マンションの売却を検討する際、「どのくらいの期間で売れるのか」と疑問や不安を抱える方は少なくないでしょう。あらかじめ期間の目安を把握しておくことで、余裕をもった資金計画やスケジュールを立てやすくなります。
本記事では、マンション売却にかかる期間の目安を売却活動の段階ごとに解説します。売却期間を左右する要素や売却が長引いたときの対処法、早く売るためのコツも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
マンション売却にかかる期間の目安

マンションの売却期間は、大きく分けて「売却準備・査定」「媒介契約・売却活動」「売買契約・決済・引渡し」の3つの段階があります。売却活動を開始してからマンションが売れるまでの期間は3〜6か月程度、引渡しが完了するまでを含むと全体で約4〜10か月が目安です。
ただし、あくまで目安であり、物件の条件やエリア、売却のタイミングなどによって売却期間は変わります。
それぞれの段階ごとの期間の目安は以下のとおりです。
| 段階 | 期間の目安 |
| 売却準備・査定 | 約1週間〜1か月 |
| 媒介契約・売却活動 | 約3〜6か月 |
| 売買契約・決済・引渡し | 約1〜3か月 |
各段階でどのようなことをおこなうのか、以下で詳しく見ていきましょう。
売却準備・査定:約1週間〜1か月
売却準備・査定の段階では、まずご自身のマンションがいくらで売れそうか、複数の不動産会社に査定を依頼し、提示された査定額や根拠を比較検討して依頼先を決めましょう。
不動産会社の査定には数日〜1週間程度かかります。不動産会社の比較検討に要する期間も含め、この段階全体で1週間から1か月程度が目安です。
媒介契約・売却活動:約3〜6か月
売却を依頼する不動産会社が決まったら、媒介契約を結びます。媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があり、それぞれ特徴が異なるため、ご自身の売却方針にあった形態を選ぶことが大切です。以下ページでもそれぞれの媒介契約について説明していますのでご覧ください。
媒介契約締結後は、不動産会社が物件のポータルサイトへの掲載やチラシ配布などの販売活動をおこないます。売主は内覧希望に備え、室内の清掃や整理整頓をしておく必要があります。物件の魅力を十分に伝えられるよう準備しましょう。
内覧の申込があれば、日程を調整して対応します。売却活動にかかる期間は、一般的に3〜6か月程度が目安です。
売買契約・決済・引渡し:約1〜3か月
購入希望者から購入申込書(買付証明書)を受け取ったら、価格や引渡し時期などの条件交渉をおこないます。双方が合意に至れば、重要事項説明を経て売買契約を締結し、手付金を受け取ります。
買主が住宅ローンを利用する場合は、金融機関による本審査の結果を待つ期間が必要です。審査が無事に承認されると、金融機関などで残代金の決済と物件の鍵の引渡しを同時におこない、売却手続きは完了です。
売買契約の締結から引渡しまでの期間は1か月程度が目安ですが、状況によっては2〜3か月かかることもあります。
マンションの売却期間に影響する要素

マンションの売却期間は、さまざまな要素に左右されます。売却をスムーズに進めるためには、どのような点が影響するかを事前に把握しておきましょう。ここでは、主な6つの要素を解説します。
- 売出価格や競合物件
- 立地や周辺環境
- 築年数や耐震性、建物の管理状況
- 間取りや専有面積、階数
- 市況や季節要因
- 依頼する不動産会社や販売戦略
売出価格や競合物件
売出価格は、売却期間に大きく影響する要素のひとつです。周辺の相場に比べて価格が高すぎると、購入検討者の検討対象から外れてしまい、売却期間が長引く原因になりかねません。
不動産会社が提示する査定価格は、市場の動向や過去の取引事例などを踏まえたものです。この査定価格を参考に適正な価格を設定することが、早期売却につながります。
また、同じマンション内や近隣で条件の似た物件が売りに出ている場合、価格競争が起きやすく、売却期間に影響することもあります。
立地や周辺環境
マンションの立地や周辺環境は、売却期間に影響する重要な要素です。特に、以下のような点は購入検討者が重視する傾向にあります。
- 最寄り駅からの距離
- 通勤・通学の利便性
- 周辺の商業施設(スーパー、コンビニ、商店街など)の充実度
- 公園や緑地の有無
- 学校や病院などの公共施設の近さ
- 治安の良さ
駅から近い、買い物が便利など、利便性や快適性の高い物件は人気があり、比較的早く売却しやすいでしょう。ファミリー層をターゲットにする場合は、学区や子育て環境も重視されるポイントです。
築年数や耐震性、建物の管理状況
築年数の浅いマンションは、内装や設備が整っており、売却期間も短くなる傾向があります。一般的に、築年数が古くなるほど売却は難しくなりますが、建物の管理状態や立地がよければ、年数が経過していても評価されるでしょう。
定期的なメンテナンスや大規模修繕の実施は、買主にとって安心材料です。耐震性も重要なポイントで、新耐震基準が適用された1981年6月1日以降の建築確認を受けているかどうかが、ひとつの判断基準になります。
マンションの築年数と売却の関係について、詳しくは以下の記事も参考にしてください。
間取りや専有面積、階数
ファミリー層に人気の3LDKなど、需要の高い間取りの物件は売れやすい傾向があります。一方で、単身者向けのワンルームや特殊な間取りの物件は購入検討者が限られるため、売却に時間がかかる場合もあります。
専有面積も同様で、極端に広い、あるいは狭い物件は需要とあわない可能性があります。階数については、眺望や陽当たりのよい上層階が好まれる傾向にあります。しかし、低層階でも専用庭などの付加価値があれば、アピールポイントとなります。
市況や季節要因
不動産市場全体の動向も、売却期間に影響します。一般的に、不動産取引が活発になるのは、転勤や入学などで人の移動が増える2〜3月や9〜10月です。
需要が高まる時期にあわせて売出を開始すると、物件を検討してもらえる機会が増え、売却期間を短縮できる可能性が高まります。
依頼する不動産会社や販売戦略
売却を依頼する不動産会社の販売力も、売却期間を左右する要素のひとつです。マンション売却の実績が豊富で、地域情報に精通している不動産会社であれば、効果的な販売戦略が期待できます。
たとえば、ターゲット設定や広告の方法、価格戦略などが具体的かを確認しましょう。あわせて、売却したいエリアやマンションのタイプでの成約実績が豊富か、購入検討者をどのくらい抱えているかも確認しておくと安心です。
また、担当者が売主の要望を理解し、報告や連絡をこまめにおこなってくれるかどうかも大切です。売却が思うように進まない場合は、販売戦略や不動産会社の見直しも検討しましょう。見直しのポイントやコツは、次の章で詳しく解説します。
不動産会社の担当者選びについては、以下の記事もあわせてご覧ください。
不動産売却は担当者で決まる!見極めるポイントや担当者を変える方法
マンションの売却期間が長引く場合の対処法や早く売るコツ

想定していた期間を過ぎてもマンションが売れないと、焦りや不安を感じるかもしれません。しかし、適切な対策を講じることで、状況を改善できる可能性があります。
ここでは、マンションがずっと売れない場合の対処法や、早く売るためのポイントを解説します。
- 売出価格を見直す
- 広告・写真・物件紹介文を改善する
- 内覧フィードバックの分析と改善をする
- 媒介契約の種類や不動産会社を見直す
- 不動産会社による買取を検討する
売出価格を見直す
内覧の申し込みが少ない場合は、売出価格が周辺の相場とあっていない可能性があります。閲覧数や問合せ件数などの指標を定期的に確認し、反響が伸びない場合は、価格設定を見直しましょう。
見直しをおこなう際は、競合物件や直近の成約事例を参考にしながら、段階的に価格を調整します。不動産検索サイトでは上限価格を設定する利用者が多いため、価格帯の境目を避けた端数にし、一段階低い価格帯にすることで閲覧されやすくなる可能性があります。
市況や競合の動きを踏まえて小さな調整から始めると、戦略を崩さずに改善を図れるでしょう。
広告・写真・物件紹介文を改善する
広告写真や紹介文は、物件の第一印象を大きく左右します。立地や眺望、収納の多さ、リフォーム履歴といった物件の強みが、具体的に伝わる内容になっているか改めて確認してみてください。
写真が暗かったり、室内が散らかって見えたりすると、内覧希望者の関心を引くのは難しくなります。室内を片づけ、照明をつけたり、日中の明るい時間帯に撮影したりするなど、明るさや開放感が伝わる写真に差し替えましょう。
家具や小物を配置してモデルルームのように演出するホームステージングも、物件の魅力を高める方法として有効です。
オークラヤ住宅では、バーチャルホームステージングのサービスも提供しています。詳しくは、以下のページでご確認ください。
内覧フィードバックの分析と改善をする
内覧者はいるものの成約に至らない場合は、内覧後のフィードバックを分析することが大切です。不動産会社を通じて、内覧者が物件のどの点に興味を持ち、どのような点に懸念を示したのかを具体的にヒアリングしましょう。
たとえば、「部屋が暗く感じる」といった声が多い場合は、家具の配置を工夫して採光を妨げないようにしたり、照明を明るいものに取り替えたりする対応が考えられます。
また「収納が少ない」といった不満が挙がった場合は、間取り変更やリフォームで収納を増やせる可能性を伝えるのも有効です。内覧者の意見を参考にすることで、成約につながりやすくなるでしょう。
媒介契約の種類や不動産会社を見直す
不動産会社からの報告が少なかったり、具体的な提案がなかったりする場合は、媒介契約の種類や依頼している不動産会社の見直しも検討しましょう。媒介契約の種類と主な特徴は、以下のとおりです。
| 媒介契約の種類 | 報告義務・頻度 | 自分で見つけた相手との契約 | 複数社との契約 |
| 専属専任媒介契約 | 1週間に1回以上 | 不可 | 不可 |
| 専任媒介契約 | 2週間に1回以上 | 可能 | 不可 |
| 一般媒介契約 | なし | 可能 | 可能 |
媒介契約には原則3か月以内の契約期間が定められているため、更新のタイミングが見直しの機会となります。
不動産会社から、閲覧数や問合せ件数といった客観的なデータの報告や、それにもとづく提案があるかを確認しましょう。現在の活動状況を踏まえ、契約形態を変更するのもひとつの方法です。
担当者との相性や会社の販売力に疑問を感じる場合は、別の不動産会社への変更も視野に入れましょう。
専任媒介契約について、詳しくは以下の記事で解説しています。
不動産会社による買取を検討する
さまざまな対策を試みてもマンションが売れなかったら、不動産会社に物件を買い取ってもらう「買取」も選択肢のひとつです。
買取の場合、仲介に比べて売却価格は低くなる傾向にありますが、買主を探す必要がなく、売却を急いでいる場合に有効な手段といえます。
内覧対応が不要なほか、売却後の契約不適合責任が免除される場合が多いなど、売主の負担を軽減できるメリットもあります。すぐに売却したい事情がある場合は、不動産会社に相談してみるとよいでしょう。
不動産買取の詳細は、以下の記事も参考にしてください。
マンションの売却期間に関する注意点

住みかえや相続、転勤、離婚などの理由によりマンションを売却する場合は、タイミングや期限について注意すべき点があります。それぞれのケースについて、売却期間に関するポイントを見ていきましょう。
- 住みかえの場合は売却と購入のタイミングが重要
- 相続したマンションを売却する場合は納税や特例適用の期限がある
- 転勤・離婚などで売却する場合はスピードを優先する
住みかえの場合は売却と購入のタイミングが重要
住みかえでは、現在の住まいの売却と新しい住まいの購入のタイミングが重要です。売却を先におこなう「売り先行」の場合、現住居の退去までに新居の引渡しが間に合わなければ、仮住まいが必要となるリスクがあります。
一方、購入を先におこなう「買い先行」では、売却が長引くと旧居と新居の住宅ローンが二重になる可能性があります。どちらの方法を選ぶ場合も、売却期間をある程度見込んでおき、不動産会社と連携しながら無理のないスケジュールを組むことが大切です。
マンション売却の売り先行・買い先行については、以下の記事で詳しく解説しています。
マンション売却の先売り・先買いとは?それぞれの⼿順やメリットを解説
相続したマンションを売却する場合は納税や特例適用の期限がある
相続したマンションを売却する際は、税金の納付期限や特例の適用期限がある点を把握しておきましょう。主な2つの制度の期限は、以下のとおりです。
| 制度 | 概要 | 期限 |
| 相続税の申告・納付 | 相続した財産に対して課される税金の申告・納付 | 相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内 |
| 相続税額の取得費加算の特例 | 納めた相続税の一部を、売却した不動産の取得費に加算することで、譲渡所得税を軽減できる制度 | 相続税の申告期限の翌日から3年以内 |
売却代金を納税資金に充てる場合は、これらの期限から逆算してスケジュールを立てることが大切です。相続人が複数いる場合は、売却にあたり全員の合意が必要なため、話し合いに時間がかかることも少なくありません。期限内に手続きを完了できるよう、早めに協議を始めましょう。
(参考:国税庁 No.4205 相続税の申告と納税、No.4205 相続税の申告と納税)
なお、譲渡所得の特例である「相続空き家の3,000万円特別控除」は、主に戸建が対象のため、マンションのような区分所有建物は原則として適用対象外です。
(参考:国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)
相続したマンションの売却については、以下の記事も参考にしてください。
中古マンションを相続したらどうする?必要な手続きや活用方法を解説
転勤・離婚などで売却する場合はスピードを優先する
転勤の赴任時期や離婚後の財産分与など、期日が決まっている場合はスピードを優先する必要があります。通常の仲介による売却では期限に間に合わない可能性もあるため、売出価格を相場より少し安めに設定し、早期の売却を目指すのもひとつの方法です。
それでも売却が難しい場合は、不動産会社に直接買い取ってもらう「買取」も有力な選択肢になるでしょう。ご自身の状況にあわせて、最適な売却方法を選ぶことが大切です。
離婚時のマンション売却については、以下の記事で詳しく解説しています。
離婚したらマンションはどうする?売却・住み続ける・貸し出す全選択肢と注意点を解説
まとめ

マンションの売却には、一般的に4〜10か月程度の期間がかかります。スムーズに売却するには、各段階でおこなうことを把握し、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。
売却期間は、立地や建物の状態のほか、さまざまな要因に左右されます。売却が長引く場合は、価格や広告内容の見直し、不動産会社の変更などを検討しましょう。また、住みかえや相続といった事情がある場合は、それぞれの期限を意識した計画が必要です。
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