購入コラム
マンション購入コラム

マンション購入時の「頭金」とは??

マンション購入時の「頭金」とは??

マンションを購入するために「頭金貯金」をしている方も多くいらっしゃると思います。しかし不動産広告には「頭金不要」の記載もあるなど、頭金についてどのように考えればよいのか混乱する方もいらっしゃるのはないでしょうか。

今回はマンション購入における「頭金」の理解を深め、実際の購入時にどのように判断すればよいのかをご説明します。

1、頭金とは??

マンションを購入する際、販売価格はもちろん諸費用の支払いや住宅ローンの手数料など多様な「お金」の種類が現れます。そのような中で頭金とはどこの「お金」のことを指すのでしょうか。

頭金とはマンションの販売価格から住宅ローン利用額を引いた金額のことを言います。

例えば、マンション価格が3,000万円で住宅ローンを借りる金額が2,500万円の場合、差額の500万円のことを頭金といいます。したがって、全て現金でマンション購入金額を支払う方には頭金という考え方はありません。

頭金の説明する際に、購入の「諸費用」の話と混同してしまう方が多くいらっしゃいます。その最大の理由は、頭金も諸費用も原則「現金」で用意するためです。

では下の図で頭金と諸費用について違いを見てみましょう。

頭金はあくまで販売価格に充当する「お金」のことであり、諸費用は販売価格にプラスして支払わなければならない費用のことを言います。

上図のように頭金500万円を支出する場合、現金で用意しなくてはいけない金額は、頭金の500万円+諸費用の150万円~250万円の最大750万円ということになります。

750万円の現金用意が厳しいということであれば、基本的には販売価格すべてを住宅ローンで充当するか頭金を減額するかのどちらかになります。

この頭金と諸費用の違いを理解しておかないと、マンションを購入する際の資金計画に大きな支障をもたらします。

頭金と諸費用は全く異なるものと理解しておきましょう。

2、マンション購入時の頭金の平均金額は?

住宅ローンの「フラット35」を展開している住宅金融支援機構の調査(全国調査)によると、新築マンション購入者の頭金の平均金額は758万円(物件価格の16.7%)で、中古マンション購入者の頭金の平均金額は343万円(物件価格の11.6%)となっています。
(2020年度フラット35利用者調査より)

住宅ローンの低金利の影響もあり、頭金を支出せずにマンションを購入される方もいらっしゃいます。

三井住友トラスト・資産の未来研究所の「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」によると、20代~30代のマンション購入者層では、その購入層の約60%~70%の方々は頭金が0円ないしは物件価格も10%以内で購入していることが判ります。

しかしながら次章で述べますが、頭金は平均額で考えるのではなく個人個人が考えることが大切です。

3、マンション購入の頭金はどうやって決める?

では頭金の金額はどのように考えればよいでしょうか。参考例として年収500万円の方が4,000万円のマンションを購入する場合で考えてみましょう。

上の表は年収500万円の方が物件価格4,000万円のマンションの購入を検討しようとした場合で、頭金を0円、500万円、1,000万円とした時の返済比率を表しています。

返済比率とは年収に占める住宅ローンの年間の返済金額の割合です。住宅ローンを貸し出す金融機関は返済比率が一般的に35%を超えると、住宅ローンの審査を承諾しないとされています。

年収の500万円の方が4,000万円のマンションを頭金なしで購入する場合、上表によると、住宅ローンの内諾が難しい様子です。

一方で頭金を500万円とすると住宅ローンの内諾が得られそうです。さらに頭金を1,000万円とするとを支払うと返済比率が30%台を割ることとなり返済にもゆとりが得られそうです。

つまり最低でも500万円の頭金が必要となりそうですが、頭金500万円の返済比率34.9%は金融機関の定める一般的な審査上限に限りなく近い水準です。

従って、住宅ローンの審査は通る可能性はありますが、住宅ローンの返済の過程で当該返済が家計を大きく圧迫させることになることが考えられます。

となるとベストは1,000万円の頭金となりますが、1,000万円を用意するのはとても大変です。マンションを購入することによって手元の現金が乏しくなり生活苦を招くのは本末転倒です。

しかしながら住宅ローンを利用せずにはマンションの購入はできませんので、結果500万円~1,000万円の金額を「頭金」として考えておくと良いでしょう。

4、頭金なしでマンションを購入する場合の注意点

頭金なしで購入する際の注意点ですが、先章でも説明しました通り、返済比率が一般的な審査上限に近くなるような場合は注意が必要です。

住宅ローンは最長35年にも及びます。その間、収入の変動や例えば教育資金の発生など購入当時には想定しなかったことがローン返済期間中に起こる可能性があります。

返済比率の上限近くまで住宅ローンを借りた場合、そのような事態が起こった時に支払いが困難になる可能性が高くなってしまいます。

頭金は必ず支払わなければいけないものではありませんが、手元にお金を残すためにどうしても頭金なしで購入したい場合は返済比率に余裕をもたせるように、物件価格を少し下げるなどの検討もしましょう。

返済比率は30%を切っておくことが理想的と言われていますので、年収500万円の方は住宅ローンの借入金額を2,500万円~3,000万円の間としておくことをおすすめします。

5、マンション購入時の「頭金」と「手付金」について

マンションを契約する際には、「手付金」を売主に支払う必要があります。この手付金はマンションの販売価格に充当されるため、決済(物件の引き渡し)の時には支払った手付金を除いた残りの金額を支払うことになります。

つまり手付金は販売価格の一部であることから、頭金と似た意味を持っています。違う部分は「支払う場面」です。

手付金の金額は一般的に物件価格の1割が相場と言われていますが、一般個人が売主で一般個人が買主の中古マンションの売買契約では、慣例で100万円~200万円の範囲といわれています。(双方一般個人のため防犯上の意味を含んでいるそうです)

従って頭金を手付金として全額充当することもできなくはないですが、取引の円滑性と一般的な慣例から考えると、手付金支払い時は頭金の一部を支払い、残りの頭金は決済時に支払うようにしましょう。

6、マンション購入の頭金に関するよくある質問

Q1 頭金と諸費用は違いますか?
A.違います。1章での説明も通り、頭金は販売価格に充当するお金で、諸費用は物件を購入するためにかかる諸費用であり物件価格とは別に支払うお金のことを言います。

尚、諸費用は原則現金で用意しますが、返済比率が合えば、住宅ローンとして販売価格と一緒に借りることができます。

頭金を利用してマンションを購入しようとする場合は、諸費用の支払いが発生することも考慮しましょう。諸費用を算出した上で、頭金をいくらにするのか考えるとよいでしょう。

Q2 頭金なしで購入できますか?
A.購入は可能です。諸費用も住宅ローンで借りられる場合がありますので究極的には現金を全く用意せずにマンションを購入することが可能です。

但し、契約時の手付金は売主に現金で支払う必要があります。とはいえ一時的に立て替える、というイメージで一度現金で出て行ってしまいますが、住宅ローンが実行される決済時に住宅ローンの返済口座に戻ってきます。

7、まとめ

頭金はマンション購入のための資金調達計画やその後の返済計画に大きな影響を与えます。但し、やみくもに多額の頭金を費やしても足元の家計を逼迫させてしまう可能性があります。

頭金の有無を中心にマンション購入を考えるのではなく、そもそもご自身が購入できるマンションの価格はいくらか、諸費用がいくらかかるのか等を全体的に総合的に把握して話を進めていくようにしましょう。