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購入しても大丈夫?築30年のマンションの魅力とは

購入しても大丈夫?築30年のマンションの魅力とは

新築マンションの価格高騰の影響もあり、中古マンションを検討する方が増えています。

しかし、中古マンションと聞くと「購入しても大丈夫か」など不安を感じる場面も出てくると思います。

そこで今回は、中古マンションの中でも築30年の中古マンションに焦点を当てて、購入時の注意点を解説します。

1、築30年のマンションはあと何年住めるのか?

中古マンションの室内を案内しているとき、中古マンションの購入検討者から「あと何年住めますか?」という質問をよくいただきます。

しかし、この質問を答えるとき私たち不動産会社は正直少し困ってしまいます。なぜなら結論が「まだ分からない」となっているからです。

というのも、マンション自体の歴史はまだ浅く、例えば築60年を迎えそうなマンションも未だに建っており、誰もマンションの結末をまだよく知らないといえるからです。

例えば、築100年を迎えるマンションが出てくる時代ならば、100年を基準に「あと何年は住めますね」という答えができるようになるかもしれません。

「まだ分からない」という回答では、買ってよいのか悪いのか判断ができなくなり結論を出せない状況になります。

そこで築年数に関する考え方についてご紹介します。

(1)耐用年数

不動産建物の減価償却資産における耐用年数とは、本来の用途用法によって減価償却資産が利用に耐える年数のことをいいます。すなわち、その資産の税務上の価値持続期間のことをいいます。

マンション(鉄筋コンクリート造)の耐用年数は47年となっており、この47年を一つの区切りと判断することもよいといえるでしょう。

しかし、税務上の資産価値の年数のため物理的な理由にはなりません。現に47年を超えるマンションは首都圏を中心に多く存在していますし、場所によっては今でも高額な取引価格になっている中古マンションもあります。

(2)鉄筋コンクリート部材の調査

国土交通省が取りまとめた「中古住宅流通促進・活用に関する研究会報告書取りまとめ後の取組紹介」の資料によると、鉄筋コンクリート部材の耐久実態は50年以上あると認められており、建物の減耗度と実際の使用年数との関係から、鉄筋コンクリ-ト造建物の物理的寿命を「117年」と推定されると発表しました。

つまり築後50年から117年の間がマンションの寿命といえるということになります。しかしながら、建物の維持管理の問題や地震などの自然災害の影響など建物は日々何かしらの影響を受け続けているため、この期間を持たずに寿命を迎えるということもあり得るかもしれません。

ただし、この資料からは築30年を経過したマンションが例えば10年後には住めなくなっているという可能性は低いといえるでしょう。

参照:~中古住宅流通促進・活用に関する研究会(参考資料)平成25年9月~

(3)「築30年のマンションはあと何年住めるのか?」まとめ

今回は資産価値の観点とコンクリートの寿命の研究結果からマンションの寿命を考えてみました。

国交省のデータや実際の築後60年弱のマンションが現存していることなどを考慮すると、築30年のマンションがすぐに住めなくなってしまうことは、あまり想定されていないことが分かります。

ただし、マンションの場合は特に管理が重要です。外壁工事は定期的に行っているか、劣化しやすい給排水管の定期清掃やメンテナンスを行っているか否かは、マンションの寿命や住み続けられるかどうかに大きく関わります。

マンションの築年数だけを気にするのではなく、マンションの維持管理が適正に行われているかどうかの確認もしっかりしておきましょう。

2、築30年のマンションの魅力は?

2022年(令和4年)から30年を遡ると1992年(平成4年)になります。築30年のマンションというとかなり昔といった気がしますが、平成築のマンションです。
そう考えると、「それほど古くはないマンション」というイメージを持つかもしれません。

では、「それほど古くはない」という以外の築30年マンションの魅力についてお話します。

魅力1 新耐震基準であること

住宅の耐震基準は大きく新耐震基準と旧耐震基準に分けられます。1992年(平成4年)以降の建築物は、すべて「新耐震基準」で建築されています。

ここで新耐震基準と旧耐震基準の比較表を見てみましょう。

新耐震基準は今の日本の最大震度である「震度7」の地震の揺れでも倒壊しない水準が求められます。

よって、今の日本の最大震度の地震が発生しても倒壊の恐れが低いということで安心感が得られると思われます。

ただし、直下型の地震など地震の発生場所や地震の規模(マグニチュード)などによっては倒壊の恐れも考えられます。

新耐震基準の変更は2000年(平成12年)にも行われていますが、耐えうる地震の震度の変更は行われていません。

築30年のマンションも新耐震基準で建築されていることから、新耐震基準であることは最大の魅力といってよいでしょう。

魅力2 税制優遇措置の適用が受けられる

住宅を購入する際には、要件を満たせば住宅ローン控除に代表される様々な税制優遇措置の適用が受けられます。

しかしながら、今申し上げた通り要件を満たさなければ適用が受けられません。そしてこの要件の一つとして「新耐震基準であること」が求められます。

税制優遇措置は、住宅の購入促進や中古住宅の流通促進として始まった措置です。しかしながら旧耐震基準の住宅は、大規模災害時に倒壊してしまう可能性があることから「流通を促進していく住宅」とはいえず、税制優遇措置の適用外となっています。

一方、新耐震基準のマンションはこれからもさらに流通を促進させるべき住宅として、現行の税制優遇措置がほぼ適用可能となっています。

築30年のマンションでも税制優遇措置の適用が受けられますので、税金などを節税してマンションを購入することができます。

3、築30年マンションの物件選びのポイント

(1)マンションの管理体制や工事履歴をチェック

先述しましたが、マンションの寿命にはマンションの管理が大きく関わります。そこで、購入する際には管理体制や過去に行った工事履歴などを確認しましょう。

これは中古マンション全体にいえますが、新築マンションと違って中古マンションは「現物」を見学することができます。

マンションの内見時に、必ずマンションの管理状況(外壁の状態など)を確認するようにしましょう。

また不動産会社の担当者に、マンションで過去に行った修繕履歴の確認と今後の修繕計画についても確認しておきましょう。特に給排水管のメンテナンス履歴や今後の修繕計画を定めている長期修繕計画が策定されているかどうかは重要な確認ポイントです。

(2)立地条件

中古マンションの魅力の一つであるこの立地条件は、物件選びの重要なポイントになります。

一般的に築年数が経過しているマンションほど駅近など立地条件が良い場合があります。これは街の開発は駅などを起点に始まることが多いからです。

立地条件が良い新築マンションも存在しますが、価格がとても高く手が届かないといった場合は、築年数が経過したマンションの検討も視野に入れてみましょう。

4、よくある質問

Q1 築30年のマンションが将来建て替えになった場合どうなるか?

A1.マンションの建て替えも近年よく耳にする機会が増えてきました。建て替えとなっても基本的に所有権を失うわけではないため、建て替えの後に住み続けることは可能です。

ただし、建て替えるためには区分所有者の4/5以上の賛成が必要で、建て替え費用は原則区分所有者負担となります。

費用負担がいくらになるかは、マンション毎に変わってきます。容積率が大きく、建て替え後に新しくできたお部屋を分譲できる場合は、その販売費用を建て替え費用に充当することができ、費用負担がなくなる場合や軽減できる場合があります。

一方、建て替えによって分譲ができない場合は、全額区分所有者負担となります。建て替えによる費用負担は一般的には1,000万円前後と言われており、それに加えて、建て替え工事期間中の仮住まいの費用や引っ越し費用などで数百万円の費用負担が発生します。

しかし、既述したように築30年のマンションがすぐに建て替えになるという話ではありません。

Q2 築30年のマンションは将来的に売れるのか?

A2.売却は可能です。先述しましたが、立地条件が良くて新耐震基準である築30年のマンションは、今でも十分に流通性があります。

新築マンションの価格高騰の影響やリノベ―ション工事の技術向上もあって、今は必ずしも新築マンションにこだわる必要はなくなってきています。

また多様化した現代の中で住まいに関するニーズに柔軟に対応できるのは、新たに建築する必要のある新築マンションではなく、既に建っているマンションの中から自分に合った物件を選ぶことのできる中古マンションでもあり、世の中の認識もその方向になってきているようです。

それを裏付けるように株式会社リクルートが行った「住宅購入・建築検討者」調査(2021年)によると、中古マンションの検討率が初めて新築マンションを上回りました。
参照:~リクルートのプレスリリース~

売却時の価格設定が適正であり、管理の良いマンションであれば築年数を経過しているマンションでも売却は可能です。

5、まとめ

築30年のマンションというと、多くの方がネガティブな印象を持たれるとかもしれません。

しかしすぐに住めなくなる根拠は特になく、維持管理が適正に行われているマンションであれば、当分の間は十分に住み続けることが可能です。

マンションの購入を検討されている方で、希望の物件がなかなか見つからない場合は築年数の条件を緩めてみてもよいでしょう。