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マンション売却コラム

マンション売却と築年数の関係|売り時と高く売る戦略を解説

マンション売却と築年数の関係|売り時と高く売る戦略を解説

マンションを売却する際、「どのタイミングで売るべきか」「築年数は価格にどのように影響するか」といった点に悩む方は少なくありません。マンションの価値は築年数によって変動するため、タイミングを見極めることが、よりよい条件で売却するためには重要です。

本記事では、マンションの売却価格と築年数の関係性について詳しく解説します。築年数ごとの価格相場や、それぞれの時期に応じた売却戦略、年数が経過しても売れやすいマンションの特徴も紹介します。

ご自身のマンションにあった売却時期を判断する際に、ぜひ参考にしてください。

マンションの売却価格と築年数の関係性

マンションの売却価格は、築年数と密接な関係にあります。建物は時間の経過とともに劣化するため、その価値は下がっていくのが一般的です。

しかし、マンションの資産価値は建物だけで決まるわけではありません。ここでは、売却価格を左右する要素と、築年数が価値に与える影響について見ていきましょう。

資産価値は「土地」と「建物」で決まる

マンションの資産価値は、主に「土地」と「建物」の2つの要素から成り立っています。売却価格は、その他市況等の価値を合算したものが基本となります。

土地の価値は、立地や周辺環境、再開発などの影響を受けやすい特徴があります。そのため、築年数が経過しても価値が下がりにくい、あるいは上昇することもあります。

一方、建物の価値は時間の経過とともに下がるのが一般的で、新築時をピークに緩やかに減少していきます。これらの異なる要素の組み合わせによって、マンション全体の資産価値が決まります。

築年数とともに建物の価値は下落する

既存マンションは築年数の経過とともに価値が減少します。一般的に築浅物件が高値で取引される傾向にあり、築10年前後には約1割の下落が見られます。築20年を過ぎる頃には新築時より2~3割程度下がり、立地条件などによっては築30年頃には半値以下になる場合もあります。

そのあとは価格の変動は小さくなりますが、これは建物の価値が下げ止まりに近づくためです。建物の経年劣化が資産価値に直接影響するため、売却を検討する際はこの点を理解しておくことが重要です。築年数別の具体的な売却価格の相場については、次の章で解説します。

【築年数別】マンション売却価格の推移と売却戦略

マンション売却を成功させるには、市場における築年数ごとの特性を理解し、それにあわせた戦略を立てることが重要です。ここでは、東日本不動産流通機構のデータをもとに、首都圏における築年数別の売却価格の相場と、それぞれの時期に有効な売却戦略を解説します。

  • 築5年以内:新築に近い価格での売却も可能
  • 築6~10年:需要が高く高値売却が期待できる時期
  • 築11~20年:価格は下がるが買い手が見つかりやすい
  • 築21~30年:物件の個性によって価格差が開きやすい
  • 築31年以上:立地や管理状態で価値が決まる

築5年以内:新築に近い価格での売却も可能

築5年以内のマンションは、築浅物件として高い人気があります。2024年の首都圏のデータでは、平均売却価格が約7,808万円(約126.08万円/平方メートル)となっており、新築時に近い価格で売れる傾向があります。設備や内装が新しく、大規模修繕の心配も少ないため、購入検討者にとって魅力が大きいでしょう。
この時期の売却戦略としては、新築物件を探している購入層にアピールすることが有効です。室内をきれいに保ち、モデルルームのような清潔感を演出することで、新築と遜色のない印象を与えられます。需要の高さから、やや強気な価格設定で売り出すことも可能といえます。

築6~10年:需要が高く高値売却が期待できる時期

築6年から10年のマンションは価格と品質のバランスがよく、市場で需要が増える築年数です。平均売却価格は約7,156万円(約109.09万円/平方メートル)となっています。新築時に比べると手頃な価格になる一方で、設備はまだ新しく、高値での売却も期待できます。

周辺の競合物件を調査しながら価格を設定し、内覧希望者を多く集めることで、スムーズな売却へとつなげられます。買い手の関心が高い築年数であるため、売却するタイミングとしてもよい時期といえます。

築11~20年:価格は下がるが買い手が見つかりやすい

築11年から20年になると、価格はさらに落ち着き、買い手にとってのお得感が増します。平均売却価格は築11~15年で約6,619万円(約99.35万円/平方メートル)、築16~20年は約5,972万円(約85.07万円/平方メートル)です。

手頃な価格帯になるため、幅広い層からの需要が見込めます。一度目の大規模修繕工事が完了している時期でもあり、メンテナンス状況が購入の重要な判断材料となります。

売却のコツは、物件の維持管理の状態のよさを具体的にアピールすることです。大規模修繕工事の履歴や定期的なメンテナンスの記録を提示し、しっかり管理されてきた物件であることを伝えると、購入検討者に安心感を与えられます。価格の手頃さと管理のよさの両方をアピールできれば、スムーズに売却活動を進められるでしょう。

築21~30年:物件の個性によって価格差が開きやすい

築21年から30年は、マンションの価格の下落が続く時期です。平均売却価格は、築21~25年で約5,320万円(約74.71万円/平方メートル)に対し、築26~30年は約3,835万円(約57.71万円/平方メートル)と、大きな開きがあります。

管理状態やリフォームの有無といった特徴が価格に反映されやすいため、物件ごとの価格差も顕著になります。この築年数のマンションを探している方は、購入後にリフォームやリノベーションを前提としている場合も多いです。

リノベーションで理想の住まいを作れる可能性を見せることが、売却のコツと考えられます。

築31年以上:立地や管理状態で価値が決まる

築31年を超えるマンションは、建物の評価がほぼなくなる傾向にあり、主に土地の価値と立地の利便性によって価格が左右されます。

平均売却価格は約2,300万~2,700万円台(約40万円台/平方メートル)ですが、これはあくまで平均値です。都心の一等地や駅直結といった優れた立地条件であれば、築年数に関わらず高い価格で取引されることもあります。

この段階での売却戦略は、立地のよさを最大限にアピールすることです。「駅徒歩〇分」といった交通アクセスや周辺施設の充実度など、利便性を具体的に伝えることが重要です。買い手が見つからない場合や早期の現金化を望む場合は、不動産会社に物件を買い取ってもらう「買取」も選択肢のひとつになるでしょう。

また、売却価格を決定するものは築年数や立地、管理状態等以外にも市況が大きく影響します。ただ、不動産市況を把握するのは困難です。売却を検討された際は不動産会社に相談し、市況を含めた売却価格の根拠を確認するようにしましょう。

マンションの売り時は築何年まで?

築年数ごとの売却価格の相場を把握したうえで、いつ売ればよいかと悩む方も多いかもしれません。

最適な売却時期は、売却の目的によって変わりますが、おおよその目安となる築年数は存在します。まずはご自身の目的を整理したうえで、売却のタイミングを検討する際の参考にしてみてください。

高く売却するなら「築10年以内」が目安

少しでも高く売却したい場合は、築10年以内がひとつの目安となります。この時期は資産価値の下落が比較的少なく、市場での需要も高いため、高値での売却が期待できます。

特に築5年以内であれば、新築時の価格に近い金額で取引される可能性も十分にあります。新築プレミアムの恩恵を受けられる時期といえるでしょう。売却によって利益を最大化したい場合は、このタイミングが選択肢のひとつとなります。

売りやすさを重視するなら「築20年以内」

スムーズに売却することを優先に考えるなら、築20年以内を目安にするとよいでしょう。価格と条件面のバランスがよく、既存マンション市場でも流動性が高いのがこの築年数帯です。購入検討者にとっても、価格が手頃で魅力的に映ります。

また、築20年以内であれば金融機関による住宅ローン審査も比較的通りやすい傾向にあります。買い手の資金計画が立てやすいことも、売りやすさにつながる重要なポイントです。ストレスなく売却活動を進めたいなら、この期間内での売却を検討するのが現実的といえます。

ただし、売却価格は築年数のみで決まるわけではありません。市況や競合物件、立地や室内状況等のさまざまな要素から売却価格が決まります。

また、「10年超所有の軽減税率」等、売却した際に使用できる特例では所有期間が影響するものもあります。
詳しくは以下のページをご覧ください。

売却時期は築年数のみで決定するものではありません。また、築年数以外にも市況も大きく影響します。

さまざまな要因を総合的に判断し、売却価格を把握することは困難です。そのため、売却を検討した際には不動産会社に相談し売却価格を確認するようにしましょう。

築年数が古くても売れやすいマンションの特徴

マンションの価値は築年数だけで決まるわけではありません。特定の条件を満たしていれば、購入検討者にとって魅力的であり、築年数が古くてもスムーズに売却できる可能性があります。

ここでは、築古でも売れやすいマンションの主な特徴を見ていきましょう。

  • 新耐震基準を満たしている
  • 管理組合の機能や長期修繕計画がしっかりしている
  • 駅からの距離や周辺環境など立地条件がよい
  • リフォームやリノベーションがしやすい間取り

新耐震基準を満たしている

建物の耐震性は、購入検討者が重視するポイントのひとつです。1981年6月1日以降の建築確認を受けたマンションや既存のもので新耐震基準に適合するように耐震補強工事を行ったマンションについては、新耐震基準に適合しています。震度6強から7程度の地震でも倒壊しないように設計されているため、買い手に安心感を与えられるでしょう。

また、新耐震基準を満たしていることは、税制優遇措置を受けるための条件になっている場合もあります。購入者の経済的なメリットにも直結するため、売却のしやすさに大きく影響します。築年数が古くても、新耐震基準を満たしていることはセールスポイントのひとつになるでしょう。

管理組合の機能や長期修繕計画がしっかりしている

マンションの管理状態のよさは、資産価値を維持するうえで重要です。管理組合が適切に機能し、長期的な修繕計画が策定・実行されているマンションは、築年数が古くても価値が落ちにくい傾向があります。

修繕積立金が計画どおりに積み立てられているかが判断材料となるほか、管理状況の確認では、エントランスや廊下などの共用部分が清潔に保たれているかが見られる場合もあります。

適切に管理されているマンションは、快適な生活が期待できるため、購入検討者からの評価も高くなります。

駅からの距離や周辺環境など立地条件がよい

立地条件のよさは、築年数の経過による価値の下落をカバーできる大きなポイントです。「駅徒歩5分以内」といった交通アクセスのよさや、スーパー、学校、病院、公園などが徒歩圏内に揃っている利便性の高い環境は、常に安定した需要があります。

特に、都市部や人気の住宅街では、立地の希少価値そのものが大きな魅力となります。築年数が古くても「この場所に住みたい」という購入検討者を引きつけることが可能です。

売却の際には、周辺環境の魅力を具体的に伝えることが、効果的なアピールにつながります。

リフォームやリノベーションがしやすい間取り

近年は、既存マンションを購入して、自分好みにリフォームやリノベーションをおこなうニーズが高まっています。そのため、間取りの変更がしやすい物件は、築年数が古くても人気があります。

たとえば、壁の撤去がしやすい構造のマンションやシンプルな間取りは、設計の自由度が高く、リフォーム前提の購入検討者に好まれます。間取りの柔軟性やリフォームのしやすさを伝えることは、築年数が古いマンションを売却する際に有効です。

築年数に関連するマンション売却の注意点

マンションを売却する際には、築年数に関連する注意点があります。事前に理解しておくことでトラブルを避け、より有利に売却を進めることができるでしょう。

ここでは、重要な2つのポイントについて解説します。

  • 所有期間5年以内の売却は税金が高くなる
  • 住宅ローン控除の適用可否が売却価格に影響する

所有期間5年以内の売却は税金が高くなる

マンションを売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して所得税と住民税が課税されます。この税率は、マンションの所有期間によって異なります。たとえば、売却した年の1月1日時点で所有期間が5年以下の場合は、「短期譲渡所得」として39.63%(所得税30.63%、住民税9%)の高い税率が適用されます。

一方で、所有期間が5年を超えると「長期譲渡所得」となり、税率は20.315%(所得税15.315%、住民税5%)に軽減されます。もし売却によって大きな利益が見込める場合は、所有期間が5年を超えるタイミングまで待つことで、手元に残る金額を増やせる可能性があります。

参考:東京都主税局|土地・ 建物等の譲渡に係る所得税(国税)・ 住民税(地方税)(P46)

譲渡所得の計算と税金(所得税・住民税)

ただ、マンションを売却して利益(譲渡所得)が出た場合でも、譲渡所得から3,000万円を控除できる「居住用3,000万円特別控除」という特例があります。

詳細や適用要件については以下のページをご覧ください。

住宅ローン控除の適用可否が売却価格に影響する

購入検討者の多くは住宅ローンを利用するため、住宅ローン控除が適用されるかどうかを重視します。年末時点のローン残高に応じて所得税などの一部が還付されるため、購入者にとっては大きなメリットです。

現在の制度では、既存マンションで住宅ローン控除を利用するには、原則として1982年1月1日以降に建築された物件であることが必要です。建築年月日の要件を満たさない場合でも、現行の耐震基準に適合していることを示す「耐震基準適合証明書」などを取得できれば、控除の対象となることがあります。

また、築年数のみではなく床面積等の要件もありますので売却前にご自身のマンションが控除対象となるかを確認し、不動産会社と情報を共有しておくとよいでしょう。購入検討者へのアピールポイントとなり、売却活動をスムーズに進めやすくなります。

参考:国税庁|No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)

まとめ

マンションを有利な条件で売却するためには、築年数による価格の変動を把握し、それに応じた売却戦略を立てることが重要です。高値での売却を目指す場合は築10年以内、売却のしやすさを重視するなら築20年以内が目安となります。

ただし、新耐震基準への適合や管理状況のよさ、立地条件などによっては、築年数が古くても十分に売却可能です。所有期間による譲渡所得の税率や大規模修繕の時期なども含めて、総合的に判断することが大切です。

また、売却価格を決定する大きな要因として市況があります。ただ、市況を把握するのは困難です。

そのため、ご自身のマンションの価値や最適な売却時期を知るには、不動産会社に相談するのが確実です。

弊社オークラヤ住宅では、マンション売却に関するご相談を承っております。

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