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中古マンション購入の失敗例

中古マンション購入の失敗例

中古マンションを購入する時は、高額商品だからこそ失敗したくないと思う方が多いはずです。

今回は購入を検討する時の主なポイント毎に、失敗例や失敗を回避するヒントについてお話しようと思います。

【目次】

1、立地・周辺環境
・立地・周辺環境失敗例1「夜間や休日の人通りが少なく、ちょっと怖い、、、」
・立地・周辺環境失敗例2 「周辺の河川や防災情報の確認を怠ってしまった、、、」
・立地・周辺環境失敗例のまとめ
2、お部屋(物件)選びの失敗例
・お部屋(物件)選びの失敗例1 「え!税制優遇が受けられない!?」
(1)登記簿記載の床面積で50㎡以上であること
(2)新耐震基準のマンションであること
・「え!税制優遇が受けられない!?」のまとめ
・お部屋(物件)選びの失敗例2 「マンションの管理が悪く、生活が不便、、、」
・お部屋(物件)選びの失敗例3 「この間取り、住でみたら気に入らない!!」
3、騒音
・騒音による失敗例1 「道路の車両通行がうるさい!?」
・騒音による失敗例2 「土日と平日でマンション周辺が違う!?」
・騒音による失敗例3 隣接住戸
4、お金
・お金の失敗例1 「住宅ローンの支払いがきついな、、」
・お金の失敗例2 「思うようなリノベーションができない!?」
5、まとめ

1、立地・周辺環境

購入を検討する際、まずは立地から検討する方も多いのではないでしょうか。

地元や以前から住み慣れている街であれば、環境についてある程度の把握はされていると思いますが、新しい街での検討をされる場合はその環境について把握されていないことが多いと思います。

マンション購入時には立地や環境を把握しておくことは非常に大事なことです。これから紹介する失敗例を参考に購入検討を進めましょう。

・立地・周辺環境失敗例1 「夜間や休日の人通りが少なく、ちょっと怖い、、、」

こちらはよく聞く失敗例の一つです。
皆さん、購入を検討しているマンションの見学時を思い浮かべてみてください。

マンションの見学は、決まった曜日の一定の時間帯に行うことが多いと思います。しかし街は24時間365日動き続けており、曜日や時間帯によって街の雰囲気が大きく変化します。

マンションの見学日だけでその街の雰囲気を把握してしまうと、いざ住み始めてみた時にギャップを抱えてしまうことがあります。

「人通りも多く、夜も安心だと思う」といった判断を昼間の雰囲気だけで判断するのは良くありません。もしかすると、夜は人通りが少ない可能性もありますし、昼間では気づきにくい「街灯」が少なく、暗い道へと変わってしまう可能性があるからです。

こんな失敗あるのかと思われる方もいらっしゃると思いますが、周辺環境の確認の怠りはよく聞く失敗例です。

特にマンションの見学時は気分が高揚しがちになります。購入するのは「お部屋」になりますので特に素敵なお部屋を見た場合、検討の中心が「お部屋」になってしまうからです。

是非一度冷静にマンションを出た後のその街の雰囲気を確かめることや曜日や時間帯を変えて改めて街の雰囲気を確かめるようにしましょう。

・立地・周辺環境失敗例2 「周辺の河川や防災情報の確認を怠ってしまった、、、」

近年、梅雨や台風の時期になると、ニュースなどで河川が氾濫して家が流されたり、傾斜地では雨に耐え切れなくなった斜面が崩れる土石流など多くの被害について目にする機会が増えました。

日本は災害大国で地震や台風、集中豪雨といったことが日本各地で多発しており、その度に多くの方が亡くなられたり、住居を失われたりされています。

自然災害はいつどこで起こるか分かりません。そして、近年よく耳にするように「過去最多の~」などと表現される自然災害が頻発するような状態です。災害が起こってからでは遅いので購入検討時に、しっかりと予測される被害について把握しておくことが大切です。

自然災害が多い日本では、多くの自治体で「防災ハザードマップ」が制定されています。購入したい場所がどのような災害に見舞われ、どのくらいの被害が予測されている地域なのかを必ず確認しましょう。

不動産取引においても近年の異常気象を踏まえて、2020年8月より取引する場所における防災ハザードマップでどのような被害が予想されるのかについて重要事項説明時に説明することが義務化されました。

購入前に必ずご自身でのハザードマップの確認を行いましょう。

こちらもご確認ください。ハザードマップから地域の防災情報を把握しよう!

・立地・周辺環境失敗例のまとめ

今回ご紹介した事例は代表的なものになります。さらに詳しく立地や環境について知りたい方はこちらもご確認ください。気にしていますか?購入物件の周辺環境

2、お部屋(物件)選びの失敗例

一度物件を購入すると、気に入らないからすぐに退去したいといってもなかなかそうもいきません。多額の費用をかけて購入したので、我慢してしばらくは住み続けなければと思う方が多いでしょう。

・お部屋(物件)選びの失敗例1 「え!税制優遇が受けられない!?」

お金に関しての失敗談にもなりますが、お部屋(物件)選びの観点からこの失敗について説明します。

自己居住用のマンション購入には、国の購入支援策として様々な税制優遇措置が存在します。代表的な優遇措置といえば、住宅ローン控除や住宅資金贈与などがあります。

これらの税制優遇措置は、購入するどの物件にも適用されるわけではありません。物件は一定の条件を満たすことが、必要となります。

では、見落としがちの要件を確認しておきましょう。

(1)登記簿記載の登記面積が50㎡以上であること

販売物件の広告(チラシやインターネット上の情報)で50㎡以上と確認すれば済むのではと思いがちですが、それでは不足しています。

不動産の床面積は登記簿に記載のある登記面積と販売広告などに使われている壁芯面積と呼ばれる2種類存在します。そして皆さんが多く目にする販売物件の広告面積は壁芯面積と呼ばれる面積です。

どちらもその部屋の面積を表したもので正しい面積に違いはありませんが、面積を測る部分が異なるため2種類の面積には“差”が生じます。

細かい違いについての説明はここでは割愛しますが、登記簿記載の床面積の方が壁芯面積より小さくなるのが一般的です。

では、話を少し戻しましょう。販売物件の広告で50㎡以上だから大丈夫という話ですがここまでくると大丈夫ではないことが分かります。

広告記載の壁芯面積が55㎡以上の物件は登記面積でも概ね50㎡以上ある可能性が高く税制優遇措置の要件をクリアしている可能性が高いといえます。一方、広告記載の壁芯面積が51㎡~54㎡の場合には注意が必要になります。この範囲程度の壁芯面積は登記面積では50㎡を下回っている可能性があり、その場合優遇措置要件を満たさないことになります。

購入検討物件の広告上の壁芯面積が50㎡台の場合は、必ず不動産会社の担当者に登記簿記載の登記面積が50㎡を超えているかを確認してみましょう。

(2)新耐震基準のマンションであること

上記では登記面積50㎡以上の面積である必要性を説明しましたが、さらにクリアすべき要件として「新耐震基準のマンションであること」があります。ここにもよく確認しておかなければいけない点がありますので、しっかりとおさえておきましょう。

まずは耐震基準について説明します。
マンションには大きく分けて旧耐震基準と新耐震基準の建物が存在しています。旧耐震基準の建物は昭和56年5月までに建築確認を受けて建設された建物のことを言います。

一方新耐震基準とは、現在も運用されている耐震基準であり旧耐震基準にかわり昭和56年6月以降に建築確認を受けて建設された建物のことをいいます。

昭和56年6月を境としているので、見分けは簡単のように思えます。面積50㎡以上のように広告の築年月に昭和56年7月築と記載があれば大丈夫と認識してしまうかもしれません。

しかし、ここに落とし穴があります。昭和56年6月という日付はその建物の竣工日(完成日)ではありません。あくまで建物を建築する前の申請である“建築確認”の日付になり、そこからマンションの建設が始まります。当時の工期は規模にもよりますが1年~1年半前後でしょうか。

つまり、昭和56年7月築のマンションは旧耐震基準のマンションということになります。昭和56年7月に完成したマンションは、おそらく昭和55年前後に建築申請が行われた建物であるからです。

さらに、建築確認の日付は不動産広告のルールでは表示義務はなく、不動産会社の担当者に尋ねるか役所で自分で調べるかのどちらかの方法になります。

昭和56年から昭和58年前後までの間の築年数記載がある物件を購入する際は、必ず不動産会社の担当者に「新耐震基準」であるのか確認するようにしましょう。

また、旧耐震基準で建築されたマンションであっても耐震診断の結果、新耐震基準をクリアしているマンションもあります。

これを「耐震基準適合マンション」といいますが、耐震基準適合証明書を取得することによって、新耐震基準で受けられるのと同等の税制優遇が受けられます。

一般的に耐震基準適合証明書の発行は有料です。旧耐震基準の場合であっても耐震基準適合マンションであるかどうか、耐震基準適合マンションの場合には証明書発行の費用等についてもきちんと確認しておくとよいでしょう。

・「え!税制優遇が受けられない!?」のまとめ

今回紹介したものは、どちらの場合も不動産会社の担当者に聞くのが一番良い方法になります。広告の記載内容の確認と共に、今回紹介したような要件に当てはまりそうな物件であれば必ず「新耐震基準」であるか確認しましょう。

また今回紹介した要件以外にも、適用要件が存在します。不動産会社としっかり確認しましょう。

・お部屋(物件)選びの失敗例2 「マンションの管理が悪く、生活が不便、、、」

マンションを選ぶ上で一番重要といわれるのが「管理」です。理由は、マンションの管理体制が住み心地や資産価値に直結するからです。

マンションの室内(区分所有部分)は、所有者の管理範囲ですが、マンションの共用部といわれる部分はマンションの所有者全体で管理することになっています。

マンション内見時は、管理の様子を確認するためにも廊下、ゴミ置き場、駐輪場、駐車場、ロビー、玄関などマンション共用部が整理整頓されているかなどのチェックも忘れずに行いましょう。

さらに、比較的管理が良いとされているマンションは「長期修繕計画」の策定や共用部の改善に努める工事が定期的に行われています。

マンションは経過年数に応じて定期的な修繕が発生します。マンションの修繕は一般的に所有者(管理組合員)が積み立てる修繕積立金から捻出します。

よって計画的に修繕積立金を積み立てる必要がありますし、長期的には今後の修繕の規模に対応できるような修繕積立金の収支を予め策定しておく必要があります。

マンション内見時は、長期修繕計画策定の有無や修繕履歴を不動産会社の担当者に確認するようにしましょう。

お部屋(物件)選びの失敗例3 「この間取り、住んでみたら気に入らない!!」

間取りの失敗は、住んでみた後に感じる失敗としてよく聞きます。

皆さん、購入時は将来のことまでを気にされていますか?おそらく多くの方があまりそこまでは考えずに購入されているのではないかと思います。なぜならば、購入したいという動機の発生原因がその時点での現住居に関する不満や生活環境の変化だからです。

それでは、皆さんが購入する動機とはなんでしょうか?例えば多くの人は結婚や出産等のライフイベントを機に購入を検討されるのではないでしょうか。

仮に結婚を機に購入を検討するといった場合、最初は2人だけの生活ですが、いずれ子供ができたりすることもあると思います。すぐに子供ができる場合もあればしばらくは子供をもうけないといった方もいらっしゃると思いますが、現在2人だからといって例えば1LDKの間取りの部屋を購入するとその後手狭になります。

次に初めての出産を機に購入を検討するといった場合を考えてみましょう。3人での生活がスタートしますが仮にその時点で2LDKを購入した場合、子供部屋を考慮しても2人目のお子さんができた場合には手狭になり、もう一部屋を必要とするかもしれません。

以上のとおり、購入時点での動機のみで物件購入をしてしまうと後々お部屋の間取りや広さに不満が発生してしまう可能性があります。

そして、購入すると賃貸のようにすぐに引っ越し、とはなかなかいきません。住宅ローンの支払いは残りますし、買い替えの場合は前の家の住宅ローンを完済しておかなければ次の住宅ローンの融資も受けにくくなります。

結婚、出産など様々な購入動機があると思いますが、購入を決めるときには自身のライフプランについて検討し少し先についての見通しもきちんとたてておくようにしましょう。

3、騒音

騒音といっても様々ですが、購入する前にしっかりと確認をしておけば問題を軽減できたり、防ぐことができたりします。

・騒音による失敗例1 「道路の車両通行がうるさい!?」

幹線道路沿いに建っているマンションはかなり多いです。都内ともなれば交通量も多くトラックや乗用車ともに昼夜を問わず走行していると思います。

マンションの内見時のメインは室内の確認となります。ほとんどが窓を閉め切った室内で状況の確認や担当者との会話が行われます。

そして住宅設備や間取、住んだ時のイメージばかりが頭に浮かんで、外の騒音のことまで気にされる方は多くないかもしれません。

締め切った室内という状況も実際の生活ではあり得ますが、室内内見時は窓を開けてみたり、バルコニーなどに出でみたりして中に入ってくる「音」に関しても必ず確認するようにしましょう。

・騒音による失敗例2 「土日と平日でマンション周辺が違う!?」

これもよくある購入後の失敗例です。特にマンション周辺に「ショッピングモールがある」、「大きな公園がある」といった場合には、土日と平日で街の様子が一変する可能性があります

例に挙げた場所は、土日になると人が集中する場所です。交通量も多くなるでしょうし、公園は子供たちで賑やかになります。

結果としてこれらの場所は「生活やお買い物が便利」や「周辺環境良好」と広告される場所でもあります。

これらは好き嫌いの問題になってきますが、「休みの日も人波で溢れるのはちょっと、、、」と感じる方であれば避けた方がよいかもしれません。

そして内見する時だけでなく、時間や曜日を変えて街の様子が変わった時にそのマンション周辺にどのような変化があるかは確認しておくとよいでしょう。

・騒音による失敗例3 隣接住戸

これはある意味でマンションが集合住宅である以上避けることができない問題かもしれません。

購入前に隣接住戸の居住者の事を詳しく調べることは一般的にはできません。ただし不動産会社の担当者がたまたま情報をもっている場合もありえますので、まずは質問してみるとよいでしょう。

さらにこの問題は被害者にもなれば加害者にもなってしまう可能性ももちます。お互いの状況の把握ができれば対応も変わってくると思いますので、ご近所様に対しては入居後のご挨拶等を丁寧に行いましょう。

また隣接住戸だけでなくマンション居住者全体がお互いに気持ちよく生活できるよう日頃の挨拶など何気ないコミュニケーションも心がけましょう。

4、お金

お金の失敗は必ず避けたいところです。しかしお金にかかわる失敗例は多岐にわたるため全部をご紹介することはできませんが重要なポイントについて説明します。

なお、税制優遇措置の失敗は「部屋選びの失敗例」でご紹介した通りです。税制優遇が受けられる物件かどうかの要件をしっかり確認の上、購入を検討しましょう。

・お金の失敗例1 「住宅ローンの支払いがきついな、、、」

現在、ほとんどの金融機関で変動金利が1%を下回っています。まさに低金利の時代ですので購入検討者にとってはとてもよい環境といえます。

さらに物件価格の満額まで借りられる商品が多く、諸費用だけを用意すれば頭金を入れずに物件を購入することできるローンも多くなっています。

以前より借入れしやすくなった住宅ローンですが、一般的に年間返済額が年収の30%から40%以内に収まることが審査の要件となっています。

例)年収500万円 借入金3,780万円 審査金利3.1% 返済期間35年(三菱UFJ銀行利用)の場合、月々の返済額は147,591円になります。

返済比率=月々の返済額147,591円×12ヶ月÷年収5,000,000円=35%

この場合返済比率が35%となり住宅ローンの内諾は出る可能性が高いのですが、ローンの返済比率が30%を超えると生活に余裕がなくなるといわれます。

また、子供の養育費、生活費などの支出は子供の成長と共に増えていくものです。ローンの返済比率の上限値といわれる30%~40%に捉われず、余裕の持った支払いとなるように資金計画をたてましょう。一般的には年間の返済額が年収の25%に収まるようにしておくとよいでしょう。

・お金の失敗例2 「思うようなリノベーションができない!?」

中古マンションを購入すると、同時にリフォームやリノベーションを検討される方もいらっしゃると思います。

自分の好きな色、間取、設備に変えることができるリノベーションは中古マンション購入における人気の理由の一つにもなっています。

中古マンションを新築のように変えられるリノベーションですが、やはりそれなりの金額がかかります。70㎡の3LDKのお部屋をフルリノベーションしようとすると一般的に約900万円からが相場です。

大きな費用がかかるリノベ―ションですが、物件によっては購入者のこだわりを満たす工事を実施できずトラブルになるケースもよく聞きます。

マンションは集合住宅なので様々な制約が存在します。主にはマンションの管理規約や使用細則でリノベーションの工事規定が定められていますが、それに違反する工事は行えません。

個人のこだわりも反映させたいところですが、集合住宅での生活ですので各種規約や規定を遵守できる範囲かについて慎重に検討を進める必要があります。

マンションをリノベーションする時は希望の工事ができるかどうかの事前確認をきちんと行ってから購入しましょう。

マンションをリノベーションする際のポイントはこちらをご参照ください。

中古マンション×リフォームのポイント

また、リノベーション済みのマンションの購入も検討に入れるとよいでしょう。多くのリノベ―ジョン済みマンションは不動産会社が売主になっていることが多く、個人がハンドメイドでリノベーションを行う物件よりも安心感が得られます。

5、まとめ

中古マンションの購入にはたくさんの検討事項があります。

特に周辺環境は購入後の後悔ランキングで上位にあげられています。しかも自分では解決できない問題でもあるので必ず購入前にチェックをすませておきたい要素です。

周辺環境は曜日・時間帯などを変えながら何度か確かめてみることをお勧めします。

次にお金に関しては、わずかな各要件充足状況の違いで税制優遇が受けられるかどうかが変わり、経済的なメリットの有無が大きく変わってきます。紹介した事例に近いような物件は、不動産会社の担当に聞くのが一番よいと思います。忘れずに質問しましょう。

また、リノベーションを検討される場合は思わぬ大きなトラブルに発展してしまう可能性があります。マンションの規約、使用細則、工事規定等を事前にしっかり相談し、それらを遵守した上で話を進めていきましょう。

加えて、施工担当者ともしっかりした打ち合わせが必要です。中古マンションのリノベーションとは、もともとの部屋の構造を変えることはできず部屋の中だけを新しくする工事です。

特に最新の設備を入れる際は注意が必要です。「この設備が入ると思った」「ここは段差が解消されると思っていた」「追い炊きがつくと思っていた」など誤解や思い込みがないようにお互いに事前に確認をしておきましょう。