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築年数が経ったマンションって大丈夫??既存(中古)マンション購入時のチェックポイント!

築年数が経ったマンションって大丈夫??既存(中古)マンション購入時のチェックポイント!

新築人気が根強い日本ですが、最近では既存(中古)マンションへの人気も高まり、取引件数は右肩上がり、新築マンションを超えるまでに成長しています。

しかし、既存(中古)マンション購入時に気になるのが、その建物の築年数です。

築年数が経っているマンションに対しては、どうしても耐震性や建物の経年劣化への不安がついてきます。そこで購入時におけるチェックポイントをまとめてみました。

【目次】
1、耐震基準
(1)新耐震基準建物か旧耐震基準建物か
(2)不動産購入時の税制優遇
2、管理状況
(1)建物の修繕状況
(2)修繕積立金の状況や長期修繕計画の策定
(3)清掃、整理整頓状況
(4)管理状況のまとめ
3、将来の売却見込み
4、まとめ

1、耐震基準

築年数が経っている建物には、耐震基準が異なる場合があります。まず安心材料として、購入物件の耐震基準を確認しておくと良いでしょう。

では、耐震基準を詳しくみていきます。

(1)新耐震基準建物か旧耐震建物基準建物か
現在建っているマンションは新耐震基準建物(以下、新耐震)と旧耐震基準建物(以下、旧耐震)に分けれられます。

新耐震のマンションは、昭和56年(1981年)6月1日以降から現在に至るまでに、建築確認を取得して建てられた建物のことをいいます。新耐震は、耐震基準を定めている「建築基準法」がこの日に改正施行されたのを機にスタートしました。

一方、旧耐震のマンションは、昭和56年6月以前に建築確認を受けた建物になります。マンションは昭和40年代に建設ラッシュが始まったので、まだ、日本には多くの旧耐震のマンションが存在しています。

新耐震と旧耐震の大きな違いは、耐震の震度の大きさです。旧耐震は震度5(当時)の地震に耐える耐震性としていましたが、新耐震ではそれを引き上げ、震度6以上(当時)の耐震性を有することを基準としました。

昭和56年の法改正の背景は、昭和53年に起きた「宮城県沖地震」と言われています。そこで、この地震は建物への大きな被害が確認され、震度5以上の耐震性では、今後の大きな地震が発生した場合に、耐えることができないと判断がされました。

以降、阪神淡路大震災や東日本大震災を含め、大きな地震が日本を襲いましたが、耐震基準は、昭和56年6月以降に制定されたものが引き続き運用されています。

しかし、旧耐震時代に建てられたマンションでも、耐震補強工事や耐震診断の結果、新耐震基準を満たしているマンションも存在します。これらのマンションは「耐震基準適合マンション」と呼ばれ、新耐震基準のマンションと同等となります。

購入検討物件が旧耐震のマンションであった場合、耐震補強工事の実施有無や耐震診断の結果なども確認しておきしょう。

なお、法改正は昭和56年6月に施行されましたが、これは建設前の建築確認申請の日付を基準としているため、販売図面などに「昭和57年や58年」築と表記があるマンションでも、昭和56年6月以前に建築確認が出された“旧耐震”の建物の可能性があります。

これは、竣工までの期間に1年から1年半ほどの時間を要すためです。そのため、この期間の建物は販売図面などに記載されている「築年数」だけでなく、建築確認取得の日付も確認しておくと良いでしょう。建築確認に日付は、不動産会社の担当者に問い合わせることによって確認ができます。

※震度は阪神淡路大震災後に見直しがされて、震度5と6には弱と強が追加され、9段階で震度を表すようになりました。

(2)不動産購入時の税制優遇
この耐震基準は建物の安全性だけでなく、現在行われている、住宅関係の税制優遇が使えるか否かの境にもなっています。

今実施されている、住宅購入に関する税制優遇として、
①住宅ローン控除
②登録免許税の減税(登記費用の負担軽減)
③不動産取得税の減税
④住宅資金の贈与税の控除
⑤すまい給付金
などがあります。

これらの税制優遇の既存(中古)マンションへの適用条件の原則の一つに、「新耐震基準の建物」という条件があります。

他に、床面積などの条件もありますが、マンション自体が新耐震でないと受けられないことになっていますので、とても重要な事といえます。

ちなみに、減税措置が受けられる場合と受けられない場合には、大きな差が出てきますので、購入検討段階から考慮しておきましょう。

さらに先述したとおり、新耐震基準を満たしている耐震基準適合マンションも”耐震基準適合証明書”を取得することにより、税制優遇が受けられるようになります。この書類の取得には費用が掛かりますので、不動産会社の担当に確認しておきましょう。

2、管理状況

マンションは「管理」が一番重要と言われています。マンションの管理体制が良いことは、資産価値をしっかり維持していることなど、マンション外部に対して所有者の管理意識を示すことにもなります。

また、よくマンションの住人に方から聞く話として、管理体制が良いということは、住みやすさにも直結していることが分かり、住人の満足度にも寄与しています。

筆者も営業マン時代に多くのマンションに入りましたが、管理が良いマンションとそうでないマンションとでは、印象が全く違いました。

管理体制が良いマンションであれば、旧耐震や昭和築の築年数が経っているマンション、洗礼された印象を与えることができます。

では、どの部分に注目すれば「管理がいい」という判断ができるかみていきましょう。

(1)建物の修繕状況
マンションはおおよそ10年から12年サイクルで大規模修繕工事を行い、その間に傷んだ箇所の補修や外壁の塗り直しなどを行います。

特に外壁は特に痛みやすい箇所になります。塗装が剥がれたり、ヒビが入るなど表面に傷みが確認できるようになってきます。その他、多くの人が使うエントランスなども床が傷んだりしてきます。

また最近では、共用部のバリアフリーなどが実施されています。特に築年数が経過しているマンションには、バリアフリー化がなされておらず、依然として階段や段差が残っているマンションが多くあります。

管理が良いマンションは定期的に修繕やマンション共用部の改善に努めています。少し言い方を変えると、マンションの管理維持に対して、意識の高い方が多くいらっしゃるということです。住人の意見はマンション全体の意思になりますので、マンションの管理体制や今後の修繕に大きく関係してきます。

内見時に、マンションの修繕状況や過去の修繕歴などを確認しておくと良いでしょう。

(2)修繕積立金の状況や長期修繕計画の策定
マンションは分譲当時より、区分所有者から毎月修繕積立金を徴収しています。

修繕積立金は、築年数に応じた大規模修繕工事の費用として、積立てられています。
一般的には、年数が経過すると、必要な工事費用が大きくなるため、修繕積立金は新築時に比べて高くなります。

積立金が多くあるマンションは、管理が良いという分かりやすい例ですが、一番重要なのは、計画的に積立金が積み立てられているかどうかになります。

管理が良いと言われているマンションでは、マンションの管理会社と共同で長期修繕計画というものを策定しています。ほとんどのマンションで現在から20年以上先の必要な工事やその費用がまとめてあります。

その長期修繕計画では、修繕積立金の過不足も分かるようになっています。現在の積立状況や値上げした場合の収支の関係などのシュミレーションがあり、管理組合で協議の上、今後の方向性を決めていきます。

このように、長期的な計画が立てられているマンションは管理が比較的良いと判断されます。

(3)清掃、整理整頓状況
私たち不動産会社が既存(中古)マンションの広告をするとき、ゴミ置き場や自転車置き場、バイク置き場の写真を掲載することがあります。これは、管理の良さを知ってもらうために、掲載をしています。

管理体制が良いマンションでは、清掃や整理整頓がきちんとされています。住人の皆さんの意識や管理会社の良さが表れています。

このように共用部の扱い方でも、管理体制が良いマンションがどうか確認できます。
内見時は、部屋だけではなく、共用部の清掃状況などにも目を配るようにしましょう。

(4)管理状況のまとめ
(1)~(3)まで「管理の良さ」について説明してきましたが、これらは管理組合がしっかりと機能していないと実現できません。

管理組合が機能しているということは、住人の間のマナーや住みやすさなどにも通じます。

マンションの購入を決断する時は、価格、立地、お部屋の間取りなどで判断される方が多いですが、マンションを購入するのであれば、この管理組合の運営状況にも注目しておく必要があります。

既存(中古)マンションは、新築マンションと違い、建物の修繕状況や管理組合の運営状況などを購入前に知ることができます。不動産会社の担当者などに問い合わせて確認をしておきましょう。

3、将来の売却見込み

築年数が経過したマンションの評価として、少し違った見方で考えてみます。
そこで今回は購入者向けのコラムですが、将来の売却見込みについても見ていきたいと思います。

将来的に売却が見込めるマンションは、資産としては優良だと考えられます。
売却しやすいマンションの特徴として、
①立地の良さ
②お部屋の状況
③部屋位置、陽当り・眺望の良さ
④管理状況
などが挙げられます。

この中で最も資産価値を左右するのは、①の立地の良さです。①は非常に重要になります。

マンションの購入者は、立地を重要視している方が多くいます。相場も○○区○○駅徒歩○分ならば、おおよそ坪あたり○○○万円という具合に立地条件によって大変が形成されます。

特に、既存(中古)マンションは、築年数というハンデを抱えての売却になりますので、資産性を見極める上では、立地の良さを考慮しておくことは、とても大切です。

既存(中古)マンションは中古だからこそ、立地が良いという魅力を持つ物件が数多くあります。

そしてもう一つの魅力が、部屋を新築のようにリノベーションができることです。

職住近接の傾向が強くなってきている現代社会において、立地が良い物件を新築のような最新設備で自分好みの部屋にして住むことができるという魅力は引き続き発揮され続けるものと思われます。

4、まとめ

築年数が経過しているマンションを購入する際のチェックポイントをまとめてみました。

中古という理由だけで、購入する際に“不安”を感じる方が多くいらっしゃいますが、
チェックポイントをしっかりと抑えていたら、不安は消すことや軽減することができます。

既存(中古)マンションは物件数が豊富ですので、検討時は、いろんな角度から検討してみてください。