2023年に至るまで、日本を除く先進国では多くの国で利上げが行われてきました。
そして日本においても、2024年3月に日銀がマイナス金利政策の解除を発表したことで、金利の上昇が予想されています。
そこでこの記事では、住宅ローン金利の推移と2024年以降の動向、金利上昇への対策について解説しています。
住宅ローンを利用されている方や、これから利用を考えている方はぜひ参考にしてください。
目次
住宅ローンの金利とは
住宅ローンとは、不動産を購入・建築するために金融機関から受けられる融資のことです。
住宅ローンの金利は全部で3タイプに分類され、金融情勢の変動にともなって金利が変動する「変動金利型」と、金利が一定期間固定される「固定金利選択型」「全期間固定金利型」に分かれています。
住宅ローンや金利の詳しい内容については、以下の記事も参考にしてください。
住宅ローンとは?種類や金利タイプ、利用時の流れをわかりやすく解説
金利の決まり方
住宅ローンの金利は、変動金利は短期金利・固定金利は長期金利に基づいて設定されるのが一般的です。
短期金利は日本銀行の政策金利の影響を受けており、長期金利は市場の動向や景気の影響を受けて変動します。
住宅ローンの場合、銀行は長期金利や短期金利を参考に基準金利を設定し、そこからさらに借入れする個人の属性をもとに、優遇措置として引き下げ幅を差し引いて金利を決めています。
金利の推移
1990年代前半まで日本の金利は高い水準で推移しており、1990年10月の変動金利型は8.5%まで上昇していました。
しかし、1999年2月からいわゆる「ゼロ金利政策」が始まり、2016年1月に「マイナス金利政策」が導入されたことで、以降は歴史的な低金利を維持しています。
ただし、日銀が2024年3月19日の金融政策決定会合でマイナス金利政策の解除を決定したことで、今後は緩やかに金利が上昇していくことが予想されるでしょう。

出典 ダイヤモンド不動産研究所
住宅ローン金利(132銀行・1000商品)の金利推移・動向は? 金利タイプ別の相場、選び方も解説|ダイヤモンド不動産研究所 (diamond-fudosan.jp)
住宅ローンの金利は今後どうなる?
日銀は2024年3月にマイナス金利政策の解除を発表し、およそ17年ぶりに利上げが行われることになりました。
その結果、住宅ローンの金利は今後上昇していくことが見込まれます。
実際、2024年3月には、「フラット35」の適用金利について、取扱金融機関が最も提供する「最頻金利」が4か月ぶりに上昇しました。
また、住信SBIネット銀行とイオン銀行などでは変動金利の基準金利を0.1%引き上げることを発表し、返済中の住宅ローンの金利が上昇することになりました。
ただし、2024年5月現在では、一部のネット銀行を除くと金利を据え置きにしている銀行も多く、今後の動きについては注視が必要です。
金利上昇への対策
上述のとおり、今後は金利が緩やかに上昇していくことが予想されています。
ここでは、既に住宅ローンを借りている方の金利上昇への対策を3つ紹介します。
貯蓄しておく
住宅ローンの金利が上昇することで、毎月のローン返済額が増える可能性があります。
住宅ローンの返済が生活費を圧迫しないよう、早めに貯蓄して備えておくことが大切です。
貯蓄するには収入を増やすのが最も効果的ですが、難しい場合は生活費を見直すだけでも貯蓄に回るお金を増やすことができます。
繰り上げ返済しておく
毎月のローン返済額とは別に、まとまった金額を繰り上げて返済することを「繰り上げ返済」と言います。
繰り上げ返済を行うことで住宅ローンの元本が減るだけでなく、将来支払う予定の利息も減らせるため、金利上昇による影響を抑えられます。
ただし、住宅ローン控除を受けている場合、元本が減ることで住宅ローンの控除額も減ってしまうケースもある点や、返済に資金を回すことによって、資金不足になりやすい点に注意が必要です。
現在の生活や将来必要な資金を計算したうえで、繰り上げ返済額を決めるようにしましょう。
借り換えをする
住宅ローンの借り換えとは、現在借りているローンを一括返済して新たにローンを借り入れる方法です。
現在の住宅ローンより金利が低いプランに乗り換えることで、支払総額を減らすことができます。
今後は金利の上昇が予想されるため、現在の金利よりも高い場合でも、金利の変動がない固定金利に借り換えておき、金利上昇に備えるのも対策のひとつです。
ただし、借り換えにはある程度まとまった資金が必要となるうえに、タイミングや今後の金利変動状況によってはかえって損するおそれがあるため注意が必要です。
まとめ
この記事では、住宅ローンの金利について、今までの推移とこれからの動向について解説しました。
マイナス金利政策が解除されたことで、これから借りようとしている方も既に借りている方も、どのような形で住宅ローンと付き合っていけばよいか迷うところかと思います。
長期的には金利の上昇傾向が予想されますが、2024年5月現在では、まだ一般的な変動金利の住宅ローンについては金利を据え置いているところも多いのが現状です。
まずはご自身の資金状況を確認したうえで、金利変動があった場合の支払の変化をシミュレーションしてみると良いでしょう。
そのうえで、新規の場合、借り入れるローンをどれにするのか、既に借りている方は、繰り上げ返済や借り換えなどを検討すべきかどうか、考えてみましょう。
気になるポイントがある場合は、担当の不動産会社や金融機関などに相談してみるとよいでしょう。
今回の記事もぜひ参考にしてくださいね。
著者情報

宅建士 兼 Webライター
井後 帆乃香
【経歴】
宅建士として不動産会社に勤務するかたわら、SEOライティングを中心に幅広く活動するWebライター。
「不動産って難しい!」と頭を抱えた経験から、難しい言葉を使わず、わかりやすく丁寧にお伝えすることをモットーとしています。
家に居る時は、愛猫を膝に載せながら執筆することも。
保有資格:宅建士/日商簿記2級/ITパスポート試験 など