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販売図面の見方を解説!貴重な情報を読み取ろう

販売図面の見方を解説!貴重な情報を読み取ろう

今回は不動産の広告、中でも「販売図面」のお話をします。
購入検討者にとっては、貴重な情報源ですが、記載内容が難しい、、、なんてことも。

人生で一番高価な買い物と言われる「不動産」ですので、内容はしっかりと把握しておきたいものです。

今回は中古マンションについてこの販売図面に記載されている項目を、分かりやすく説明します。是非参考にしてください。

※本稿は2019年7月20日に公開した記事を、その後の状況変化を踏まえて修正したものです。本文中の(1)価格、(4)リビング・ダイニング・キッチンの表記について追加しました。

※本稿は2022年9月1日施行の不動産の表示に関する公正競争規約の改正に伴い、2022年10月に内容の追記を行いました。

1、販売図面とは

販売図面は、不動産会社が作成するもので、価格や物件概要、セールスポイント、お部屋の写真や外観写真などを掲載した、購入検討者への資料となるものを言います。

しかし、ご覧になった方であればお気づきかもしれませんが、記載されている内容を難しいと思ったことはありませんか??
そこで、今回は販売図面に見方を皆さんにお話しします。

2、販売図面の内容

販売図面には、販売価格や物件の概要、キャッチコピー、取引の条件などが記載されています。いわゆる「物件資料」と呼ばれるもの代表的なのが販売図面になります。

販売図面に記載されている内容は、不動産の表示に関する公正競争規約に則って記載されています。そのため馴染みがない言葉が並び、難しく感じるかもしれませんが、物件の内容を表すのに必要な項目となっています。

では、下図にある当社で使用している販売図面(2022/9時点)を使って、内容を解説していきます。

(1)価格

そのマンションの販売価格が記載されている場所になります。
販売価格は記載されている通りですが、中古マンションを購入検討する際に見る価格には、今回のサンプルの図面のように税込価格なのか税抜価格なのか分からない物件を多く見かけます。

まず、不動産広告のルールでは、不動産価格の「税抜表示」は認められていません。よって一般消費者が見る価格は、「税込」と記載がある物件と表示がない物件とに分けられます。

「税込」と記載がある物件は、消費税課税事業者が売主の物件です。すなわち不動産会社が売主もしくは一般法人が売主のマンションということになります。

不動産広告で「税込」と多く見かけるのは、新築物件を探している時などです。新築物件は、課税事業者である不動産会社が売主であることが大半なので、必ず表示価格のそばに税込と表示されています。

最近、中古マンション市場でも不動産会社が部屋を購入して、売主となって再販売するスタイルが多く見られるようになり、「税込」表示が見られるようになってきました。

税込と記載されている物件は、そこに記載されている金額が実際の売買取引価格となります。その価格にさらに10%の消費税が課税されることはありません。

一方、税込や税抜もなにも表示がない物件は、一般個人が売主の物件ということが分かります。

一般個人は諸費税課税事業者ではないので、これらの物件にはそもそも消費税の課税がありません。

以上のように販売図面の「価格」に関しては、①消費税が含まれた価格か②消費税の課税がない価格のどちらかが記載されています。

(2)交通

事例のマンションでは2路線利用できることを示しています。一番上が最寄駅です。
では、三田駅が徒歩7分と表示がありますが、不動産広告には、距離や徒歩分数を計算する際、徒歩距離で80m/1分というルールになっています。ただし、信号や坂などは、考慮されていません。

2022年9月に施行した改正不動産の表示に関する公正競争規約では、駅や周辺施設までの距離や所要時間を測る際の起点と終点をそれぞれ「出入口」とすることを明文化しました。

これまでは駅まで近い敷地の出入り口から計測を開始しても問題ありませんでしたが、今後は必ず、建物の出入り口から計測するようになります。

今後は販売するマンションの分譲当時のパンフレットに記載された施設までの距離や所要時間とは異なる可能性があります。

また複数棟で構成される大規模マンションは、例えば1号棟と5号棟では駅までの距離や所要時間が違うはずですが、今までの広告ルールでは一団地の敷地全体を起点としていました。

しかし今後は、それぞれの棟の出入り口(エントランス)から駅や周辺環境までの距離や所要時間を表示することになりましたので、棟により表示が変わります。

(3)面積(専有面積)

上記の事例では、79.16㎡と記載されていますが、ここで表示してある面積が販売物件の面積となります。ここでは、主に壁芯という計測方法で図られている面積が記載されています。
お部屋の面積は広さの把握だけではなく、その部屋が各減税措置の対象物件か否かの判断材料にもなってきます。

マンションの面積表示は今回の壁芯面積と呼ばれるものと登記面積とよばれるものの2種類が存在します。壁芯面積と登記面積はどちらも同じ部屋の広さを表したものですが、計測方法上、登記面積の方が少し狭くなります。ちなみに皆さんが目にする広告に記載してある面積のほとんどは「壁芯」となっています。

例えば広告での面積表示が50㎡を少し超えた程度の物件は、登記面積では50㎡を切っていて、減税措置が受けられない可能性が出てくるので注意が必要です。登記面積はどれくらいなのか担当者に確認をしましょう。

(4)リビング・ダイニング・キッチンの表記について

3LDKや3DKといった間取りの表示についてですが、ここにも広告表示のルールが存在します。

お部屋の大きさで表現が変わり、一般的に広い部屋になるにつれてK⇒DK⇒LDKとなります。

①LDK表示
よく「買うなら3LDKのお部屋かな」なんていいますが、3LDKを名乗るには条件が存在します。

まず、3LDKとは3つの居室とLDKがあるということを表しています。この場合、LDK部分の広さは10帖以上なければLDKとは言えません。10帖を下回る場合は、DKとなります。3つの居室の広さは問いません。

3LDKに代表されるように居室が2つ以上あるお部屋の場合、LDKを名乗るためにはLDK部分だけで10帖以上の広さを有しなければいけません。なお、居室が1つの場合のお部屋は、LDK部分が8帖以上であってもLDKを名乗ることができます。

LDKは家族が過ごせるほどの広さのスペースと考えられているため、10帖以上が確保されていないと表記できないことになっています。

②DK表示
DK表示をするためには、2部屋で6帖以上、1部屋で4.5帖以上の広さがないと表記できません。
DKと表示されている物件は、食卓が置ける広さが確保されていると考えてよいでしょう。

③K表示
K表示は上記のDK表示以下の広さの場合に使用します。Kはキッチンを意味しますので、料理をするスペースしか確保されていないということになります。

(5)構造

マンションの構造を表しています。

マンションの多くは「RC造」(鉄筋コンクリート造)で建築されています。その他マンションでよくみられるのが、SRC造です。これは「鉄骨鉄筋コンクリート造」を表しており、主に10階以上のマンションはこの構造が多いです。

また、少数ですがSRC・RC造(鉄骨鉄筋コンクリート造と鉄筋コンクリ―ト造)と呼ばれるマンションもあります。

メインはSRC造ですが、上階部分が比重の関係でRC造となっており、比較的高層マンションなどに見られます。

(6)戸数

戸数とは、マンションでは一棟の建物の部屋数のことを言います。

一般的に戸数は多い方が良いと言われています。理由としては、戸数が少ないマンションでは、各戸あたりの管理費等が高くなる傾向があるためです。

戸数が少ないマンションにもかかわらず、管理費や修繕積立金の金額が低いマンションは、将来の大規模修繕工事に向けて、管理費等の値上げや一時負担金の発生、金融機関からの借入などが生じる可能性があります。積立金の残高なども確認しておきましょう。

(7)土地権利

マンションが建っている土地(敷地)は、大きく所有権と借地権とに分けられます。所有権のマンションの売買の場合は、建物だけでなく、土地(部屋に合わせた持分)も売買し所有権を有することになります。

一方、借地権の場合は土地の売買は行われず、土地の所有者と賃貸借契約を結び、賃料(地代)を支払うことになります。また売却時には「譲渡承諾料」を支払うことになります。※毎月の賃料(地代)は備考欄に記載されます。

所有権の場合は、土地・建物どちらも固定資産税・都市計画税の課税対象になるのに対し、借地権のマンションは、土地に関しては課税されません。

また、一般的に借地権のマンションは所有権に比べ売買価格が割安となるケースがあります。

(8)「管理形態」と「管理員の勤務形態」

2022年の不動産の表示に関する公正競争規約の改正に伴い、「管理形態」と「管理員の勤務形態」の記載が義務化されました。

管理形態とはマンションの管理体制を表したものです。管理体制は大きく三つに分かれており、「全部委託」「一部委託」「自主管理」から該当するものが表示されます。

「全部委託」と「一部委託」は不動産管理会社にマンションの管理を委託しており、不動産管理会社が代行して日々の管理業務を行ってくれます。多くのマンションでこの形態がとられます。

一方、「自主管理」とは不動産管理会社に委託せずにマンション管理、運営を管理組合員で行い、必要な業務を管理組合が外部に委託します。(例:清掃業務をシルバー人材センターに委託するなど)

不動産管理会社への委託がないので、毎月徴収される管理費を低く抑えることができますが、外部からのマンション管理に関するコンサルが受けられないデメリットがあります。

以上のように比較的に管理がよいとされているマンションは委託管理されているマンションと言われています。販売図面からも管理の状況について確認ができますので確認しておきましょう。

管理員の勤務形態とは、現地の管理員がどのような勤務体制になっているのかを表しており、「常駐」「日勤」「巡回」「不在」から選ばれるようになっています。

常駐と日勤、巡回は委託管理されているマンションに多く、不在は自主管理のマンションが多いと言われています。

やはり現地に管理員の方がいらっしゃる方が、防犯的にも、諸手続き的にも安心して生活することができます。管理形態と合わせて管理員の勤務形態も確認しておきましょう。

(9)施工

このマンションの新築建設時に担当した建設会社を記載しています。

(10)引渡し

中古物件の場合、その物件の引渡しを受ける時期は様々です。「即時」の物件もあれば、「期日指定」や「相談」があります。

「即時」の物件であっても、購入者が住宅ローンを組む場合は手続き等を挟み入居まで約1か月半かかる場合があります。引渡しに記載してある情報は、あくまで売主様の状態を表しているので注意しましょう。

また、引渡し時期が「相談」の物件は所有者がまだ住んでいる状態、もしくは荷物がまだおかれている状態で販売しているケースが多く、すぐには引渡しできない可能性があります。担当者に目途などを聞いておきましょう。

(11)築年月

ここでは、建物の建築時期を表しています。中古住宅では、登記簿謄本の「建物の建築時期」記載の年月を、その建物の建築年月として販売図面に記載しています。築年数を確認する場所として、皆さんも良く見られるところではないでしょうか。

ここで注意したいのが、築年月が昭和56年から昭和58年前後の物件は、昭和56年5月31日以前に建築確認を受けて建築された旧耐震基準物件の可能性があるいうことです。

昭和56年6月の建築基準法改正で、新耐震基準と旧耐震基準とに分けられたので、昭和56年6月築以降のマンションは新耐震基準と勘違いされる方が多くいらっしゃいます。しかしこれは築年月で分けたのではなく、建築確認を受けた日付で分けたものですので、注意が必要です。

昭和56年から昭和58年過ぎの建築年のマンションは、建築確認申請の日付も担当者に問い合わせをしてみましょう。

(12)管理費・修繕積立金

毎月の管理費と修繕積立金の金額が記載されています。それぞれマンションの維持・修繕のために使われるもので、所有者全員が管理組合に納めます。

住宅ローンを利用されている方は、毎月の住宅ローンの他に管理費・修繕積立金を支払うことになります。

(13)取引態様

ここでは、この物件の販売方法が記載されています。記載されている内容によって、異なる部分がありますので、確認しましょう。

仲介(媒介)・・・仲介と記載があれば、不動産会社が販売物件の所有者と販売活動の中で購入したという買主様とを引き合わせ、売買契約の締結をお手伝いする販売方法のことをいいます。不動産の中古市場では、ほとんどがこの販売方法です。売主様は一般個人の方が多く、売主様、買主様は売買契約が成就したら、不動産会社に仲介手数料を支払います。

売主・・・売主と記載があれば、その販売図面を作成している不動産会社が売主となっている販売している物件のことをいいます。新築物件などは、建てた不動産会社から購入するケースが多いので、売主物件がほとんどです。

しかし近年中古市場でも不動産会社が部屋を買取り、再度販売する方法が多く見られるようになりました。このような物件も「売主」として表記されます。

(14)その他事項

その他、販売図面にはその物件のキャッチコピーや間取り図、物件の写真などが掲載されています。ここでは、実際のお部屋のイメージを掴んでいただく場所として使われます。
間取り図などを見て、家具の配置などを考えてみるのもいいでしょう。

また、マンションの周辺環境の記載がある場合があります。こちらも不動産広告のルール上80m/1分で所要時間を測り、計測の起点・終点はマンションのエントランスから各施設への出入り口になります。

3、まとめ

不動産は、文字だけでその物件を表すことは難しいですが、販売図面は、特にお部屋の内見前の資料として、とても重要な情報源となります。
物件を何件も内見するのは、とても体力がいることです。販売図面などで事前に物件を把握してから、内見に臨みましょう。