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実勢価格とは?公示地価・路線価との違いや最新相場の調べ方

実勢価格とは?公示地価・路線価との違いや最新相場の調べ方

不動産の売買を検討していると、「実勢価格」という言葉を目にすることがあります。しかし、具体的にどのような価格を指すのか、わかりにくいと感じる方も多いかもしれません。不動産取引では、実勢価格の他にも公示地価や路線価など複数の価格が存在するため、それぞれの違いを理解しておくことが大切です。

本記事では、実勢価格の意味や公的価格との違い、調べ方についてわかりやすく解説します。あわせて、実勢価格に影響を与える要素や、直近の市場動向についても紹介します。不動産取引を安心して進めるための基礎知識として、ぜひ参考にしてください。

実勢価格とは?

実勢価格と他の公的価格との違い

実勢価格とは、実際の取引において成立した価格、いわゆる時価を指します。公的機関が公表する基準価格とは異なり、市場の動きに応じて日々変動するのが特徴です。

実勢価格は、需要と供給のバランスによって決まります。たとえば、景気や金利の動向、再開発といった社会的な影響に加え、周辺の類似物件の取引事例なども価格に反映されます。

さらに、売主が早期の現金化を希望している場合や、買主が特定の物件を強く希望している場合など、当事者の事情によっても実際の取引価格は上下します。このように、実勢価格はさまざまな要因が複雑に絡み合って形成されます。

実勢価格と他の公的価格との違い

実勢価格と他の公的価格との違い

不動産の価格には、実勢価格の他に国や自治体が公表する複数の「公的価格」があります。それぞれ調査主体や目的、価格水準が異なり、実勢価格を把握するうえで指標となります。ここでは、主な4つの公的価格との違いを見ていきましょう。

  • 公示地価(公示価格)
  • 基準地価
  • 相続税路線価
  • 固定資産税評価額

公示地価(公示価格)

公示地価(公示価格)は、国土交通省が毎年1月1日時点の土地の価格を調査し、3月下旬頃に公表するものです。全国に設定された標準地における、1平方メートルあたりの正常な価格を示しており、土地取引の客観的な指標として用いられます。

公示地価は、一般の土地取引価格の目安となる他、公共事業用地の取得価格を算定する際の基準にもなります。ただし、個別の土地が持つ形状や接道状況といった特性は反映されていません。そのため、実際の取引価格である実勢価格とは一致しない点を理解しておく必要があります。

基準地価

基準地価とは、都道府県が毎年7月1日時点の基準値を調査し、9月頃に公表する価格です。「都道府県地価調査」における標準的な価格を指します。

公示地価を補う位置づけにあり、都市計画区域の内外を問わず調査されるのが特徴です。公示地価とは調査の基準日が半年ずれているため、2つの価格を比較することで、より短期間での価格変動を把握する際にも役立ちます。

相続税路線価

相続税路線価とは、相続税や贈与税を計算する際の基準となる価格です。国税庁が主体となり、毎年1月1日時点の価格を7月頃に公表します。

路線価は、主要な道路に面した土地の1平方メートルあたりの価格を示したものです。一般的に、公示地価の80%程度の水準になるように設定されています。路線価が定められていない地域では、固定資産税評価額に一定の倍率をかけて計算する「倍率方式」が用いられます。

相続税路線価は、国税庁のWebサイト「路線価図・評価倍率表」で誰でも確認が可能です。

固定資産税評価額

固定資産税評価額は、固定資産税や都市計画税といった税金を算出する際の基準となる価格です。国が定めた評価基準に基づいて、各市町村(東京23区は東京都)が個別の不動産を評価し、決定します。

評価額は原則として3年に1度見直され、これを「評価替え」と呼びます。土地の評価額は公示地価の約70%が目安とされています。建物については、同じ建物を再度建築した場合にかかる費用(再建築価格)を基準に、経年劣化による価値の減少を考慮して算出されます。

より詳しい内容は、以下の記事でも解説しています。

固定資産税評価額とは?計算方法や目安の金額、調べ方を解説

土地の実勢価格の目安を計算する方法

土地の実勢価格の目安を計算する方法

公的価格は、それぞれ評価の基準が異なるものの、土地の実勢価格をおおまかに把握するための参考として活用できます。ただし、あくまでも簡易的な目安にすぎず、実際の取引価格とは差が生じる可能性があることを踏まえておく必要があります。

ここでは、公的価格をもとに実勢価格を推定する3つの計算方法を紹介します。

  • 公示地価・基準地価から計算する
  • 相続税路線価から計算する
  • 固定資産税評価額から計算する

公示地価・基準地価から計算する

一般的に、実勢価格は公示地価の1.1~1.2倍が目安といわれており、これをもとにおおよその価格を算出できます。

計算式は「実勢価格の目安 =公示地価 × 1.1〜1.2」です。

ただし、この倍率は法律で定められたものではありません。あくまで不動産市場における慣例的な数値であり、地域や市場の状況によって大きく異なります。たとえば、需要の高い都市部では1.5倍以上になることもあれば、地方では公示地価とほぼ同じ価格で取引されることもあります。

より正確な価格を知るには、周辺の取引事例や不動産会社による査定結果などを確認することが大切です。

相続税路線価から計算する

相続税路線価は、公示地価のおおよそ80%を目安に設定されているため、それを利用して実勢価格の目安を計算できます。まず、路線価を0.8で割って公示地価相当の価格を求め、そこに1.1〜1.2をかけて実勢価格の目安を算出します。

計算式は「実勢価格の目安 =(相続税路線価 ÷ 0.8)× 1.1〜1.2」となります。

たとえば、路線価が1平方メートルあたり24万円の場合、24万円 ÷ 0.8 = 30万円が、公示地価相当の水準です。これに1.1〜1.2をかけると、実勢価格の目安は33万〜36万円程度と推定できます。あくまで目安ですが、土地の価値を把握するひとつの参考になります。

固定資産税評価額から計算する

土地の固定資産税評価額は、公示地価の約70%を基準に設定されています。この関係をもとに、まず固定資産税評価額を0.7で割り戻して公示地価相当の水準を求めます。そこに1.1〜1.2をかけることで、実勢価格のおおまかな目安を算出できます。

計算式は「実勢価格の目安 =(固定資産税評価額 ÷ 0.7)× 1.1〜1.2」です。

ただし、この方法は土地の価格を推定するものであり、マンションの実勢価格を把握するには十分ではありません。マンションの場合、土地の持ち分に加えて、建物の管理状況や築年数、階数、向きといった要素も価格に影響します。

マンションの実勢価格の調べ方は、次の章で解説します。

マンションの実勢価格や最新相場の調べ方

マンションの実勢価格や最新相場の調べ方

マンションの実勢価格を把握するには、土地の価格から推定するよりも、実際の取引事例を確認する方法が現実的です。ここでは、マンションの実勢価格や相場を調べる方法を4つ紹介します。

  • 不動産情報ライブラリで調べる
  • レインズマーケットインフォメーションで調べる
  • 不動産情報ポータルサイトで調べる
  • 不動産会社に査定を依頼する

不動産情報ライブラリで調べる

国土交通省が公開している「不動産情報ライブラリ」は、不動産の取引価格や地価の情報を地図上で確認できるWebサイトです。エリアや最寄り駅、取引時期、面積などの条件を指定して検索できます。

実際に不動産を購入した人へのアンケート結果をもとに作成されており、成約価格の目安を把握できるのが特徴です。地図上では物件の位置が点で示され、特定されないように配慮されています。

地域等により事例の掲載数はあまり多くないケースもありますが、無料で利用できるうえ、情報の信頼性も高いため、広く活用されています。検討しているエリアの相場感をつかむうえで、確認しておくとよいでしょう。

レインズマーケットインフォメーションで調べる

レインズマーケットインフォメーションは、不動産会社が利用する「REINS(レインズ)」に登録された取引情報を、一般向けに公開しているWebサイトです。実際の成約価格をもとにしたデータで構成されており、信頼性の高い情報源として活用されています。

全国の不動産会社から集められた取引事例を、地域や専有面積、間取り、築年数などの条件で検索できます。不動産情報ライブラリと併用すると、公的機関によるアンケート結果に加え、不動産会社の取引データも確認できます。より幅広い視点から相場を把握したい場合に有効です。

不動産情報ポータルサイトで調べる

一般的な不動産情報ポータルサイト(SUUMO・アットホーム等)を活用すれば、希望するエリアで現在売りに出されている類似物件の価格を確認できます。

どのような条件の物件が、どの価格帯で掲載されているかを把握することで、市場の動向や売出価格の目安をつかみやすくなります。現時点での相場感を知るための参考資料として有効です。

不動産情報ライブラリやレインズマーケットインフォメーションよりも手軽に確認でき、写真など詳細情報も確認出来るメリットがありますが、成約価格ではなく売出価格であることには注意が必要です。

不動産会社に査定を依頼する

実勢価格をより正確に把握する方法として、不動産会社に査定を依頼するのが有効です。階数や方角、内装の状態、売事情などの個別条件に加え、周辺の取引事例や市場の動向を踏まえて、専門的な視点から価格を算出してもらえます。

多くの不動産会社では、無料で査定をおこなっており、気軽に相談することが可能です。1社だけでなく複数の会社に依頼し、査定価格とその根拠を比較することで、客観的な価格の目安が見えてきます。

不動産会社の査定は、所有者からの依頼の場合のみ行われるため、購入を検討している物件の査定はできませんが、所有している不動産の実勢価格を知るには、最も適した方法と言えるでしょう。

実勢価格を調べるときの注意点

実勢価格を調べるときの注意点

実勢価格を自分で調べる場合には、いくつかの注意点があります。これらを把握していないと、価格の目安を見誤ってしまうおそれがあります。より正確な相場観をつかむためには、次の3つを押さえておきましょう。

  • 売出価格と成約価格は異なる
  • 過去の取引価格と現在の相場は異なる
  • 個別の条件次第で価格は変動する

売出価格と成約価格は異なる

上記でも触れましたが、不動産情報ポータルサイトなどに表示されている価格は、売主が設定した「売出価格」です。「この金額で売りたい」という希望にもとづいた金額であり、実際の取引価格とは異なることがあります。

実際に売買が成立した価格は「成約価格」と呼ばれます。多くの場合、購入希望者との交渉を経て価格が調整されるため、成約価格は売出価格よりも低くなる傾向があります。

相場を正しく理解するには、2つの価格の違いを把握し、成約価格を重視することが重要です。

過去の取引価格と現在の相場は異なる

不動産の価格は、景気や金利、周辺環境の変化など、さまざまな要因によって変動しています。そのため、古い取引事例は現在の相場とかけ離れている可能性があります。

実勢価格を調べる際は、できるだけ直近の取引データを参考にすることが重要です。目安としては、半年以内、遅くとも1年以内の事例が適しています。過去の価格はあくまでも参考情報ととらえ、現時点の市場に近いデータをもとに判断するようにしましょう。

個別の条件次第で価格は変動する

同じマンション内や近隣エリアの類似物件であっても、個別の条件によって価格は大きく異なります。たとえば、階数や方角、眺望といった条件が価格に与える影響は少なくありません。

さらに、リフォームの有無や内装の状態、設備の新しさなども査定における重要な要素です。そのため、取引事例を確認する際は、価格だけを比較するのではなく、各物件の条件の違いにも注目する必要があります。

マンションの実勢価格に影響を与える要素については、次の章で紹介します。

マンションの実勢価格を左右する要因

マンションの実勢価格を左右する要因

マンションの実勢価格は、需要と供給のバランスに加え、物件が持つさまざまな要素によって左右されます。なかでも価格に影響を与えやすい要素は、大きく分けて「建物」と「立地・周辺環境」の2つです。

【建物に関する要素】

  • 眺望・陽当り
  • 広さ・専有面積
  • 間取り
  • 階数
  • 築年数
  • 管理状況
  • 共用施設・サービス

【立地・周辺環境に関する要素】

  • エリアの需要
  • 交通利便性
  • 周辺施設の充実度

たとえば、眺望がよく陽当りも良好な高層階の角部屋は人気が高く、価格が高くなる傾向があります。一方で、低層階でも、専用庭やルーフバルコニーがある住戸であれば評価が上がることもあります。

また、管理状態のよいマンションは資産価値が維持されやすいです。交通アクセスが良好で生活施設が整ったエリアも、安定した需要が期待できるため価格が下がりにくい傾向があります。

これらの要素についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

マンションの資産価値を決める10個の要素!調べ方や年数による推移も解説

マンション購入における実勢価格の活用ポイント

マンション購入における実勢価格の活用ポイント

マンションの実勢価格は、購入を検討するうえで重要な判断材料になります。調べた価格は、次のような場面で活用できます。

  • 購入予定の物件が適正価格かどうかを見極める
  • 価格交渉の根拠として利用する
  • 将来の資産価値を見通し、長期的な計画に活かす

実勢価格を知っていれば、売出価格が周辺の相場と比べて妥当かを客観的に判断できます。相場の感覚を身につけることで、割高な物件を避ける判断もしやすくなります。また、近隣の成約事例などのデータを交渉材料にすることで、価格交渉に説得力を持たせることが可能です。

さらに、エリアごとの価格傾向や築年数による変動を理解しておけば、将来的な資産価値の予測もしやすくなり、ライフプランを立てる際の参考にもなります。

2025年における中古マンションの実勢価格の動向

2025年における中古マンションの実勢価格の動向

東日本不動産流通機構の公表データによると、2025年第1四半期(1〜3月)の首都圏における中古マンション市場では、成約件数・成約価格のいずれも上昇傾向が見られ、取引は引き続き活発な状況です。

背景としては、需要が比較的堅調であることに加え、新規登録件数の減少により供給が限られていることが挙げられます。とくに東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷)では価格の上昇幅が大きく、周辺エリアとの差が広がっています。

一方で、金利上昇に対する慎重な姿勢も見られ、購入を見送る動きも一部で出ています。その結果、立地や条件の良い物件に需要が集中し、二極化の傾向が進んでいます。

購入を検討する際は、物件の魅力だけでなく、市場環境の変化にも注目しながら判断することが重要です。

オークラヤ住宅では、こうした最新情報を随時お届けしています。

詳細な市場動向については、以下のページをご覧ください。

マーケットインフォメーション2025年第1四半期(2025年1月から3月まで)

まとめ

まとめ

実勢価格とは、不動産が実際に取引された際の価格を指します。常に変動するもので、公的な価格とは性質が異なります。適正な価格で不動産を購入するためには、最新の取引事例をもとに相場を把握することが大切です。

実勢価格は、さまざまな方法で調べられます。こうした情報を把握することで、売出価格の妥当性の判断や、価格交渉がしやすくなります。

購入を検討する際には、最新の相場を確認するようにしましょう。

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