マンションを売却する際、売却価格を決めるためにおこなうのが査定です。売却査定で重視されるポイントを知り、準備をして臨みたいと考える方は多いでしょう。
この記事では、マンション売却査定で見られるポイントや査定の流れ、事前準備などを解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
マンション売却査定の種類

マンション売却査定の方法は1つではありません。主に以下の3種類があります。
- 机上査定(簡易査定)
- 訪問査定(実査定)
- 査定シミュレーション(AI査定)
それぞれの特徴を見ていきましょう。
机上査定(簡易査定)
机上査定(簡易査定)とは、実際にお部屋を訪問することなく、不動産に関するデータに基づいて査定価格を算出する方法です。
主に所在エリアの類似マンション流通価格や立地条件、類似マンション成約事例、現在の市況などを参考に、総合的に判断します。
不動産会社の担当者が訪問や内見をしないため日程調整などの手間がかからず、忙しい方でもスピーディーかつ手軽に、マンションが売れるおおよその価格を知ることが可能です。
机上査定のメリット
机上査定の最大のメリットは、気軽に利用しやすい点です。一括査定サイトを利用すれば複数の不動産会社に対して無料で査定依頼が可能です。
いくつかの査定結果を見比べる事でおおよその査定価格を把握する、また売却を依頼する不動産会社を比較検討する際に便利です。
不動産会社によりますが、最短当日〜7日以内に査定結果が出ることが多く、早めに査定価格を把握したい場合にも適しています。
机上査定のデメリット
机上査定のデメリットは、査定価格の精度が落ちる可能性がある点です。
机上査定では室内の状況を確認せずにデータのみで査定することから、実情とは異なる査定価格が算出される可能性があります。
また、不動産会社によって査定価格にばらつきが出やすいのも机上査定の注意点です。
査定価格が高いことを基準に不動産会社を決めるのではなく、提示された査定価格に確かな根拠があるかどうかを確認しましょう。
それぞれの査定結果を見比べたうえで、どの不動産会社に訪問査定を依頼するかの判断材料にするとよいでしょう。
机上査定がおすすめのシーン
ここでは、机上査定をおすすめするシチュエーションを2つ紹介します。
机上査定と訪問査定のどちらかで迷った際はぜひ参考にしてください。
- 対象物件が遠方にあるとき
査定対象物件が遠方にあり、現地での対応が難しい場合は、まず机上査定を依頼するとよいでしょう。
通常、訪問査定は依頼者の立会いのもとで室内状況確認がおこなわれます。
依頼者が現地に行ける頻度が少ないと、不動産会社との日程調整に時間がかかり、すぐに査定できない場合があります。
ただ、空室の場合、不動産会社に一時的にお部屋の鍵を預けて室内を見てもらうことは可能です。対象物件が遠方にあっても訪問査定をご希望の場合は、不動産会社に相談してみましょう。
- 売却意思がはっきりしていないとき
手軽に依頼できる机上査定は、物件をすぐに売る予定がない場合や売却を迷っている場合にもおすすめです。
複数の不動産会社から査定結果をもらえるため、それぞれを比較することで、今後の売却方針の決定に役立てられます。
訪問査定(実査定)
訪問査定(実査定)とは、不動産会社の担当者が実際にお部屋を訪問し、内覧したうえで査定価格を算出する方法です。
机上査定の基礎データを踏まえたうえで、日当たりや眺望、室内の状況(リフォーム箇所や設備の使用状況等)を詳しく見ていきます。
物件の内覧をしない机上査定と比べて、より正確な査定価格を算出できます。
また、机上査定では通常、不動産会社とメールや電話のみでやりとりしますが、訪問査定では不動産会社の担当者と直接顔を合わせる点も大きな違いです。
訪問査定のメリット
訪問査定のメリットは、より正確な査定価格がわかる点です。
訪問査定では、不動産に関するデータだけでなく、室内の維持管理の状態・損傷や劣化の有無、リフォームの有無・周辺環境を調査できるため物件の特徴をより詳しく判断してもらえます。
また、不動産会社の担当者と直接顔を合わせる点も訪問査定の大きな特徴です。
実際に会って話すことで、担当者との相性はよいか・信頼できる人物かといったポイントを見極める判断材料になります。
訪問査定のデメリット
訪問査定の最大のデメリットは、日程が合わない場合、査定までに時間がかかる点です。
担当者と直接やりとりしながら日程調整をおこなうため、机上査定と比べて手間に感じるかもしれません。
また、自宅に訪問されることに対して抵抗を感じる人もいるでしょう。その場合は、オンラインで査定ができることもあります。不動産会社に確認してみましょう。
訪問査定がおすすめのシーン
ここでは、訪問査定をおすすめするシチュエーションを3つ紹介します。
- 自分に合った不動産会社を見極めたいとき
不動産会社はそれぞれ強みや特徴が異なります。訪問査定であれば、各社の特色を担当者に聞いて直接確認することができます。
担当者と直接会って話ができるため、担当者との相性を見極めることも可能です。
売却活動は数か月~半年ほどの時間がかかることから、担当者とのお付き合いはある程度長期間になります。担当者の人柄はもちろん、依頼先を検討している間におこなわれた、連絡内容、連絡頻度、話し方等、自分に合った担当者を選びましょう。
- 売却意思がはっきりしているとき
売却意思が固まっている場合は、詳細な査定価格や売却方法、売却の流れを不動産会社の担当者から直接聞くことをおすすめします。より自分に合った売却方法についてアドバイスをもらえるでしょう。
- 机上査定の結果を確認したあと
机上査定価格の結果を見て、より具体的な内容を把握したい場合は、さらに訪問査定を依頼することをおすすめします。
査定シミュレーション(AI査定)
査定シミュレーションとは、マンションの情報を入力することで、おおよその査定価格を算出する方法です。AI査定とも呼ばれています。
所在地や築年数、部屋の面積などをシミュレーションツールに入力すると、類似物件の売出事例等をもとに算出されます。
ただし、実際に売却する際は室内の維持管理状態や、部屋からの眺望なども考慮されるため、シミュレーション結果は参考程度と考えておくとよいでしょう。
マンション売却査定で見られるポイント

次に、マンション売却査定で見られる8つのポイントを把握しておきましょう。
- 立地条件
- 築年数・構造
- 広さ・間取り
- 設備・内装
- 方角・階数
- 共用施設・サービス
- 修繕・メンテナンス状況
- 管理・清掃の状況
ひとつずつ説明していきます。
立地条件
不動産の査定価格には、立地条件が大きく影響します。
たとえば近くに駅・商業施設・学校などがある物件は需要が高いため、査定価格は上がりやすくなります。
また、今後再開発が予想されているエリアの場合、将来を見越して高めに査定価格をつけるケースも少なくありません。
築年数・構造
ほとんどの不動産は、一般的に築年数が経過しているほど物件価格が低くなる傾向にあります。
中古マンションの場合、耐用年数が長いことから築後経過年数が多い物件も多々あります。他の条件が同等のマンションの場合、古いマンションほど価格が低くなる傾向があります。
広さ・間取り
一般的に、面積が広いほど査定価格は高くなります。ただし、一般的に面積が小さいほど1坪あたりの価格(坪単価)は高くなり、面積が大きいと坪単価は低くなる傾向にあります。
また、間取りも査定価格を左右する要素の一つです。ライフスタイルの変化に対応できる柔軟な間取りや、必要な場所に収納スペースがある間取りなど、需要のある間取りは高く評価されやすいです。
設備・内装
売却後に設備や内装がそのまま使える状態の場合には、プラスの評価がつくこともあります。
リフォーム状況等も査定価格に影響する可能性があります。
方角・階数
査定では、住戸の方角や階数も見られます。南向きの部屋は、陽当たりがよく需要があるため評価も高くなる傾向があります。
また、階数も査定価格に影響し、一般的に高層階ほど高くなります。主に、眺望や陽当たりの良さ、プライバシーの確保のしやすさなどが、価格が高くなる理由です。
共用施設・サービス
マンションの売却査定では、共用施設やサービスも評価の対象となります。
たとえば、キッズルームや図書室、ラウンジ、フィットネスジム、コンシェルジュサービスなどの施設やサービスです。需要の高い共用施設がある場合は、プラスに働くでしょう。
修繕・メンテナンス状況
マンションの修繕・メンテナンス状況も、売却査定でチェックされます。
たとえば、過去の修繕履歴や長期修繕計画のほか、修繕積立金が適切に積み立てられているかどうかなどです。
適切に修繕されているマンションは、資産価値を維持しやすいため、高く評価される傾向があります。
管理・清掃の状況
マンションの管理体制も査定価格に影響します。具体的には、管理員の勤務形態や共用部分の清掃状況などがチェックされます。
エントランスや共用廊下などにゴミが置かれていないか、自転車やバイク置き場・ゴミ置き場が整然としているか、などがポイントです。
不動産会社は上記のポイントや市況を総合的に判断して、査定価格を算出します。
マンション売却査定の申し込みから売却開始までの流れ

ここでは、マンションの売却査定の流れを見ていきましょう。次の4つの手順で進めていきます。
- 売却査定を依頼する
- 不動産会社が訪問・調査をおこなう
- 査定結果を受け取る
- 依頼する不動産会社を決めて売却を開始する
それぞれ説明していきます。
売却査定を依頼する
机上査定・訪問査定をおこなう際は、まず不動産会社に査定を申し込みましょう。
一括査定サイトから物件情報と個人情報を登録して問い合わせる方法や、不動産会社のホームページから問い合わせる方法、また、不動産会社へ直接電話等で依頼することも可能です。
査定の申し込み後、不動産会社から詳細について確認の連絡が来ます。訪問査定を依頼する場合は、日程調整をしましょう。
不動産会社の訪問・査定を受ける
訪問査定では、不動産会社の担当者がお部屋を訪問し、現地調査をします。
現地で確認する点は「マンション売却査定で見られるポイント」で説明したように、立地条件や陽当たり、内装や設備の状態などです。
査定を受ける際の事前準備については、この記事の「マンションの売却査定を受けるときの事前準備」で詳しく説明しています。
机上査定をおこなう場合は、周辺の類似マンション流通価格や立地条件、類似マンション成約事例、現在の市況などのデータをもとに、総合的に判断します。
査定結果を受け取る
査定依頼の当日〜2週間程度で、不動産会社から査定結果が出ます。
査定結果の受け取りには、査定書をメールまたは郵送で送ってもらう方法や、電話などで金額だけ聞く方法などがあります。また、直接会って不動産会社の説明を聞きながら査定価格や根拠を聞くことも可能です。自身の希望を事前に伝えておきましょう。
依頼する不動産会社を決めて売却を開始する
依頼する不動産会社は、査定価格だけでなく、査定時の対応や印象なども加味して決めるとよいでしょう。
売却の方向性が定まった場合は、不動産会社と今後の売却活動について相談を進めることになります。
マンションの売却査定を受けるときの事前準備

マンションの売却査定を受けるときの事前準備は、以下の4つです。
- 査定に必要な書類や参考資料を用意する
- マンションのアピールポイントや故障箇所をまとめる
- マンション売却価格の相場を調べる
- 最低限の片付け・掃除をする
順番に見ていきましょう。
査定に必要な書類や参考資料を用意する
査定の参考になる資料を用意しておくことで、査定をスムーズに進められます。また、プラス評価になるポイントがあることが書類でわかれば、査定価格が高くなる可能性もあります。
以下は、用意するとよい書類の一例です。
査定前に必ず用意した方がよいものではないため、全て準備できなくても問題ありません。
一部の資料は不動産会社で準備することもできますので、不動産会社へ相談してみましょう。
- 登記識別情報(権利証)
- マンション購入時の売買契約書、重要事項説明書
- マンション購入時のパンフレット、間取り図
- 住宅ローンの残高証明書
- 管理規約、使用細則、長期修繕計画書
- 管理費、修繕積立金、駐車場使用料に関する書類
- 固定資産税の納税通知書(課税明細書)
マンションのアピールポイントや故障箇所をまとめる
お部屋の状況以外に、査定価格のプラスになりそうなポイントがあれば、情報をまとめておきましょう。たとえば周辺の開発計画や近隣施設の充実度などです。
反対に、室内や専用使用部分(例 バルコニーやアルコ―プ)で故障箇所や不具合があれば事前に伝えておきましょう。
マンション売却価格の相場を調べる
査定を受ける前に、自分なりの売却価格の相場を調べておくことをおすすめします。
不動産会社から査定結果を聞いた際に、相場と比べて高いかどうかなどを判断しやすくなるためです。相場とかけ離れている場合は、その根拠を聞くこともできます。
インターネットを活用し、自身のマンションと似ている条件の物件を検索することで、おおよその物件価格を把握できます。
最低限の片付け・掃除をする
訪問査定を受ける際、室内が片付いているかどうかは査定価格に影響しません。
ただ、きれいな家の方が良い印象を与えられるでしょう。また、見られたくない物などは片付けておくと安心です。
マンション売却査定に関する注意点

マンション売却査定に関する注意点は、以下の2つです。
- 査定価格でマンションを売却できるとは限らない
- 査定前にリフォームをする必要はない
順番に見ていきましょう。
査定価格でマンションを売却できるとは限らない
マンションの査定価格は、あくまでも売り出し価格の参考であり、実際にその価格で売れるとは限りません。
査定価格で売り出しても買い手が見つからず、値下げが必要になったり、購入希望者から値下げを要求されたりする可能性もあります。
必ずしも査定価格で売却できるわけではないことを認識しておきましょう。
査定前にリフォームをする必要はない
築年数が古い場合、リフォームをしたほうが高く売れると考える方もいるでしょう。しかし、出費したリフォーム費用に比べて、売却価格がそれほど高くならず、結果手取りが少なくなる場合があります。
また、購入してから自分好みにリフォームしたいと考える人もいるため、まずはリフォームをしない状態で査定を受けてみましょう。リフォームの必要性に悩んだ場合は、不動産会社に相談してみてください。
まとめ
マンション売却査定では、立地条件や築年数、間取りのほか、建物の維持管理状況なども見られます。査定に必要な書類を用意し、マンションのアピールポイントや故障箇所を事前にまとめておきましょう。
弊社オークラヤ住宅でも、無料の売却査定を以下より承っております。
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オークラヤ住宅は1982年の設立以来、マンションの流通事業に取り組んでおり、2020年には累計契約件数が11万件を突破しました。豊富な経験とノウハウで、お客さまのマンション売却をサポートします。
マンション売却に関する不安な点などありましたら、お気軽にご相談ください。
著者情報

ライター・編集者
悠木まちゃ
【経歴】
ハウスメーカー勤務時に、新築戸建て住宅や事務所建築などの営業・設計を経験してきました。
その後、2019年よりフリーライター・編集者として活動を開始。実務経験を活かし、不動産・金融系を中心に執筆から編集までおこなっています。
取材やブックライティングもおこなうほか、ライター向けオンラインコミュニティの講師も担当しています。
保有資格:宅建士・FP3級