすめです。

なお、日当たりは周辺にある建物などの環境にも大きな影響を受けます。日当たりを重視する場合は、目の前にある建物の高さだけでなく、将来的に高さのある建物が建築される可能性も調べておく必要があるでしょう。気になる方は、周辺の用途地域や高さ制限、土地活用の現況などを確認するようにしましょう。

気密性の高いマンションでは、換気のしやすさも大切なポイントのひとつです。空気の入れ替えが不十分だと湿気がたまり、結露やカビ発生の原因となってしまう可能性があるからです。換気のしやすさを重視する場合は、エレベーターから距離があり人の往来が少なく、窓が多くなりやすい角部屋を検討してみましょう。

家族構成や生活スタイルなどの条件によっては、必ずしも高層階が最適であるとは限りません。また、階数が高くなるほど物件価格も高くなるのが一般的です。将来的なライフプランを考慮しながら住まいに求める条件に優先順位を付けて、物件を検討していくことをおすすめします。

柱や仕切りの有無で選ぶ

室内に柱があると家具を配置しにくいため、デッドスペースが生まれやすくなります。柱や梁、収納スペースの位置によっては、大きな家具を配置するとそれ以外の物が置けなくなってしまう可能性も考えられるでしょう。同じ建物内でも住戸によって柱や梁の位置が異なります。内見する際は、大きさだけでなく部屋の形や高さも確認するようにしましょう。

また、LDKと接する部屋の仕切りがない場合は、2つの部屋を一体化することが可能です。ゆったりとしたリビングダイニングとしての活用もできるでしょう。仕切りの有無や仕切りの奥行き・高さによっても部屋の活用方法が異なるため、実際の暮らしをイメージしながら確認してみましょう。

似たような間取りであっても、周辺環境や住戸の位置などの条件によって住み心地が大きく変わる可能性があります。ご自身やご家族の生活スタイルや今後のライフプランを考えながら、最適な物件を探していきましょう。

まとめ

田の字型マンションは、できる限り無駄を省いて建築コストを抑えられていることに加えて、水回りを中央に集約してメンテナンス性を高めた設計という特徴があります。さらに、効率よく部屋割りをしやすい間取りで1戸あたりの物件価格を抑えやすいこともあり、多くのマンションで採用されています。田の字型マンションは物件数も豊富にあるため、他の間取りタイプよりも希望条件に合う物件を探しやすいといえるでしょう。

田の字型マンションは画一的な規格で似たような間取りになりがちですが、採光性や換気性は周辺環境や住戸の位置などの条件によって異なります。まずは住まいに求める条件や優先順位をご家族で話し合ってから、理想の暮らしができる物件を探してみましょう。平面の間取り図から想像するイメージと、実際に内見して感じる印象が異なることはよくあります。気になる物件があればまずは内見し、暮らしを具体的にイメージしながら検討してみましょう。

不動産ライター

小花絵里(おばなえり)

【経歴】

不動産会社・住宅メーカーで働いていた経験から、不動産についてわかりやすく解説する不動産ライター。

会社員時代は賃貸・売買仲介、社宅代行、建売住宅等を目的とした土地の仕入れなどの業務に従事していました。現在はフリーランスの不動産ライターとして大手Webメディアを中心に多数寄稿しています。

保有資格:宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士/FP2級など

ブログでは、賃貸併用住宅や戸建て投資に関する記事や体験談を更新しています。