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マンション売却コラム

不動産売却における注意点は?売却の流れにあわせて解説

不動産売却における注意点は?売却の流れにあわせて解説

不動産の売却は、人生で何度も起こらない大きなイベントです。
いざ売却となると、何に気をつければよいのかわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、不動産売却における注意点を契約の流れや事例とあわせてご紹介しています。
大切な不動産を後悔なく売却するためにも、ぜひ参考にしてください。

【状況別】不動産売却の注意点5選

ここでは、不動産売却の注意点を手続きの流れに沿って解説します。
段階ごとに気をつけるポイントが異なりますので慎重に確認しましょう。

不動産査定を依頼する際の注意点

複数社に査定を依頼したとしても、基本的に近隣の類似物件や現在の市況をもとに価格算出をするため、査定価格に大きな差は出ないでしょう。
ただ、査定会社の戦略により会社間で査定価格に差が出ることがあります。

その際には査定価格や知名度だけで不動産会社を判断しないように注意してください。査定価格の根拠をしっかりと説明してもらい、納得したうえで不動産会社を選ぶことが重要です。

売主の状況や事情によっても売出価格は変わってきます。よりご自身に合った売却を進めるため、信頼できる不動産会社に詳しく相談してみましょう。

媒介契約を締結する際の注意点

媒介契約を締結する際は、3種類の契約形態から選びます。
契約の種類によって内容が異なります。中身をしっかりと理解しご自身に合った契約形態を選びましょう。

以下、媒介契約の種類についてそれぞれ解説します。

一般媒介契約専任媒介契約専属専任媒介契約
契約できる不動産会社の数複数社(定めなし)1社のみ1社のみ
契約期間定めなし3か月以内3か月以内
不動産会社を通さず自分で買主を見つける行為(自己発見取引)可能可能不可
売主への定期報告報告の義務なし2週間に1回以上1週間に1回以上
レインズへの登録義務登録の義務なし契約から7日以内に要登録契約から5日以内に要登録

それぞれ、メリット・デメリットがありますのでしっかり確認しましょう。

当社のHPでも紹介していますのでこちらをご確認ください。

内覧の際の注意点

物件の売り出しをスタートさせると、興味を持った方から内覧希望に対応するようになります。

内覧時の印象は購入の意思決定に大きく影響するため、玄関・リビング・水回りなどの掃除をし、できるだけ良い印象になるよう準備しましょう。

もし売却開始から時間が経っても内覧の申込が入らない、問合せが少ないなどの場合、広告で物件の魅力をうまくアピールできていなかったり、売出価格が相場と異なっているなどが考えられます。

不動産会社の担当者と相談しながら広告媒体や掲載写真、売出価格の見直しをおこないましょう。

売買契約を締結する際の注意点

売買契約時には売買契約書の読み合わせなどをおこないます。

マンションの売買契約における注意点は以下の3点です。

  • 契約不適合責任
  • 主要設備の保証
  • 契約解除

契約不適合責任

マンションの売却では、個人が売主の場合、引渡し日から3か月間は給排水管の故障、シロアリの害について修復の義務を負います。その際、修復義務の履行を遅延するような行為があり、買主の履行の催告にも従わない場合は、売買契約が解除される可能性があり、契約解除に関わる違約金の支払い義務を負います。

主要設備の保証

主要設備(給湯器やトイレなど)に関しては、引渡し日から7日間は売買契約書付属の設備表にある主要設備の故障・不具合欄に「無」にしたものに限り修復の義務を負うことになるため、事前に不具合がないか確認するようにしてください。

契約解除

マンション売買における契約解除は大きく4つに分けられます。

(1)ローン解除

住宅ローン利用を前提とする買主は、通常契約前に住宅ローンの「事前審査」の内諾を得ています。そして契約締結後に売買契約書等を添付して住宅ローンの「本審査」をおこなうことになります。

本審査では「事前審査」では行われない審査項目があります。万が一、本審査の内諾が得られない場合は物件が購入できないということになりますので、契約が白紙解除となります。

(2)手付解除

売買契約は売主と買主の間の相互契約です。売主・買主どちらかの意思で契約を解除する場合は、売買契約時に買主から売主に支払われる「手付金」を基準に契約解除がおこなわれます。

売主の契約解除の場合、売主は買主から受領した手付金を返還し、さらに手付金相当額を買主に支払うことにより契約の解除がおこなうことができます。

買主の契約解除の場合、買主は契約時に売主に渡した手付金相当額を放棄して、契約の解除をおこなうことができます。

(3)違約解除

契約に関する約定を破る行為があり、相手からの履行の催告に応じなかった場合には「違約解除」となります。
違約した当事者が支払う違約金は、売主と買主の合意によりますが、通常は売買代金の1割から2割相当額が相場となります。

(4)契約不適合責任による解除

売主の契約不適合責任に対する債務不履行について、売主が買主からの履行の催告にも応じない場合は、買主から契約の解除を求められることがあります。

その他、売買契約の流れや準備する書類などについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

物件引渡し時の注意点

売買契約を締結し物件の引渡し日が確定したら、決済や引渡しに向けて必要な書類を準備しましょう。必要書類は、本人確認書類(免許証等)・印鑑証明書・住民票等が代表的なものです。また仲介手数料の残金も必要です。(残代金からの支払いが多いです)取得までに時間がかかる書類も一部ありますので、早めに行動しましょう。

また、不動産売却によって利益が出た場合、翌年の2月中旬〜3月中旬までの間に確定申告をおこなう必要があります。

上記のように申告作業等、引渡し後の手続きもあるます。しっかりと確認しましょう。

引渡しの流れや準備する書類などについて詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

【事情別】不動産売却の注意点4選

不動産を売却する際の状況によっては、特別な手続きが必要となる場合があります。
ここでは、売主の事情別に売却時に注意すべき点を4つ紹介します。

共有不動産を売却する際の注意点

1つの物件を夫婦や兄弟同士といった複数人で所有している場合、売却時には名義人全員の同意が必要になるため、事前に話し合いなどで全員の意思を確認しておくことが大切です。

また、売却に関わる手続き書類の署名・押印などは名義人全員でおこなうことが基本です。余裕を持った日程調整をおすすめします。

名義人で遠方等の理由で契約等に出席できない方がいる場合、委任状を作成して代理人を選定しておきましょう。

共有名義の不動産の売買について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

登記済証紛失時の売却における注意点

不動産の売却には登記済証が必要ですが、紛失した場合、再発行ができません。
そのため、以下のような登記済証に代わるものを作成して売却手続きをおこなう必要があります。

  • 資格者代理人(弁護士や司法書士など)による本人確認情報の提供
  • 公証人による認証
  • 事前通知制度

資格者代理人(弁護士や司法書士など)による本人確認情報の提供

こちらがマンション売却の際に行われる一般的な方法になります。
本人確認情報は登記申請の代理人となる司法書士や弁護士が作成するもので、申請人が登記義務者本人であることを証明する書類です。売主の労力はほとんどかかりません。
作成費用は5万円~15万円程度掛かり、本人確認のために、パスポートや印鑑証明書、マンションを購入した時の売買契約書、固定資産税納付書などが必要になることがあります。手続きに必要な書類については依頼先に確認し事前に準備しましょう。

公証人による認証

売主本人が公証役場に出向き、公証人に本人確認をしてもらう方法です。売主本人がさまざまな書類を揃える必要があり、事前準備が多いです。

事前通知制度

事前通知制度については、買主側へのリスクがあるためマンション売却の際にはほとんど使われません。

それぞれの方法について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

海外居住時に日本の不動産を売却する際の注意点

海外にいらっしゃる方でも日本の不動産を売却することは可能です。しかし手続きは日本在住の方とは異なりますので、注意が必要です。

(1)本人確認と署名証明(サイン証明)の取得

まず不動産を売却する際には、司法書士が作成する「売主から買主へ登記名義を変更する書類」と「印鑑証明書」を法務局に提出する必要があります。その書類には今回売却する物件の情報等が記載されており、売主の署名と実印での押印が求められます。

そして、その書類に署名したのは本人であると証明する証として、「印鑑証明書」を添付します。この書類を法務局に提出すれば、登記名義の変更手続き(売買の手続き)が完了します。

日本在住の場合は前記の方法で手続きが行えますが、海外に居住している人は本人確認資料である、印鑑証明書の添付ができません。日本に住民票がないので、発行できないからです。

この場合、登記名義変更書類提出先の法務局は、「署名証明(サイン証明)」の提出を求めます。この署名証明は在住地の日本の在外公館(領事館や大使館)で発行が可能です。

署名証明とは印鑑証明の代わりのようなもので、本人が署名したことを在外公館が証明してくれる書類です。

署名証明には2つの形式がありますので、不動産会社の担当者にどちらが必要か必ず確認をしましょう。

(2)代理人の選出

本人は海外に在住しているので、契約や引渡しに出席できない場合が多いと思われます。その際には日本にいる者を代理人として取引を行います。不動産取引なので、代理人は親族などが良いでしょう。

その際、一連の売却行為を代理人に委任するための「委任状」が必要になります。必要書類や流れなど不動産会社の担当者に確認しながら進めていきましょう。

(3)非居住者の源泉徴収制度

非居住者とは日本国内に住所がない、または、現在まで引き続いて1年以上日本国内に居所がない人のこといいます。よって日本から住民票を抜いて、海外生活されている人はこの非居住者に該当します。

非居住者が日本国内の不動産を売却する際には、日本国内における所得の申告漏れを防ぐ観点から、一定条件に該当する場合に売買価格の10.21%相当額を源泉徴収して税務署に支払う義務が発生します。

支払いは原則、不動産の買主が決済日(物件引渡し日)の翌月10日までに税務署に納める方法で行われます。

但し、源泉徴収を支払う必要があるか否かは、その不動産取引の内容よって判断されます。

今回売却する不動産の取引が下記の三つにあてはまる場合は源泉徴収の必要はありません。

  1. 買主が法人ではなく個人
  2. その個人の住宅用途が自己居住用もしくはその親族居住用
  3. 売買価格が1億円以下

なお、徴収された税金は売主が確定申告を行うことで、要件により還付される可能性があります。

詳しくは国税庁のホームページをご確認ください。

(4)納税管理人の選任

海外居住中の方であっても、その不動産売却で利益が生じた場合には確定申告を行わなければいけません。一度日本に帰国して、確定申告期間中に手続きできれば問題ないのですが、都合で帰国できない方もいらっしゃるかもしれません。

そのようなときは、本人に代わって確定申告の手続きや還付金の受取りなど行う「納税管理人」を選任する必要があります。

申請は本人が本人の納税地を所管する税務署に対して行います。帰国が難しい場合などは必ず選任しておきましょう。
詳しくは国税庁のホームページをご確認ください。

海外在住の場合には、時差や郵送物の到着日数など他にも注意する点があります。買主が現れる前に、不動産会社の担当と連絡を取り合い、余裕を持ったスケジュールを設定しましょう。

抵当権設定済み不動産を売却する際の注意点

不動産に抵当権が設定されている場合、原則として第三者への売却はできません。

ただ、売却前に以下の方法で住宅ローンを完済し抵当権の抹消手続きをおこなうか、物件を売却した際の売却資金を返済に充てて住宅ローンを完済することができれば売却することができます。

住宅ローンを返済するためには資金計画をしっかりと立てる必要がありますので、残債金額と自己資金、売却資金等を把握することが重要です。

住宅ローンが残っているマンションの売却方法について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

まとめ

不動産の売却では慣れない手続きが多いうえに、必要な書類も多いためご不安になることもあるかと思います。

販売活動中や契約締結前に少しでも疑問や不安が生じた場合は、不動産会社の担当者にその都度確認するとよいでしょう。また、お部屋の不具合についても小さいなことでも構わないので事前に相談しておきましょう。

当社でもマンション売却に関するご相談を承っております。ぜひお気軽にご相談ください。

著者情報

宅建士 兼 Webライター
井後 帆乃香

【経歴】
宅建士として不動産会社に勤務するかたわら、SEOライティングを中心に幅広く活動するWebライター。
「不動産って難しい!」と頭を抱えた経験から、難しい言葉を使わず、わかりやすく丁寧にお伝えすることをモットーとしています。
家に居る時は、愛猫を膝に載せながら執筆することも。
保有資格:宅建士/日商簿記2級/ITパスポート試験 など