家の売却は人生で何度も行うことではないため、後悔しないよう売却活動を進めたいという方は多いのではないでしょうか。
しかし、家の売却においては注意しなければいけない行動があります。
そこでこの記事では、家の売却時にやってはいけないことを、家の売却前、売却活動中、売却後の3つのタイミングに分けて16項目紹介しています。
満足のいく売却を目指したい方はぜひ参考にしてください。
目次
家の売却前にやってはいけないこと6選
不動産の売却活動では、事前準備が非常に重要になってきます。
ここでは家の売却前にやってはいけないことを6つ解説します。
無計画に家を売り出す
家を売却する際、スケジュールを立てずにいきなり売却活動を始めるのは避けたほうがよいでしょう。
売却希望時期をはっきりさせることで、いつまでに何をすべきかが明確になって売却活動を効率よく進めやすくなります。
売却に適したタイミングについては、以下の記事もご覧ください。
また、不動産会社に依頼する前に、自分でも価格相場を調べておくことが大切です。
不動産情報サイトでご自身の物件と条件の近いものを検索し、価格を確認しましょう。
該当する物件はご自身の物件を売り出したときの競合物件となる可能性があります。
ただ、不動産情報サイトで分かるのは売出価格であり、成約価格ではないため注意が必要です。
おおよその相場を理解していれば、不動産会社を選ぶ際や売出価格を決める際に役立ちます。
不動産会社を比較検討せず決める
家の売却は不動産会社に依頼するケースが一般的ですが、それぞれの会社をよく比較したうえで決めることが大切です。
不動産会社によって販売実績が多いエリアや担当者の力量が異なるだけでなく、査定金額に差が出る場合も多いため、1社だけで判断してしまうとミスマッチが生じるおそれがあります。
不動産会社の選び方については、以下の記事でも詳しく解説しています。
マンション売却時の不動産会社の選び方は?失敗しないためのポイントも解説
査定額のみで不動産会社を決める
不動産会社を選ぶ際、査定額のみを判断材料にするのは避けたほうがよいでしょう。
不動産会社によっては、売主から選んでもらうために、あえて高い査定額を提示する会社も存在しています。
複数社に査定を依頼した際は、提示された査定額について価格相場と比較しながら検討することが大切です。
また、査定額だけでなく、不動産会社が得意とするエリアや担当者との相性についてもチェックして不動産会社を決めるようにしてください。
不動産会社に相談せずリフォーム・解体を行う
売却予定のお部屋を自己判断のみでリフォームや解体などの工事を行うのは避けたほうがよいでしょう。
きれいなお部屋は購入検討者から好印象を持たれやすいものの、新たにリフォームした工事費用を売出価格にそのまま反映できるわけではないため、売却時の手取額が下がってしまうリスクが生じます。
また、購入後に自分好みにリフォームしたい買主の場合、売却前のリフォームが無駄になってしまうこともあります。
リフォームや解体などを検討する際は、必ず不動産会社に相談するようにしてください。
住宅ローンを組んでいる場合に不動産会社に相談せず売り出す
住宅ローンを組んでいる不動産は、引渡しまでに完済しないと売却することができません。
住宅ローンの残高や返済計画をよく確認しないまま売り出してしまうと、あとから売買契約の延期や取消といったトラブルが発生するおそれがあります。
住宅ローンがまだ残っている家を売却したい場合は、資金計画をしっかりと立て、住宅ローンがどれくらい残っているのかという現状を把握することが必要です。
住宅ローンが残っている家の売却については、こちらの記事も参考にしてください。
住宅ローンが残っている物件の売却方法とローン返済のタイミングについて
媒介契約の内容を理解せず決める
売却を依頼する不動産会社を選んだら、媒介契約を締結することになります。
しかし、媒介契約には一般媒介・専任媒介・専属専任媒介の3種類が存在しています。
媒介契約の種類によって不動産会社との取り決めや制限が異なるため、それぞれの違いを理解したうえで判断することが大切です。
媒介契約の詳しい内容については、こちらの記事も参考にしてください。
マンションを売却する際の流れは?売却活動の注意点もあわせて解説
家の売却活動中にやってはいけないこと5選
つづいて、家の売却活動中にやってはいけないことを5つ紹介します。
売却活動を始める前にぜひチェックしてください。
売出価格を高額に設定する
家をできるだけ高く売りたい場合でも、あまりに相場とかけ離れた高額な売出価格を設定するのは避けたほうがよいでしょう。
売出価格が相場と見合っていないと判断されると、購入検討者の検討候補から除外されてしまう可能性が高くなります。
不動産会社と相談しながらご事情に合わせた適切な価格に設定することが大切です。
不動産会社に任せきりにする
売却活動は不動産会社が中心になって進めてくれるものの、任せきりにしてしまうのはおすすめできません。
購入検討者とのやりとりや交渉は不動産会社が担当しますが、納得できる売買にするためにも、購入検討者の内覧等に協力するようにしましょう。
また、不動産会社からの売却活動状況の報告も確認し、市場の動向を把握するとよいでしょう。
いざというときに適切な判断ができるよう、不動産会社と定期的にコミュニケーションを取っておくことが重要です。
価格・条件交渉に一切応じない
不動産の売買においては、購入検討者から売却価格や諸条件について交渉が入ることがあります。
無理に値下げする必要はありませんが、不動産会社の担当と相談しながら売却価格を検討するようにしましょう。
スムーズに売却するためには、絶対譲れない条件を整理したうえで、状況に応じて柔軟に対応する姿勢が求められます。
内覧対応を怠る
購入検討者にとって、内覧は不動産の購入を決める重要なポイントのひとつです。
日程調整などは不動産会社が行ってくれるものの、内覧前の清掃・片付け・鍵の設置などの準備は通常売主が行うことになります。
内覧時に室内が汚れていると悪印象を与えてしまいかねないため注意が必要です。
内覧を行う際の注意点や具体的な流れについては、以下の記事も参考にしてください。
マンション売却までの平均内覧件数は?内覧時のポイントや流れを解説
買主にとって不利な条件を隠す
早く家を売却したいからといって、雨漏りやシロアリなど買主にとって不利な条件を隠したまま売却活動を進めてはいけません。
不動産の売買契約を締結する際、売主は契約不適合責任を負うことになります。
売却した不動産の品質や内容などが契約書と異なる場合、売主は損害賠償を請求されるおそれがあるため注意が必要です。
物件に傷や不具合などがある場合は、必ず事前に伝えるようにしましょう。
契約不適合責任については以下の記事も参考にしてください。
家の売却前後にやってはいけないこと5選
買主が見つかり売買契約を締結する前後にも、いくつかの注意点が存在しています。
ここでは、家の売却前後にやってはいけないことを5つ紹介します。
契約書の内容を確認しない
売買契約を締結する際は、重要事項説明書や契約書の内容を十分確認しておきましょう。
契約書に署名・捺印したあとに契約内容を変更することは原則できないため、確認を怠るとのちにトラブルに発展するおそれがあります。
事前に打ち合わせていた条件と齟齬がないか、重要な点は慎重にチェックしておくことをおすすめします。
契約締結後にキャンセルする
よほどの事情がない限り、契約締結後に自己都合でキャンセルするのは避けましょう。
売主の都合で契約を解除する場合、一般的に違約金として手付金の2倍の金額を支払うことになります(受領済手付金を含みます)。
買主にも迷惑をかけることにもなるため、契約締結の判断は慎重に行うことが大切です。
引渡しの期日を守らない
売買契約締結後は、期日に間に合うように引渡しの準備を進めていきましょう。
引渡し日までに退去しないと契約違反に該当します。
契約から引渡しまで1〜2か月空くケースが一般的ですので、余裕を持って引っ越しや片付けを済ませるようにしてください。
残置物や不用品を残す
家を買主に引き渡す際は、残置物や不用品を残さないよう注意してください。
特約で明記されている場合を除き、家の売却時には空室の状態で引渡しを行うのがルールです。
一方、契約書で「処分せず引き渡す」と取り決めた設備等を勝手に処分してしまうと、契約違反に該当するおそれがあります。
あとでトラブルにならないよう、残置物の扱いについてはあらかじめ厳密に決めておくことが大切です。
確定申告を怠る
家の売却後は、必要に応じて確定申告を忘れずに行いましょう。
不動産を売却して利益が発生した場合、売却した翌年の3月15日までに確定申告を行わければいけません。
確定申告を怠ると、ペナルティとして延滞税や無申告加算税を支払うことになるため注意が必要です。
家を売却したあとの確定申告については、以下の記事も参考にしてください。
まとめ
この記事では、家の売却でやってはいけないことを16項目解説しました。
家の売却においては、情報収集を行ったうえでさまざまな条件を比較検討し、冷静に判断することが大切です。
疑問点や不明点がある場合は不動産会社に相談することで、安心して売却活動を進められるでしょう。
今回の記事もぜひ参考にしてくださいね。
著者情報

宅建士 兼 Webライター
井後 帆乃香
【経歴】
宅建士として不動産会社に勤務するかたわら、SEOライティングを中心に幅広く活動するWebライター。
「不動産って難しい!」と頭を抱えた経験から、難しい言葉を使わず、わかりやすく丁寧にお伝えすることをモットーとしています。
家に居る時は、愛猫を膝に載せながら執筆することも。
保有資格:宅建士/日商簿記2級/ITパスポート試験 など