マンションは売却したらそれで終わりではありません。

売主には引渡し後も一定期間、「瑕疵(かし)担保責任」と「主要設備の補修・修復義務」があり、売却後にトラブルが発生するケースもありますので、きちんと理解しておくことが必要です。

ここでは、トラブルを防止するための注意点について見ていきましょう。

また、売却後に必要に応じて確定申告が必要なケースがあります。売却した際に、利益や損失が出た場合、3,000万円の特別控除や買い替え特例を受けるために確定申告が必要になってきます。

思わぬ課税を受けたり、せっかくの制度を利用しなかったために損をすることがないように、基本的な仕組みを理解しておきましょう。

目次
1.売主の責任とは?
説明義務
瑕疵担保責任
主要設備の補修・修復義務
2.瑕疵担保責任と主要設備の補修・修復の範囲と期間
瑕疵担保責任の範囲と期間
主要設備の補修・修復義務の範囲と期間
3.瑕疵担保責任や設備の修復義務で気をつけるべきポイント
4.確定申告にも気をつける
①売却益が出る場合の確定申告
②居住用財産の譲渡(マイホームの売却)の3000万円控除
③居住用財産(マイホーム)の買い替え特例
④マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例
5.まとめ

1.売主の責任とは?

売主には、買主に対する「説明義務」と「瑕疵担保責任」と「主要設備の補修・修復義務」があります。

説明義務

買主は、ほとんどの場合、売買契約締結前に実際に現地に赴いて、購入する不動産の状況を確認しますが、買主にも分からない欠陥が存在する可能性があります。

売買契約締結後に、このような欠陥がわかると、トラブルになってしまう可能性があります。

このような契約締結後のトラブルを避けるために、売主は、買主に対して売却する不動産の状況について十分に説明をする義務を負っています。(買主は説明を受けて、納得したうえで、売買契約を締結することが重要です。)

不動産会社が仲介する場合、その業者には買主に対して一定の説明義務がありますが、売主自身の説明義務がなくなるわけではないことに注意が必要です。

実際の一般的な取引では、売主は契約時までに不動産会社が用意した「物件状況等報告書」や「設備表」に基づいて、建物や住宅設備の状況を説明することになっています。

瑕疵担保責任

民法上の瑕疵担保責任というのは、引渡し後に、買主が知らなかった不具合や欠陥(瑕疵)が発見された場合に、売主が負う責任のことを言います。買主は、その瑕疵に基づき、損害賠償請求や、さらに契約をした目的が達成できない場合には契約の解除を主張できることになります。また、その瑕疵の範囲も限定されていません。

ただし、個人間の取引が多い不動産取引では瑕疵担保責任を、雨漏りやシロアリ被害、木部の腐食、給排水管の故障に限定し、取引の慣行となっています。

ここでは、一般的に多くの個人間売買において「瑕疵担保責任」などがどのように扱われているかを見ていきたいと思います。

まず、売主は買主に対して契約前に瑕疵に関して説明する義務があります。仮に売主が知らない不具合や欠陥であっても、引渡し後に買主が瑕疵に気づいた場合には、売主は補修や修復を行う必要があります。

もちろん、物的なこと以外でも、過去に殺人事件や自殺があったなど心理的なことも瑕疵として扱われます。

主要設備の補修・修復義務

マンション(建物)そのものに瑕疵がなくても、設備に不具合が見つかることもあるでしょう。例えば、給湯器が壊れていて使えなかったり、エアコンや換気扇などが作動しなかったりするような場合です。

そのような場合にも売主には一定期間、設備の補修・修復義務があり、修理をしなければなりません。

2.瑕疵担保責任と主要設備の補修・修復義務の範囲と期間

ただ、売主に責任があると言っても、全ての責任を負う必要はありません。

ここでは、責任の範囲と期間についてまとめましたので、参考にしてみてください。

瑕疵担保責任の範囲と期間

瑕疵担保責任は無制限に及ぶわけではありません。個人が売主の場合は多くの場合、慣習的に一定の範囲内に限定され、その修復責任を負うものとされています。

先述しましたが、一般的な不動産売買契約書上の瑕疵の責任は、建物の「雨漏り」「シロアリの害」「給排水管の故障」の3つに限定されています。

これらの瑕疵の責任の期間は引渡し後3ヶ月となっており、期間を過ぎてから見つかった場合には、責任を負いません。

ただし、場合によって特約などで3ヶ月よりも長い期間を定めることもあります。

主要設備の補修・修復義務の範囲と期間

住宅設備については「主要設備」に限定しており、「給湯関係」「水廻り関係」「空調関係」「その他設備」の4つが該当します。

具体的には、給湯関係では給湯器・バランス釜、水廻り関係ではキッチン設備・浴室・洗面・トイレ・洗濯機の防水パン、空調関係ではエアコン・床暖房・換気扇・24時間換気設備、その他設備ではインターホン・ドアチャイムに限定されている場合が多いようです。

上記に示した設備でも、給排水のパッキンや電球・電池などの消耗品は免責となります。

そのため、フローリングや壁、天井などは責任の対象外ですし、主要設備以外のもの、照明器具や収納棚、建具関係などは設備の修復義務の対象外になります。

これらの主要設備の売主の補修・修復義務期間は引渡し後7日間となっています。

トラブルにならないためにも、売買契約締結時に設備表を1つ1つチェックしながら確認しておくようにしましょう。

3.瑕疵担保責任や設備の補修・修復義務で気をつけるべきポイント

売買契約を締結してから引渡しを済ませる前までの間に、設備などの不具合をチェックしておきましょう。

この間に設備などに不具合が発生することもあり、この場合は主要設備に該当しない箇所であっても、買主に通知して修復しなければなりません。

引渡し時に不具合に買主が気づくと、指摘されて引渡しがスムーズにいきません。

なお、万が一引渡し後に、定められた期間内に瑕疵や主要設備に不具合が見つかった場合、売主はその「修復」のみ義務を負います。買主からの損害賠償を負う必要や売買契約の解除はありません。

4.確定申告にも気をつける

不動産の売却で売却益が出た場合は、確定申告を行う義務があります。

利益があり確定申告が必要だとわかっていながら申告をしないと「脱税」になりますし、自主的に手続きしないと払っていない期間分の延滞税がかかることにもなります。

ただし、利益が出る場合でもマイホームの買い替えでは、課税を免除したり、繰り延べする特例がありますので、その意味でも確定申告をすることを忘れてはいけません。

一方、損失が出た場合は、確定申告の義務はありませんが、確定申告するとメリットがある場合があるので、申告するようにしましょう。

そこで、確定申告をすべき4つのパターンをご紹介していきます。確定申告は翌年の2月16日から3月15日までの間に提出と納付を済ませておきましょう。

①売却益が出る場合の確定申告

不動産売却で売却益が出たのか損失が出たのかは、課税譲渡所得を以下の計算式で計算します。

課税譲渡所得=譲渡価額(売却額)-取得費-譲渡費用

取得費とは、売却した不動産を購入した際の金額から、印紙代、仲介手数料、登録免許税、不動産取得税、減価償却費を控除したものになります。

また、譲渡費用には、印紙代、仲介手数料などが該当します。

計算した課税譲渡所得がプラスになれば、確定申告をして納税をしなくてはなりません。課税譲渡所得がゼロ以下になれば、納税は発生しません。

税額は課税譲渡所得に税率を掛けて算出できます。

所有期間が5年以下を短期譲渡、5年を超える場合を長期譲渡と言い、税率が異なります。短期譲渡の税率は、所得税が30%、住民税が9%、長期譲渡の税率は、所得税が15%、住民税が5%です。

②居住用財産の譲渡(マイホームの売却)の3000万円控除

居住用財産の譲渡(マイホームの売却)をした場合は、その譲渡所得から最大3,000万円を差し引いて税額を計算することができます。

3,000万円の特別控除は、譲渡した不動産の所有期間の長短は問いませんが、原則として所有者自身が実際に生活の拠点として住んでいた家屋であることが前提です。

家の改築期間中の仮住まいなどで、一時的な利用のために入居した家屋は特例の対象になりません。その他特例が適用される条件もありますので注意が必要です。

また、次に述べる買い替え特例とは選択適用になります。

なお、住宅ローン控除との併用はできません。

③居住用財産(マイホーム)の買い替え特例

特定のマイホーム(居住用財産)を、代わりのマイホームに買い替えたとき、買い替える不動産の方が、売却した不動産の売却価格より高い場合は、売却益への課税を将来に繰り延べることができます。

例えば、1,000万円で購入したマンションを4,000万円で売却して、6,000万円のマンションを購入した場合、特例を適用しないと、3,000万円の売却益が課税対象となります。(減価償却などは考慮していません。)

特例の適用を受けると、売却した年には課税は行われず、将来買い替えたマンションを売却するときまで課税が繰り延べられます。

おおざっぱに言えば、課税所得3,000万円、長期譲渡所得の税率20%で600万円課税されるところを、将来の売却まで猶予されるということです。

なお、買い替え特例を使用するためには、売却したマンションと購入したマンションの両方に条件が付いています。

売却したマンションに関する条件は以下の通りです。

・売却した年の1月1日時点での居住年数が10年以上
・住居用として使用した期間が10年以上
・売却価格が1億円以下
・親族への売却ではないこと

購入したマンションに関する条件は以下の通りです。

・床面積が50㎡以上
・築年数が25年以内、または一定の耐震基準を満たす住宅
・買い替え前のマンションを売却した年の前年から翌年までの3年の間に購入
・一定期間内に居住用として使用
・親族からの購入でないこと

また、売却した金額より買い替えた金額の方が少ないときは、その差額を収入金額として譲渡所得の金額の計算を行うことになります。

バブル以前から長期に保有していたり、相場が大きく上昇している都心部の物件などでは、売却すると譲渡益が出るケースが多くなっています。

これらの特例を活用することによってお得な買い替えを実現することができます。

④マイホームを買替えた場合の譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例

マイホームを売却して、新たにマイホームを購入した場合に、譲渡損失が出たときは、その譲渡損失をその年の給与所得など他の所得から控除することができます。これを「損益通算」といいます。

さらにこの損益通算は、1年で控除しきれなかったときには、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)することができます。

つまり、売却で発生した損失を最大4年間給与などの他の所得と相殺できて、所得税、住民税がゼロになったり軽減できたりする特例です。

この特例は、住宅ローン控除とも併用ができます。

この特例にも適用条件があります。

売却したマンションに関する条件は以下の通りです。

・自分が住んでいるまたは住んでいた
・譲渡の年の1月1日における所有期間が5年以上であること
・親族等への売却ではないこと
・住まなくなってから3年を経過する年の12月31日までに売却すること

購入したマンションに関する条件は以下の通りです。

・床面積が50㎡以上
・購入した翌年の年末までに住み始めること
・10年以上の住宅ローンを利用していること

その他、特例の適用を受けたい本人が3年以内に他の税制優遇処置を受けたことがある場合、この特例は適用されません。

バブル期やバブル後数年間に取得した物件、郊外で相応の築年数が経過している物件の場合は、売却時に損失が出るケースがあります。

そんな時でも、この譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例と住宅ローン控除を使うことで、買い替えを実現できる可能性が広がります。

5.まとめ

マンションは売却後にも売主の責任があり、修復などの義務を負う場合があります。

売主の責任と聞くと、不安に感じるかもしれません。しかし、最近は、売主の責任と不安を解消するために、建物や設備に保証を付けるサービスを実施している不動産会社があります。実際の売却の際は、不動産会社の担当者に相談してみるとよいでしょう。

税制についても基本的な仕組みを理解して、確定申告が必要な場合には忘れずに済ませておきましょう。

マイホームについては、確定申告をすることでお得になる特例が用意されています。賢い買い替えを実現しましょう。