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中古マンションの住宅ローン控除の適用条件と注意点、手続きを解説

中古マンションの住宅ローン控除の適用条件と注意点、手続きを解説

中古マンションの購入を検討する際に、住宅ローン控除を利用できるか気になる方もいるのではないでしょうか。住宅ローン控除は、住宅購入の負担を軽減できる制度ですが、適用されるためには一定の条件を満たす必要があります。特に中古マンションの場合は、新築とは異なる要件もあるため、事前に内容を理解しておくことが大切です。

本記事では、中古マンションで住宅ローン控除を受けるための適用条件や控除額、手続きの流れについて詳しく解説します。注意点もあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

住宅ローン控除(減税)とは

住宅ローン控除(減税)とは

住宅ローン控除(減税)は、住宅ローンの利用者負担の軽減を目的とした制度で、正式名称を「住宅借入金等特別控除」といいます。毎年末時点での住宅ローン残高、または住宅の取得対価のうち、いずれか少ないほうの金額の0.7%が、各年の控除限度額の範囲内で所得税から控除される仕組みです。

所得税から控除しきれない場合は、翌年度の住民税から「所得税の課税総所得金額等の5%(上限97,500円)」を限度として控除されます。控除を受けるためには、原則として入居した年の翌年に確定申告が必要です。中古マンションの購入を検討する際には、仕組みを理解しておきましょう。

中古マンションで住宅ローン控除を受けるための適用条件

中古マンションで住宅ローン控除を受けるための適用条件

住宅ローン控除を受けるためには、購入者自身、購入する物件、利用する住宅ローンそれぞれに定められた条件を全て満たす必要があります。ここでは、中古マンションで住宅ローン控除を利用するための具体的な適用条件について解説します。

  • 購入する人(買主)の条件
  • 購入する中古マンションの条件
  • 借り入れる住宅ローンの条件

購入する人(買主)の条件

住宅ローン控除の対象となるのは、主に以下の条件を満たす人です。

  • 控除を受ける年の合計所得金額が2,000万円以下であること
  • 購入した中古マンションの引渡しの日から6か月以内に入居していること
  • 控除を受ける年の12月31日まで引き続き居住していること
  • 生計を同一にする親族などからの購入ではないこと

合計所得金額が2,000万円を超えると、その年は控除を受けられません。

また、住宅ローン控除は、あくまで自身が居住するための住宅が対象となる制度です。そのため、親や子ども、配偶者など、生計をともにする親族から物件を購入した場合は、控除の対象外となります。

購入する中古マンションの条件

住宅ローン控除の対象となる中古マンションは、主に以下の条件を満たす必要があります。

  • 登記簿上の床面積が50平方メートル以上で、その2分の1以上が自己の居住用であること
  • 1982年(昭和57年)1月1日以後に建築された物件であること

床面積は、パンフレットなどの面積ではなく、登記事項証明書に記載されている面積で判断される点に注意が必要です。なお、合計所得1,000万円以下の場合に床面積要件が40平方メートル以上に緩和されるのは、新築住宅の一部特例であり、中古マンションは対象外です。

また、中古マンションで特に重要なのが耐震基準で、控除要件は新耐震基準が適用された1982年以後の建築とされています。

築年数が古いマンションも耐震性能の証明書があれば控除可能

1981年(昭和56年)12月31日以前に建築された旧耐震基準のマンションでも、住宅ローン控除を受けられる場合があります。その際には、地震に対する安全性を証明するために、以下のいずれかの書類の提出が必要です。

  • 耐震基準適合証明書
  • 住宅性能評価書(耐震等級1以上)
  • 既存住宅売買瑕疵(かし)保険付保証明書

これらの証明書は、物件の引渡しまでに取得する必要があり、証明書の種類に応じて「その家屋の取得の日前2年以内に調査が終了したもの」といった有効期間の要件が定められています。取得手続きに時間がかかる場合もあるため、旧耐震基準の物件を検討する際は、早めに不動産会社へ相談しましょう。

買取再販住宅の追加条件

また、買取再販住宅(不動産会社が買取をしたのち、リフォーム・リノベーションをして再販する物件)については、追加の条件があります。

  • 宅地建物取引業者から取得
  • 宅地建物取引業者が取得してから、工事を行って再販売するまでの期間が2年以内
  • 取得の時において、新築された日から起算して10年経過
  • 建物価格に占めるリフォーム工事の総額の割合が20% (リフォーム工事の総額が300万円を超える場合には300万円)以上
  • 一定の条件を満たしたリフォーム工事が行われていること

宅地建物取引業者が売主の買取再販物件を検討する際は、条件に当てはまるかどうか確認するようにしましょう。

借り入れる住宅ローンの条件

住宅ローン控除の対象となるのは、借りている住宅ローンが以下の条件を満たしている場合です。

  • 返済期間が10年以上の住宅ローンであること
  • 銀行や住宅金融支援機構、勤務先、地方公共団体などからの借入金であること

住宅ローンの返済期間は、当初の契約から最終返済日までが10年以上であることが必要です。繰り上げ返済によって全体の返済期間が10年未満になった場合は、その年から控除の対象外となるため注意しましょう。

親族や知人からの借入金は、原則として対象外です。また、勤務先からの借入金であっても、年0.2%未満の利率など、市場金利を考慮して適正とされる利率に満たない場合は、対象とならない可能性があります。

中古マンションの住宅ローン控除で控除される金額と期間

中古マンションの住宅ローン控除で控除される金額と期間

住宅ローン控除で控除される金額は、ローン残高や物件の性能などによって異なります。具体的にどのくらいの金額が控除されるかを把握するために、以下の3点を押さえておきましょう。

  • 控除額の計算方法
  • 控除が受けられる期間
  • 住宅性能別の借入限度額の上限

控除額の計算方法

各年に受けられる控除額の上限は、以下の計算式で算出されます。

  • 控除額 = 年末時点の住宅ローン残高 × 控除率0.7%(※)
    ※2025年に入居した場合の控除率

たとえば、年末のローン残高が2,000万円の場合、その年の控除額は14万円(2,000万円×0.7%)です。

ただし、自身が納めた税金の範囲内で控除が受けられる仕組みのため、ローン残高 × 0.7%の全額が還付されるとは限りません。実際に納めた所得税と、所得税から控除しきれない場合に適用される住民税からの控除額(上限9.75万円)の合計が、還付の上限となります。

また、ローン残高が控除の借入限度額を上回っている間は、控除額は一定です。ローン残高が限度額を下回ると、返済の進捗にあわせて控除額も少しずつ減少していきます。

控除が受けられる期間

個人が売主の中古マンションを購入した場合、住宅ローン控除が受けられる期間は最長10年間です。

ただし、不動産会社が物件を一度買い取り、リフォームなどをおこなったうえで販売する「買取再販住宅」の場合、一定の省エネ基準を満たすと、控除期間が最長13年間に延長される場合があります。

住宅ローン控除の適用条件を満たした買取再販物件を検討する場合、控除期間が10年なのか13年なのか確認しましょう。

住宅性能別の借入限度額の上限

住宅ローン控除では、控除額の算定対象となる借入額に上限(借入限度額)が設けられています。

この借入限度額は、中古マンションの環境性能によって異なります。2025年に入居する場合の借入限度額は、以下のとおりです。

住宅の環境性能等借入限度額
長期優良住宅・低炭素住宅ZEH水準省エネ住宅省エネ基準適合住宅3,000万円
その他の住宅(省エネ基準を満たさない住宅)2,000万円

参考:国土交通省|住宅ローン減税制度について

一般的な中古住宅の場合、借入限度額は2,000万円となり、1年あたりの最大控除額は14万円です。

一方、長期優良住宅や省エネ基準適合住宅など、環境性能が高いと認定された中古住宅の場合は、借入限度額が3,000万円に引き上げられ、最大で年間21万円の控除が受けられます。

購入を検討している物件がどの基準に該当するか、事前に確認しておきましょう。

中古マンション購入で住宅ローン控除を受けるための手続き

中古マンション購入で住宅ローン控除を受けるための手続き

中古マンション購入後に住宅ローン控除を受けるためには、所定の手続きが必要です。また、控除を初めて受ける年と2年目以降では手続きの方法が異なります。

ここでは、手続きのポイントと必要書類について見ていきましょう。

  • 初年度は確定申告が必要
  • 2年目以降は年末調整で手続きできる
  • 手続きに必要な主な書類

初年度は確定申告が必要

住宅ローン控除を初めて受ける年は、ご自身で確定申告をおこなう必要があります。大まかな手続きの流れは、以下のとおりです。

  1. 必要書類を準備する
  2. 確定申告書を作成する
  3. 税務署に提出する

確定申告の期間は、原則として中古マンションに入居した翌年の2月16日から3月15日までですが、曜日により前後することがあります。期限内に申告ができなかった場合でも、5年以内であれば還付申告が可能です。

なお、還付金の受け取り時期は申告方法によって異なり、e-Tax(電子申告)を利用した場合は、書面での提出より早く、数週間程度で処理される場合があります。

2年目以降は年末調整で手続きできる

会社員などの給与所得者の場合、2年目以降の手続きは会社の年末調整で完了します。

初年度の確定申告後に税務署から送付される「住宅借入金等特別控除申告書」と、住宅ローンを組んでいる金融機関から送付される「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」の2点を勤務先に提出しましょう。

ただし、個人事業主や2か所以上から給与を受け取っている方、医療費控除などを適用する方など、年末調整の対象外となる場合は2年目以降も確定申告が必要です。

手続きに必要な主な書類

住宅ローン控除の確定申告では、さまざまな書類の準備が必要です。主な必要書類と入手先は、以下のとおりです。

必要書類主な入手先
確定申告書税務署、国税庁のWebサイト
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書税務署、国税庁のWebサイト
(給与所得者の場合)給与所得の源泉徴収票勤務先
本人確認書類(マイナンバーカードなど)(※)
登記事項証明書法務局
不動産売買契約書の写し不動産会社
住宅ローンの年末残高等証明書金融機関
(必要な場合)耐震基準適合証明書、既存住宅性能評価書など不動産会社、建築士事務所など

※e-Taxで申告する場合、マイナンバーカードを利用すれば本人確認書類の提示・提出は不要です。

書類によっては入手に時間がかかる場合もあるため、早めに準備を始めましょう。

特に、旧耐震基準のマンションで控除を受ける場合は、耐震基準を満たしていることを証明する書類が不可欠です。事前に不動産会社に確認し、必要な書類を揃えておきましょう。

中古マンションで住宅ローン控除を受ける際の注意点

中古マンションで住宅ローン控除を受ける際の注意点

住宅ローン控除は大きなメリットのある制度ですが、利用する際に知っておきたい注意点があります。制度を有効活用するためにも、事前に以下のポイントを把握しておきましょう。

  • 共有名義の場合はそれぞれが控除を受けられる
  • リフォーム費用も対象になるケースがある
  • 併用できない特例がある

共有名義の場合はそれぞれが控除を受けられる

夫婦などで中古マンションを共有名義で購入し、それぞれが住宅ローンを組む「ペアローン」を利用した場合、各自が自身のローンに対して住宅ローン控除を受けられます。控除額は原則として、各自の住宅ローン年末残高をもとに計算されます。

また、一方が主たる債務者、もう一方が連帯債務者となる場合も、負担割合に応じて控除の対象となります。

ただし、一方がローン契約者で、もう一方が連帯保証人になる場合、控除を受けられるのはローン契約者のみです。

リフォーム費用も対象になるケースがある

中古マンションの購入と同時にリフォームをおこなう場合、その費用を住宅ローンに含めて借り入れると、リフォーム費用も住宅ローン控除の対象となることがあります。

対象となるのは、増改築や一定規模以上の修繕・模様替えなどで、工事費用が100万円を超える場合です。この場合のリフォーム部分に対する控除は、借入限度額2,000万円、控除期間10年が上限となります。省エネ性能による借入限度額の上乗せはありません。

中古マンション購入とあわせてリフォームを検討している場合は、この点を把握しておきましょう。

併用できない特例がある

住宅ローン控除は、ほかの税制優遇の特例と併用できない場合があります。併用できない主な特例を以下の表にまとめました。

併用できない特例の例概要
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除マイホームを売却して利益が出た場合に、その利益から最高3,000万円まで控除できる特例
特定の居住用財産の買い換えの特例条件を満たすマイホームを買い換えた際に、譲渡益に対する課税を将来に繰り延べられる特例
リフォーム促進税制(所得税)耐震やバリアフリー、省エネなどの特定の改修工事をおこなった場合に、所得税が控除される制度

たとえば、中古マンションに入居した年とその前後2年間に、以前住んでいた家を売却して3,000万円の特別控除などを利用した場合、原則として、新たな住居で住宅ローン控除は適用できません。

また、リフォームに関する所得税の減税制度(所得税)とは同一年の併用が不可のため、どちらか一方を選択する必要があります。

どちらが有利になるかは、売却益の金額や住宅ローンの借入額によって異なるため、税務署や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

まとめ

中古マンションの購入でも、適用条件を満たせば住宅ローン控除を受けることが可能です。購入する人や物件に関する要件、利用するローンの条件などを事前に確認したうえで、物件購入を検討しましょう。

特に中古マンションの場合は、耐震基準が現行の基準を満たしているかどうかがポイントです。築年数が古い物件でも、耐震性を証明できれば控除の対象となる可能性があるため、不動産会社と相談しながら進めるのが安心です。

なお、オークラヤ住宅では、中古マンションのご購入に関するご相談を承っております。

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