購入コラム
マンション購入コラム

多様化したライフスタイルでの既存(中古)物件の魅力

多様化したライフスタイルでの既存(中古)物件の魅力

日本では住居を探す条件として、「新築」という条件は誰もが外せない条件のひとつでした。
もちろん、誰も住んだことのない新築物件に住むことは気持ちがいいことですし、災害が多い日本にとっては「新しい」ということが安心材料にもなります。

そんな日本の住宅事情にも最近では変化が見られるようになりました。
2016年には首都圏のマンション市場において、既存マンションの販売戸数が新築マンションの販売戸数を上回るという初めての現象が起こりました。

これには、昨今話題になっている「新築マンションの価格高騰」が主な原因と言われていますが、本当にこれだけが理由なのでしょうか。
この多様化した社会において、既存住宅が選ばれる理由を今のトレンド別に考えてみました。

<目次>
1、職住近接と共働き世帯の増加
2、親族との近居と地域で探せる「既存住宅」
3、シニア層の住み替え
(1)利便性の高い都心への住み替え
(2)ダウンサイジング
4、リノベーション技術の向上
5、まとめ

1、職住近接と共働き世帯の増加

その名の通り、職場の近くに住居を構えるということですが、近年の共働き世帯の増加に伴って、職場の近いところ、通いやすいところに住居を構える傾向が増えてきました。

以前は郊外で住居を構えて、都心へ通勤するスタイルなどが主流でしたが、夫婦共に働くとなると家事の時間も確保する必要があることから、通勤時間が短縮できる都心に住居を構えるようです。

もちろん住居が都心に近づけば近づくほど、販売価格が高くなる傾向にありますが、
今は、夫婦で住宅ローンを組んで、都心の物件を購入していく世帯も増えています。

ところが、立地の良い物件を探そうと思っていても、首都圏では各地で再開発が行われており、土地の争奪戦となっている結果、新築で立地の良い物件を探すのはとても困難になっています。

特に立地が良い場所はオフィスビルなどの事業用地とされ、なかなか住居用地の取得は困難となっています。

そのような土地争奪戦とは無縁の既存住宅は比較的、「立地」が良いとされ、物件によっては、都心で比較的にリーズナブルに物件を探すことができ、忙しい共働き世帯のニーズに応えていると考えられます。

2、親族との近居と地域で探せる「既存住宅」

日本には古くから、家を引き継いでいく風習がありましたが、最近ではそんな意識が下がってきたのか、抵抗感を持つ人も増え、同居という形態は少なくなってきているように思います。そんな中、「同居」の代わりに台頭してきたのが、「近居」です。

内閣府の2013年の意識調査の中では、理想の住まい方として、「親族との近居」と挙げた世帯が最も多い結果となりました。さらに、これから住宅を購入しようと考えている一般消費者の約4割が「近居」を予定していると回答しました。(2019年度における住宅市場動向について:住宅金融支援機構調べ)

子育て世代では「子育ての援助が得られる」や「共働きしやすい」などが理由として挙げられ、親世代では「孫の成長を見守れる」や「自分たちに何かあった時に安心」などが理由として挙げられ、相互でメリットが発生しているようです。

このような結果を反映して、政府も「近居」を推進しており、2015年の閣議で少子化対策の一つとして、「近居」の支援策が決定されています。そして、助成を開始している自治体もでてきました。
例:品川区の「近居」支援策

親世帯の近くに住むのか、子育て世代の近くに住むのかはそれぞれですが、こうなった場合も地域で探せる「既存住宅」が選ばれる傾向が強いようです。

新築物件のように開発がいらない既存住宅は、既に街に存在している建物ですので、地域を絞った探し方ができ、物件数も豊富で自分にあった物件を柔軟に探すことができます。

3、シニア層の住み替え

日本の平均寿命は伸び続け、今や「人生100年」とも言われるようになり、定年後の生活設計も非常に大事になってきました。そんな生活設計の一環として今、シニア層の間では住み替えといった形で新たな住居を購入する人も多いようです。

(1)利便性の高い都心への住み替え
高度成長期には郊外に多くのニュータウンが開発されて、多くの方が、そこで子育てを行い、都心へ通勤するライフスタイルを形成していました。

ところが、子育てを終え、加齢が進むと子育てには良かった環境に不便さを感じる高齢者世帯が多くなってきました。

とくに日頃の買い物や通院など、生活インフラを利用する際に不便さを感じることが多いようです。

弊社も、「○○病院」の周辺で探しているや、交通の便の良い「都心」に住み替えを検討しているとの相談を多くいただきます。

やはり、この場合でも地域を絞った探し方になるので、既存住宅であればより自分に合った物件を探すことができるでしょう。

(2)ダウンサイジング
次に子育てを終えた世帯によくある住み替えが「ダウンサイジング」です。

これは、子育てのために当時、広い部屋を購入した方や戸建に住んでいる方が、現在の生活サイズにあった住宅に住み替えることを言います。

子育てを終え、夫婦二人の生活となると、加齢も重なって広い住居の維持管理をしていくのが、大変になってきます。特に戸建の場合、階段の上り下りもあって、身体的な問題も発生します。

そのような場合に現在の広い住居を売却し、よりコンパクトで立地の良い、中古マンションへの住み替えをしています。こういった需要も最近増えてきました。

また、金融機関によっては「リバースモーゲージ」という商品も出てきており、高齢者世帯でも住み替え資金の借入ができ、預貯金を崩さずに新しい住居への住み替えが実現しやすくなってきています。
参考:住宅金融支援機構のリバースモーゲージ商品

4、リノベーション技術の向上

リノベーションという言葉が出始めて、10年以上が経ちました。
この間にもリノベーション技術はさらに向上し、室内は新築と同様と言っていいほどに綺麗になります。

ropponngi
この物件は築後50年を経過したマンションですが、室内はリノベーション工事によってこのようにお洒落に変化しました。

さらにリノベーションは、新築ではオプション扱いになるような「自身の好み」も反映しやすく、自分たちに合った室内を造ることができます。
(建物の構造上、工事内容が制限される場合があります。)

新築とは違って、マンションの購入費用が比較的抑えることができるので、その分リノベーションに費用を使うというのができます。また、自分自身の部屋を造る楽しさもあります。

5、まとめ

いかがでしたか。

この多様化した現代では、既存住宅はますます流通数の拡大が見込まれるのではないでしょうか。

新築物件が憧れなことに変わりはありませんが、少し既存物件に目を向けると自分に合った物件に出会えるかもしれません。

また、政府も既存住宅の流通を促進しており、既存住宅でも要件を満たせば、様々な税制優遇の適用が受けられます。

是非、柔軟に探せる「既存住宅」も候補に入れてみてはいかがでしょうか。