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住宅ローンの審査基準は?

住宅ローンの審査基準は?

住宅を購入する際に住宅ローンを組むことが大半です。金融機関がどのような考え方で住宅ローンの審査をしているのかを知っておき、住宅ローンを借りやすくするための準備をしておきましょう。

 

金融機関は、どういう人に貸したいか?

このご質問に一言でお答えするなら、「確実に返済してもらえる人」ということになります。金融機関は融資をして、それに対する利息・手数料を得て収益としていますが、元本が返済されないと元も子もありません。融資した元本を確実に返してもらえる人に融資をします。

では、「確実に返済してもらえる人」とは、どういう人でしょうか?

例えば、「収入が高い」「勤務先が安定している」「雇用形態が安定している」「勤続年数が長い」などです。一つひとつ見ていきますと、

  • 「収入が高い」~返済余力があるということです。
  • 「勤務先が安定している」~金融機関は、一般的に国・公共団体や上場企業などは経営基盤が安定しているとみています。一方、個人事業者や会社経営者の方に対しては、給与所得者と比較して厳しい見方をしています。
  • 「雇用形態が安定している」~原則、正社員を対象としている金融機関が多いです。もちろん、非正規雇用(契約社員、派遣社員、パート・アルバイト)であっても、検討可能な金融機関もあります。
  • 「勤続年数が長い」~今や終身雇用が当り前でなくなっていますので、勤続が短くても借入可能です。但し、勤続3年未満の場合、職歴書や転職理由を求める金融機関が多いです。

つまり、金融機関は、住宅ローン申込者の収入の多寡・安定性やその出所(勤務先)の安定性などをチェックしています。

では、金融機関は何を判断基準として審査しているのか?

  • 返済負担率(返済比率)

金融機関が融資可否の判断基準としているものに、返済負担率(返済比率)というものがあります。税込年収に占めるすべての借入の年間総返済額の割合のことで、次の算式で表されます。

返済負担率(返済比率) すべての借入*の年間返済額 × 100
直近(前年)の年収

「すべての借入」とは、これから利用する住宅ローンの年間返済額の他、既存借入(オートローンやカードローン等)や保証債務があれば、それを含めます。

この比率が年収に応じて設定された一定水準以下であるか否かによって、融資可否を判定しています。この水準や年収区分は金融機関によって異なります。一例を示しますと、

年収 返済負担率
200万円以上300万円未満 25%以内
300万円以上400万円未満 30%以内
400万円以上 35%以内

具体的な事例でご説明します。

【事例1】

年収450万円の会社員(35歳)が、期間35年で金額2,500万円の住宅ローンを申込んだ場合(他に既存借入は無いものとします)

住宅ローンの年間返済額:132.9万円(金利*4.0%で試算)

→ (返済比率)132.9万円/450万円×100=29.5%(<35%)

(年収400万円以上の場合)返済比率が判定基準の35%以内ですから、その他の申込内容に問題が無ければ借入可能と思われます。

(*) 審査に使用する金利は金融機関によって異なりますが、住宅ローンの返済期間が長期(一般的に最長35年)にわたるため、その間の金利変動を勘案し高めに設定されています。

【事例2】

上記事例で、既存借入がある場合(他の前提条件は同じとします)既存借入:オートローン、残高180万円、年間返済額42万円

すべての借入の年間返済額:住宅ローン132.9万円+オートローン42万円=174.9万円

→(返済比率)174.9万円/450万円×100=38.9%(>35%)

返済比率が判定基準の35%を超過しているため、借入は難しいと思われます。

但し、このこと(基準)が予め分かっていて手許資金に余力があれば、既存借入の完済を前提に審査してもらうことも可能です。

ここで注意しなければいけないのは、既存借入の完済時期です。住宅ローン審査で承諾を得られた後(~住宅ローン実行前まで)に完済の手続きをします。審査結果が出る前に完済し、もし承諾を得られなかった場合、何のために完済したか分からなくなるからです。

  • 既存借入の返済状況

私達がローンを組んだりクレジットカードを作ったりすると、その借入残高や延滞などの情報が国指定の個人信用情報機関に登録されることをご存知でしょうか?

【個人信用情報】とは、

ローンやクレジットなどの申込みや契約に関する情報のことで、契約内容、返済・支払状況や利用残高など客観的な取引事実を表す個人の情報。情報には、本人であることを特定するための情報(氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、勤務先等とその履歴)も併せて登録される。

金融機関は、この個人信用情報機関の会員になっており、これら個人信用情報を住宅ローン申込者の融資判断のための参考資料として利用しています。

例えば、住宅ローン申込者に既存借入があり、その借入に延滞歴(3ヶ月以上)があった場合、返済状況不芳として金融機関から借入申込みを拒絶されることになります。しかも、延滞情報は、その借入の完済後5年経過するまで保存されていますので、住宅ローン申込み時点で既存借入がなくても借入できない場合があります。

この個人信用情報機関に登録される「借入」には、いまや多くの人が持っているスマートフォンなど携帯端末の分割払い(通話料と共に支払い)も含まれます。「1~2日返済が遅れても大したことない」と安易に考えていると、将来的に痛い目に合いかねないので注意が必要です。

  • 健康状態

ほぼ全ての金融機関が、住宅ローンの利用資格として「団体信用生命保険の加入が認められること」としています。つまり、健康状態に問題がないことが住宅ローン申込みの前提条件になります。

【団体信用生命保険】とは、

住宅ローン利用者が死亡または高度障害の状態になった場合に、生命保険会社が金融機関に対して保険金を支払うことでローンを完済する仕組みの団体保険のことで、保険料は金融機関が負担するケースが一般的です(ローン金利に含まれています)。

住宅ローンの申込みに際して、「団体信用生命保険申込書 兼 告知書」の告知事項に従い、自身の健康状態等を正確に記入します。この時、事実を記入しなかったり、記入した内容が事実と違っていたりした場合(告知義務違反)には、保険契約を解除されることがありますので、注意が必要です。

また、健康上の理由(高血圧症・糖尿病・肝炎など)から上記の団体信用生命保険に加入できない人向けに、引受範囲を拡大した「ワイド団信」(引受条件緩和型団体信用生命保険)があります。健康状態に不安のある方は、金融機関の担当者に相談してみてください。

まとめ

いかがでしょうか?ここまで読み進めていただきますと、「住宅ローンの審査って厳しいな」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。確かに金融機関の審査は厳しいですが、大きな金額を長期間に亘って融資する訳ですから、当然ともいえます。

但し、上記のような金融機関の審査基準を事前に理解しておくことで、マイホーム取得の時期に向けて、自身をより借入しやすい状況に備えていくことが可能となるのではないでしょうか。

ここ近年、稀にみる超低金利の状態が続いています。住宅ローンを上手に利用して豊かなライフステージを築きましょう。