一般コラム
市況・相場

在宅勤務によって出てきた「自宅」への不満や変化する価値観

在宅勤務によって出てきた「自宅」への不満や変化する価値観

全国の緊急事態宣言が解除になって、4か月が経とうとしています。宣言解除までおさまりかけたコロナウイルスも、7月に入り宣言時を上回るペースで増加し、今はピークは過ぎたとは言え、高止まりが続いています。

コロナショックは、今までの生活を大きくガラッと変えてしまいました。GWは自粛、お盆も実質自粛、毎年の年中行事でさえ、今年できない状況になりました。

皆さんの生活や仕事にも大きな変化があったのではないでしょうか。在宅勤務になった方、交代勤務になった方、自宅待機になった方など、コロナによって必ずしも「出社」しなくても良い環境が誕生しました。

今まで想像しなかった事が一瞬で起こったのですが、その結果、このコロナショックによって、皆さんの自宅に関する「価値観」にも変化が現れました。

【目次】
1、突如やってきた、新型コロナウイルス
2、コロナ禍での住宅に対する不満
(1)仕事スペースの確保ができない
(2)オンオフの切り替えがしづらい
(3)モニタやプリンターなどの備品が十分ではない
(4)部屋数がほしい、もっと広い部屋に住みたい、収納を増やしたい
3、まとめ

1、突如やってきた、新型コロナウイルス

今年に入り全世界で猛威を振るいはじめた新型コロナウイルスによって、3月24日には東京オリンピック・パラリンピックの延期決定、4月7日には主要都道府県で緊急事態宣言の発出、4月16日には宣言を全国に拡大し、日本全体で外出の自粛、移動の自粛など、私生活や経済に大きな打撃を与えました。
影響は今なお続いており、見えない敵と終わりの見えない闘いを続けている状況です。

この新型コロナウイルスは、人々の生活を一変させました。緊急事態宣言中は、日用品購入以外の外出自粛や仕事にもおいても、在宅勤務、交代勤務、一時帰休など様々な対応が求められました。

その結果、「家時間」が増えた方が多く入らっしゃるのではないでしょうか。仕事も家、外出もできないなど、家で過ごす時間が増え、家に対する思いにも変化が表れてきました。

2、コロナ禍での住宅に対する不満

内閣府の調査では、在宅勤務の推奨の結果、全国の在宅勤務実施率は34.6%に上ることが分かりました。

特に首都圏の在宅勤務率は高く、約半分の5割近い人が在宅勤務を経験したと回答しています。

しかし今まで、家で「仕事」という文化がなかった日本では、実施だけが先行し、インフラを整えず在宅勤務に突入してしまいました。結果、「家」に対して今まで思いつかなかったような様々な思いを抱くようになりました。主だった住まいへの意識変化(不満)をご紹介します。

(1)仕事スペースの確保ができない
ここは、子育て世帯の方にとっては特に困ったところではないでしょうか。仕事は在宅、子供も休校や休園で在宅となり、家族全員が揃った状況で「勤務」をしなければいけません。

また、今は共働きの時代です。片方が子供の面倒を見るということも難しく、子供の様子を見ながら仕事をしなければいけません。特に目の離せない小さい子供がいる場合は気を遣ってしまいます。

となるとリビングで仕事するわけですが、このような環境では、仕事が進まない、電話などの連絡が取りづらいなど様々な支障が出てきます。

しかし、リビングにあるのは、食卓、テーブル、ソファが設置してあるのが一般的です。
もちろん仕事用のデスクや椅子はありません。仕方なく食卓を使って仕事をしている方が多いのではないでしょうか。

しかし食卓で作業をしていると、長く座るのには適してないことに気づきます。机と椅子の高さの調整もできず、その結果いつも以上に疲れます。そして、コードなどの紐をひっぱりに椅子の下には子供がやってきます。

リビングでしか仕事をできない環境の方は、体への負担を軽減できるように、リビング内に仕事用スペースを設けるしかありません。

スペースを設けるのが大変な方は、高さの調整ができる「椅子」だけでも用意すると、体への負担が軽減します。

また、子供の世話に関しては、ビデオを見せる、おもちゃを用意する、昼寝の時間を活用するなどの方法が良いでしょう。

(2)オンオフの切り替えがしづらい
物件検索サイト「SUUMO」を運営するリクルート住まいカンパニーが行った調査によると、在宅勤務に関する不満1位が「オンオフの切り替えがしづらい」でした。
特にコロナ禍では外出も自粛だったので、「家時間」はとても増えました。休日も家、仕事中も家、毎日毎日風景が同じという時間の過ごし方になってしまいました。

毎日の通勤は苦痛ですが、今思えば、ある意味あれが気持ちの切り替えになっている一面もありました。毎日毎日同じ場所にいると、切り替えポイントを見失ってしまいます。

家には帰るだけだったなんて人は、しっかりと休憩時間を設けて、家の周囲を散策してみると気分転換にもなります。通勤時間がないわけですから、時間を有効に使いましょう。

(3)モニタやプリンターなどの備品が十分ではない
会社には、仕事場としての設備が充実しています。PCの画面も一般家庭が所持しているPCよりも大きかったり、デスクトップパソコンなので処理が速かったなりなど、社内では快適に作業が進みます。

しかし、その設備を自宅で整えようと思っても、かなりの費用が掛かります。在宅勤務を恒久化する企業では、補助などが出るようですが、まだそれは一部の企業のみです。
一般家庭でも実現できそうなことは、wifiなどのインターネット通信速度の改善ぐらいでしょうか。

この問題は、社会全体の問題になっています。押印の問題、紙で管理する問題、今回のコロナ禍で浮彫になりました。Withコロナの時代を迎えるならば、早い制度化が期待されます。

9月18日に誕生した菅新政権は、政策の大きな柱としてデジタル強化を打ち出したので、今後の政策にも期待したいと思います。

(4)部屋数がほしい、もっと広い部屋に住みたい、収納を増やしたい
上記の(1)や(2)に関わる話ですが、この部屋数が欲しい、広い部屋に住みたいという意見がアンケートでも多く聞かれるようになってきました。

部屋数が欲しいという意見は、仕事スペースの確保に繋がります。部屋の小分けが多いほど、専用スペースは確保されるので、こういった意見が多いと思われます。

またもっと広い部屋に住みたいという意見も仕事スペースの確保の他に、子供の面倒を見ながらリビングで仕事する際にスペースを広く使いたいということに繋がります。

分譲マンションの場合、全体の広さは変えられなくても、間取り(部屋の区切り方)は変えることができます。

50㎡前半の部屋でも、3つ部屋を持たせる3DKや3LDKの間取りにできますし、リビングを広く使いたいという場合は、リビングを広く持たせるようにリビングと接する洋室との区切りを無くことができます。このように今の部屋をリフォームすることで対応できます。

また、間取り変更などのような大掛かりなリフォームをしなくても、スペースの活用で仕事スペースを設けることができます。

リフォームをご検討方は、参考に弊社のグループ会社で、マンションの内装などを担う「オークラヤリビング」のブログ「テレワークにも便利なワークスペース」も参考にしてみてください。

又は、今の家からの住み替えを検討することもいいでしょう。
通勤が少なくなった、或いは無くなった方は、「通勤時間」をあまり考慮する必要がなくなるので家を決める上での優先度を下げて、郊外の広い部屋に住み替えるという検討ができます。

都心に比べて、緑も豊かになるので、勤務中の気分転換やリフレッシュもしやすくなります。

ただし、東京集中現象がなくなったり、解消されることは考えにくいので、「通える郊外」に留めておくことが現実的です。

このようにコロナをきっかけに「住み替え」を検討したという方も少なくありません。どんな部屋に住み替えたいかの意見では、部屋数を増やしたい、通勤利便性より周辺環境重視、周辺の公園などがある場所といった意見が目立つようになってきました。

これから購入する方も、購入検討中の方も、もう一度購入に関する優先順位を話し合ってみると良いでしょう。

3、まとめ

今年は半年も経たない間に、今までの生活を一変させられました。さらに、今もなお終息の道筋も見られず、不安が募るばかりです。

これからの社会や勤務体系がどのように変化するかの判断は、難しいところです。スペイン風邪を克服したように、ワクチンなどができれば、今までの生活に戻るかもしれません。

しかし、経済が止まってしまった現実があります。このような有事な時でも経済を止めないように、リスクヘッジしておくことが重要です。

通勤ができない状況になれば、「家」で仕事をすることになりますので、今回、明らかになった課題を考慮した家選びが大事になってきます。ご家族で話し合って考え方を整理しておくことをおすすめします。