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「空き家問題」 そろそろ考えようか...我が家の「空き家」!

「空き家問題」 そろそろ考えようか...我が家の「空き家」!

こんにちは。コラム担当の米川です。

近年の報道で「空き家問題」という言葉を耳にした方は多いのではないでしょうか?
今回はこの「空き家」について考えてみたいと思います。
また、今現在「空き家」をお持ちの方が、今後の方針を検討する際にお役に立てれば幸いです。

目次

【1】総務省統計局による住宅・土地統計調査
【2】公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の調査結果
【3】賃貸用の住宅の「空き家」の実態は?
【4】ご自分の「空き家」に対する対応はどうするか?
(1)売却をお勧めすることが多いケース
(2)賃貸募集をお勧めすることが多いケース
(3)「空き家」のままにしておくケース
【5】まとめ

【1】総務省統計局による住宅・土地統計調査

総務省の統計資料から見た「空き家率」は13.6%、「空き家」は 848 万9千戸となっています。

総務省は5年おきに住宅・土地統計調査、住宅及び世帯に関する基本集計を行っています。
令和元年9月 30 日に発表された結果は下記のようなものになります。

1.総住宅数と総世帯数
2018 年 10 月1日現在における我が国の総住宅数は 6240 万7千戸,総世帯数は 5400 万1千世帯となっており,2013 年と比べ,総住宅数は 177 万9千戸(2.9%)増,総世帯数は 154万9千世帯(3.0%)増となっています。
総住宅数と総世帯数の推移を比較すると,1963 年までは総世帯数が総住宅数を上回っていましたが,1968 年に逆転し,その後は総住宅数が総世帯数を上回っています。総住宅数を総世帯数で割った、1世帯当たりの住宅数も上昇傾向にありますが,近年はその傾向が緩やかになってきており,2018 年は 1.16 戸と,2013 年と同水準となっています。

2.居住世帯の有無
総住宅数を居住世帯の有無別にみると,
居住世帯のある住宅は 5361 万6千戸(総住宅数に占める割合 85.9%),
居住世帯のない住宅は 879 万1千戸(同 14.1%)となっています。
居住世帯のない住宅のうち,「空き家」は 848 万9千戸と,2013 年と比べ,29 万3千戸(3.6%)増となっています。この848 万9千戸が総住宅数に占める空き家の割合(空き家率)として発表されており、その比率は総住宅数の 13.6%と,2013 年から 0.1 ポイント上昇し,過去最高となっているという報道がされています。

3.「空き家」といわれる住宅の内訳
前出の空き家の内訳をみると,
「賃貸用の住宅」が 432 万7千戸(総住宅数に占める割合 6.9%)となっており,
「売却用の住宅」が 29 万3千戸(同 0.5%),
「二次的住宅」(別荘など)が 38万1千戸(同 0.6%),
「その他の住宅」が 348 万7千戸(同 5.6%)となっています。

空き家の内訳について,2013 年と比べると,
「賃貸用の住宅」が3万5千戸(0.8%)増,
「売却用の住宅」が1万5千戸(4.9%)減,
「二次的住宅」が3万1千戸(7.5%)減,
「その他の住宅」が 30 万4千戸(9.5%)増となっています。

(注)空き家の「その他の住宅」とは,「賃貸用の住宅」「売却用の住宅」「二次的住宅」以外の空き家で,転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取り壊すことになっている住宅のほか,空き家の区分の判断が困難な住宅などを含みます。

4.「空き家」とは
今までご説明した通り、「空き家」というと「放置された空き家」と思いがちですが実態はそうではありません。ここでいう「空き家」とは居住世帯がないということです。

出典:総務省統計局ホームページ

【2】公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の調査結果

賃貸住宅の平均入居率は、全国平均が93.6%、空室率は全国平均で6.4%となっています。

「賃貸用の住宅」の空室率
2019年4月~2019年9月の期間を対象に行われ、2019年12月に発表された公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の賃貸住宅市場景況感調査『日管協短観』によると、賃貸住宅の平均入居率は関西圏が96.7%、首都圏が93.9%、その他の地域が91.9%でした。全国平均は93.6%となっています。よって空室率の全国平均は6.4%にとどまります。

日管協短観とは、同協会が年2回公表する賃貸住宅景況調査です。正会員(不動産会社会員)へのアンケート調査を通じ 、入居率等の賃貸住宅市場で注目される数値を指数化し分析を行っています。

出典:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会ホームページ市場データ(日管協短観)

この結果は、不動産業界の有力団体による調査結果なので、ある程度は信頼性が高いものと考えられます。賃貸ニーズの高い東京都心となれば、首都圏平均を超える高稼働率が想像できます。実際にネット等で調べてみると、都心のマンションを得意とする管理会社が公表している入居率は、98%以上の高稼働率をうたっている会社も見受けられます。

【3】賃貸用の住宅の「空き家」の実態は?

総務省統計局調査の賃貸用の住宅の「空き家」数は432万7千戸です。全国で居住世帯のある住宅のうち、借家戸数1906万5千戸と合わせると、借家総数は2339万2千戸になります。この数値で計算すると、賃貸用の住宅の空き家率は約18.5%になました。上記の不動産業界団体の調査結果、全国平均空室率6.4%とは大幅な差があります。

この背景を想像すると、賃貸用の住宅の「空き家」は2種類あると考えられます。
一つは、内装工事等を行い、人が住める状態にしたうえで、不動産業者に依頼して積極的に賃借人を募集し、賃貸経営を行おうとしている「空き家」です。こちらは空室率6.4%の中に含まれる「空き家」です。

もう一つは、「自分で住むことはないから、いつかは貸出しするかもしれないな?」と考えている、賃貸募集を行っていない、入居の可能性がない「空き家」と思われます。

【4】ご自分の「空き家」に対する対応はどうするか?

「空き家」になった「空室」になった事を機に、また、実はかなり長期間使用していない家があり、対応を検討しなければならなくなったときに、お客様からよくご相談を頂きます。また、暫くすると空いてしまう予定の物件をお持ちの方もいらっしゃると思います。そんな時に、売るのか?貸すのか?「空き家」のままにしておくのか?の判断の参考にしてください。

(1)売却をお勧めすることが多いケース

1.住宅ローン支払いがある場合
住宅ローンの支払い金額にもよりますが、売却を優先した方が良いと思います。理由はその保有リスクにあります。今回は分譲マンションをお持ちの場合についてご説明します。仮に現在の住宅ローン支払いが毎月8万円、管理費と修繕積立金が2万円、固定資産税の年額が12万円とした場合、計算上の毎月負担額は8万円+2万円+(12万円÷12カ月)=11万円になります。家賃12万円で貸せる場合は毎月1万円の収益、年間で12万円の収益となります。ぱっと見、「貸した方がいいね!」となりますが見落としがあります。以下にリスクを列挙しますので参考にしてください。

空室リスク
空室になって賃借人を募集した場合、一カ月以内に賃借人が見つかり入居されることはそんなに多くはありません。一度空室になったら概ね3カ月~6カ月くらいは募集(空室)期間を見るべきと思います。入居者が見つかり仮に4年間住んでくれた場合で4年×12カ月=48カ月賃料収入が見込まれます。募集期間を6カ月として運用開始できた場合の入居率は48カ月÷(48カ月+6カ月)=89%になります。同期間の平均賃料は(48カ月×12万円)÷(48カ月+6カ月)=10.66万円/月になります。この入居率だと収益は上がらず毎月約4千円弱の赤字になります。

金利上昇、支払い金額上昇
現在は住宅ローン借入金利が低くなっています。金利が安い場合、支払金額もまた安くなります。まだまだ考えづらいですが、景気が上向いてきた場合、短期プライムレートが上昇します。変動金利で住宅ローンを借りている場合は、年間二回の金利見直しがありますので金利が変更されます。
支払金額は5年に一度見直しがあり、金利上昇による未払い利息が累積していた場合、支払い金額が最大1.25倍まで引き上げられる可能性があります。月々8万円の支払いは最大で10万円になることになります。

借り入れ能力の減少
既存の住宅ローンがある場合、返済可能金額を計算する場合に既存住宅ローンの返済金額分を差し引いて計算します。住宅ローンが残ったままの住宅を保有していた場合、ほかの住宅を購入するときの住宅ローン借り入れ能力の減少要因となってしまいます。

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2.室内の原状回復工事に過大な費用が必要なケース
長年使用していた室内はやはりそれなりに経年劣化が進んでいるものです。よくあるのが住んでいるときにはまったく気にしていなかったものの、引っ越しが終わった後、家財道具がなくなりすっきりとした室内を見てみると、想像以上にひどい状況で、ご自身から「よくここに住んでたな~。」というお言葉を聞くこともあります。

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一つの目安ですが原状回復工事費用が家賃の2年分以上になってしまうような場合、売却したほうが良いかもしれません。先のケースと同じ賃料12万円で計算してみると、具体的には288万円程度でしょうか。

募集期間6カ月、入居者が見つかり仮に4年間住んでくれた場合で4年×12カ月=48カ月賃料収入が見込まれます。同期間の賃料収入が576万円、管理費と修繕積立金が54ヵ月で108万円、固定資産税相当額が54万円、原状回復工事費用が288万円になりました。この時点での出費が450万円、収入が576万円で、差し引き収益が126万円になります。一月当たりの収益が約2.3万円になりました。

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3.賃借人が付きづらいケース
様々な原因が想定されますが、適正賃料で募集をしたとしても賃借人が付かない、付きづらいケースがあります。例えば、近隣募集住戸が多い地域、駅から遠い地域、広すぎる住戸、学生向けの広さだが近隣に学校施設が多くない場合等が挙げられます。募集条件にもよりますが1年以上空室になるようなケースも見受けられます。このような場合はやはりご売却を検討した方が良いと思われます。

4.所有者の方が複数の場合
相続等で物件を取得した場合、法定相続で所有者が複数人になってしまうことが良くあります。このような場合、主に管理をする代表者の方が取りまとめをして賃料の配分を行ったり、必要経費の徴収を行ったりしているケースがあります。しかしながら代表者の方ばかりが煩雑でなかなかこの状態を維持し続けるのは大変なようです。また、複数所有者の中でまた相続が発生してしまうこともあります。できれば所有した時点で共有者の皆さんの同意でご売却をお勧めすることが多くなります。

5.所有者の方がご高齢の場合
ご高齢の方が所有者の場合、その後の賃貸期間の経過と同じく所有者様のご年齢も高くなってまいります。若い方が所有者で、賃貸管理等が苦にならない場合は良いのですが、賃貸住宅の管理についてご自身でも多少の面倒を感じていらっしゃる場合、ご売却をお勧めすることが多くなります。

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(2)賃貸募集をお勧めすることが多いケース
先ほどからご案内してきたケースの逆の場合がこれに当たります。

1.住宅ローン支払いがない場合
住宅ローン支払いがないので管理費と修繕積立金の2万円、固定資産税等月割り負担額1万円、合計3万円が毎月の支払額になります。先ほどと同じように空室期間が発生した場合でも、月々3万円の保有コストであれば6ヶ月間の空室期間があったとしても18万円、賃料収入1.5ヵ月分で回収可能です。

2.室内原状回復費用があまりかからない場合
築後経過年数が少ない場合や、以前に大幅な改修工事等を行っている場合、室内の原状回復費用は安くて済む場合が多くなります。例えば室内の原状回復工事費用が54万円程度と軽微な場合、先ほどの計算、6カ月の空室期間と48ヵ月の入居期間を合わせた54ヵ月の平均負担額は54万円÷54ヵ月で毎月当たり1万円になります。

3.募集した場合の募集期間が短めの、需要がある地域
賃借人の募集を行った場合、空室期間が短く、すぐに借りたい方が現れる地域にある場合は、安心して賃貸にすることができます。駅近物件で、探している人が多い間取りとマッチしていれば安心です。

以上のようないろいろな側面を考慮の上、所有者様の意思で賃貸募集を行いたい場合は賃貸募集をお勧めすることになります。また、もともと賃貸用物件として運用していた物件で築年数が過度に経過していない物件については大抵の場合、継続して賃貸を募集することが多くなると思います。

(3)「空き家」のままにしておくケース
現在ように以前と比べるとかなり高い価格で売却が可能な時期は、ご売却をお勧めするケースが多くなります。

景気が悪く、売れ行きも芳しくなく、価格が安くないと売れないような場合、賃貸経営で一時的に賃料収入を得る方法をお勧めし、後日ご売却をご提案するケースが出てきます。

空き家になってご相談をいただいた場合、「そのままにしておいた方が良いですよ!」と助言させていただくことはほとんどありません。様々な状況で売却も賃貸募集もすることが不可能な場合、そのままになってしまうという、というのが現実だと思います。

極稀に、再開発地域に「空き家」が含まれている場合があります。再開発により資産価値が上がり、売却価格も賃料も上昇することがほぼ確実な場合、よくよく検討が必要です。事業着工が近づいている場合、解体工事が伴いますので、賃借人の募集等は行わず「空き家」のままをお勧めします。但し、大規模再開発の場合は着工までの期間が長い場合が多くなります。事業着工が10年後となってくると所有者様により判断は分かれてきます。再開発事業の進捗状況を把握したうえでの判断が重要になります。

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【5】まとめ

今回は「空き家」の現状と、ご自身が「空き家」や「空室」と向き合うことになった場合にどうするべきかについてお伝えしてまいりました。様々な統計数値から見えてきたのは「空き家」や「空室」のまま、売却手続きをされるわけでもなく、賃貸募集されるわけでもない、未利用状態で放置されている住宅がかなり多くありそうな現実です。

私も営業職時代、首都圏地域の分譲マンションのご相談では「今はどうにもできないんだよね~。」というお客様に20組に1組くらいの割合でお会いしていたような気がします。

築年数が大分経過したマンションで、賃借人の方が長期間お住いの後に退出され、設備の全面的な交換を含む原状回復費用が必要な場合に、「改修費用は出せないので賃貸募集は無理だが、今回の売買査定金額では売却はしたくない。」という方が多かったと思います。

また、築年数等は一切関係なく、複数人の所有者様の意見集約ができない場合(特に相続物件に多かったです。)も一定割合いらっしゃいました。

現在、首都圏地域におけるマンション売買価格は平成24年当時と比べて1.2倍から地域によっては1.6倍程度まで値上がりしています。最近3年間くらいは高値安定でまだ値上がりしている地域と多少価格が下がっている地域が出始めています。

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