
ライフスタイルの変化に伴い、住んでいるマンションの広さや立地などが合わなくなってしまうこともあるでしょう。
ライフスタイルの変化をきっかけに、マンションの買いかえを検討する方もいらっしゃると思います。
「マンション買いかえのタイミングがわからない」
「ローンが残っているけど買いかえはできる?」
「先行購入・先行売却どちらが良い?」
など、いろいろな悩みが出てくるでしょう。
そこで当コラムでは、「マンション買いかえのベストなタイミング」を7つの切り口から解説します。
<目次>
1:季節要因と買いかえのタイミング
不動産の買いかえに良い季節というのはいつなのでしょうか?
中古マンションの売買が多い季節、というと、お引っ越しが多い「3月」など、春のシーズンを思い浮かべる方も多いかと思います。
しかし、取引件数の推移をみると、実は【売買】の場合は、春にそこまで大きなピークは迎えません。
上の「首都圏取引件数推移」をご覧ください。
1〜3月の繁忙期に約1.4倍の取引件数となる賃貸取引(青色)と比べて、売買取引(赤色)の件数の変化は約1.1倍となっており、あまり幅が大きくないことが分かります。
中古マンションの【売買】は【賃貸】と比較すると、季節での変動が少ないのが特徴です。
では、自宅を買ってくれる「中古マンションを購入する人」は、どんな人が多いのでしょうか。
中古マンションを購入する人は「そのマンションの近所に住んでいる人」が比較的多くなっています。
例えば、
- 元々近隣にお住まいで、お子様がいらっしゃっても学区が変わらず、いつ引っ越しても大丈夫
- 高齢の親御さんを呼び寄せるためなので、場所が限定されており、時期よりも場所優先
- 近隣に賃貸で住んでおり、賃料を払う期間を短くしたいたため、購入したらすぐ引っ越したい
などのご事情の方などです。
さらに、最近では、購入の検討期間が長い方が増えており、
「良い物件があれば、季節関係なくそのタイミングで住みか替える」という方も多くなって
います。
では、買いかえの際はどの季節が良いのでしょうか?
買いかえの場合、季節要因というよりも、ご自身の「買いかえ先の引渡し時期がいつになるか」が重要です。
気に入った物件の引渡しが「5月」であれば、「5月」に合わせて自宅の売却を進め、5月のお住みかえを目指すことになります。
「6月」「7月」であっても、それは同じことです。
買いかえの場合、「季節」というよりも「買いかえ先の事情(買いかえ先の売主さまの事情)」による引っ越しの時期の影響が大きくなります。
2:自宅マンション築年数と買いかえのタイミング
自宅マンションを売却するのは築何年が適切なのでしょうか。
築年数によるマンション価格の推移は一般的に以下のようになっています。
一般的に、新築マンションには「新築である」という価値(新築プレミアム)があるため、「中古」になると価格が下がります。
ここ数年は価格が上振れ気味で、市況によって価格が大きく変化するため、一概に言うことができないのが現状です。
しかし、基本は「築が古くなるにつれて下がっていき、徐々に下がる幅が緩やかになってくる」推移が一般的です。
築年数に関して、「築○年が売却に適している」という確実な正解はありません。
価格は築年数を経るごとに下降傾向となりますが、市場動向によって大きく変化するため、築年数のみでの売却時期の判断はできません。
ただ、物件探しで多く利用されているインターネットの特徴は頭に入れておくと良いでしょう。
多くの方が物件を探すのに使用するインターネットのポータルサイトなどでは、検索条件が「5年」「10年」「15年」「20年」といった、5年おきの設定がされていることが多くあります。
そのため、「築10年」であれば「10年以内」の検索条件に引っかかるものの、「築11年」では引っかからない、など、1年の差で探している方の目に触れづらくなってしまう可能性もあります。
また、築10年だと、目に触れやすいライバル物件は築6年~9年の物件となりますが、築11年だと、12年~15年の物件となることが多いです。
そのため、適正な価格で売りに出していても、相対的に高く見えてしまうこともあるかもしれません。
物件を探す手段としてはインターネットが大半です。インターネット上での目につきやすさを考えれば、「5年区切り」は一つの目安と言えるかもしれません。
3:市況とお買いかえのタイミング
市況は、価格に大きな影響を与える要因のため「市況が一番良いタイミングで買いかえしたい」という希望を持つ方も多いのではないでしょうか。
しかし、リーマンショックや東日本大震災、最近では新型コロナウイルスの世界的な感染拡大など、予測できない要因が急に市況に影響を与えることも少なくありません。
つまり、「市況を予測してお買いかえに活かす」ことがとても難しいのが現状です。
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、2020年4月の中古マンション価格は2012年9月以来の下落となりました。
参考記事:既存マンション成約価格、12年9月以来の減少
https://www.ohkuraya.co.jp/News/detail/id/62250
新型コロナウイルスの問題は、今後長期にわたって経済全体に影響を与えることが考えられます。
2021年に延期となった東京オリンピック、2022年の生産緑地問題、2025年以降の人口減少問題など、大なり小なり、中古マンション市況に影響を与えることが考えられます。
2020年の市況予測について、詳しくは以下をご確認ください。
コロナの影響は? 【再考】 2020年の中古マンションの価格はどうなる?https://www.ohkuraya.co.jp/Column/article/id/2355/
【最新】2020年の中古マンションの価格はどうなる?(※年初の記事)https://www.ohkuraya.co.jp/Column/article/id/1485/
【緊急】マーケットインフォメーションhttps://www.ohkuraya.co.jp/Column/article/id/2164/
市況の予測は難しいですが、そもそも買いかえの場合、
- 「自宅が高く売れる時期=購入する物件も高い時期」
といえます。
要するに、高い時期に買いかえても安い時期に買いかえても、トータルすると差があまり出ないといったことにもなりがちです。
買いかえ先の引渡しが1、2年後など、引渡しに長期間かかるようでしたら「1年後」「2年後」の市況について検討する必要があります。
しかしながら、短期間での買いかえの場合、現在の市況下での買いかえ収支を検討することが第一となるでしょう。
4:住宅ローンと買いかえのタイミング
買いかえの際に住宅ローンを組むことも検討しているのであれば、債務者になる家族の「年齢」や「借り入れ時の金利」も考慮に入れておく必要があります。
現在の自宅を購入したときよりも年齢が上がっているため、住宅ローンを組める最長期間が以前よりも短くなっている場合があります。
- 何年の住宅ローンを組めるのか
まずは確認してみましょう。
金融機関によりますが、最近では完済時が80歳の誕生日まで住宅ローンを組むことが可能です。
一般的な住宅ローンで最長の35年間のローンが組めるのは、45歳まで、と大まかに覚えておきましょう。
ただし、重要なのは、
- 実際に何歳まで住宅ローンの返済が可能なのか
ということ。
月々の支払い額が「10万円」として、80歳まで支払いを継続できるでしょうか。
また、退職金などで一括で返済できるといった当てがあるでしょうか。
買いかえの際には、年齢が上がっている分、老後まで含めた資金計算がより重要になります。
- 「住宅ローンを早く完済したい」
- 「現役世代のうちに終わらせたい」
ということであれば、なるべく早いタイミングでの買いかえを選択することをおすすめします。
年齢から逆算して、以下のように借入する額を決めた上で物件を探すとより安心できますよ。
- 「○歳までの返済ならローン期間は○年」
- 「月○万円まで返済できるなら、借り入れできるのは○万円」
住宅ローンを組む際は金利も重要です。
2020年8月現在は、住宅ローンの適用金利が変動金利で0.5%程度ですし、固定金利でも1%強程度の水準となっています。
金利が低いと住宅ローンで借り入れできる金額が多くなりますから、買いかえ先により価格が高い物件を検討できるようになります。
また、同じ金額を借りるのであれば、当然金利が低い方が総支払額が少なくなります。
購入タイミングの住宅ローン金利によって、
- 「購入できる物件の幅が変わる」
- 「生涯の住宅ローン支払額が変わる」
ことを覚えておきましょう。
5:「買いかえ事情」と買いかえのタイミング
買いかえのタイミングを計る上で最も重要なのが「買いかえ事情」です。
買いかえをする事情はそれぞれで、
- 「広い家に住みたい」
- 「実家の近くが良い」
- 「勤務先への利便性が良い立地に住みたい」
- 「駅に近い好立地に住みたい」
などが挙げられます。
さまざまな希望の裏には、
- 「子どもが大きくなって部屋が必要になったから」
- 「子どもを両親に見てもらいやすいから」
- 「今の家が駅から遠く通勤時間が多くかかってしまい不便だから」
- 「子どもが独立して広い部屋がいらなくなり、狭くても商業施設も多い駅近の方が便利だから」
などのより良い暮らしを求める事情があるのではないでしょうか。
買いかえのタイミングの検討には、まずはその目的を果たすためのタイミングがいつなのかを考えてみましょう。
例えば、
- 「子ども部屋を作ってあげたい」
- 「子どもを両親に見てもらいたい」
という目的があった場合、5年後では遅いかもしれません。
・「今の家が駅から遠く通勤時間が多くかかってしまい不便だから」
・「特に現状問題があるわけではないけれど、駅近の方が便利だから」
であるならば、もう少しタイミングを待つことも考えられます。
「目的を果たすためのタイミングがいつなのか」をまずは考えてみましょう。
買いかえ先は
「タイミングは今だ!」と思ったとしても、買いかえ先の物件が見つからなければ意味がありません。
「買いかえ先が見つかったときがタイミング」とも考えられます。
特に、買いかえ条件が厳しい場合は、じっくりと物件を選んでを探すところから始めるとタイミングが見えてくるのではないでしょうか。
年齢は
マンション買いかえのタイミングを検討するにあたり、年齢も気になるポイントではないでしょうか。
ひとつ参考になる指標があるので紹介します。
国土交通省の住宅局が公表している資料の「令和2年度住宅市場動向調査」です。
項目の中に「一次取得・二次取得別の世帯主の年齢」があり、1回目と2回目の住宅購入年齢がわかります。
一次取得では、中古を除くと30代後半が平均年齢となっています。
そして、肝心の二次取得では分譲戸建住宅は50.1歳、分譲マンションは57.7歳です。
中古の戸建てやマンションになると約55歳。
つまり、50歳を超えてから買いかえる方が多いことがわかります。お子さんの独立や定年退職などのタイミングと重なっていることが多いのかもしれませんね。
買いかえを検討している方はそれぞれ事情が異なるため、年齢は参考として考えてくださいね。
6:購入先行型(先買い)と売却先行型(先売り)の違い
マンション買いかえを行うには、2つの方法があります。
「購入先行型(先買い)」と「売却先行型(先売り)」です。
簡単に言うと以下の通りです。
- 購入先行型(先買い):新マンションを先に購入してから現マンションを売却する
- 売却先行型(先売り):現マンションを先に売却してから新マンションを購入する
それぞれにメリット・デメリットがあるので、表をご覧ください。
手段 |
メリット |
デメリット |
購入先行型(先買い) |
・時間に追われることがないので、自分が納得できるまで新マンションを探せる ・空室状態で売却に出せるので、住んでいる状態でお部屋を見せる必要がなく、内見も比較的入りやすくなる |
・売却金額が確定していないため、資金計画がたてづらい ・現マンションの売却に時間がかかる場合、二重ローン(ダブルローン)の期間が発生する可能性がある ・現マンションが売却できないと精神的にきつい |
売却先行型(先売り) |
・購入先が決まっていない為、じっくり売却できる ・現マンションの売却額が明確になるので、新マンションへの予算が精度高く立てられる |
・現マンション売却までに新マンションが見つからない場合、仮住まいを探す必要がある ・引っ越しの回数が増える場合もある ・仮住まいを嫌う場合、新居を探す時間に制限があるため、新マンション選びがおろそかになるおそれがある |
メリット・デメリットを踏まえ、「私はどちらの方が良いのかな」と考えてしまう方もいらっしゃると思います。
自分がどちらの手段が向いているのかは、以下を参考にしてみてください。
■購入先行型(先買い)がおすすめの方
- 現マンションの売却額を当てにしていない
- 時間、資金ともにゆとりがあり、新マンション探しを妥協したくない
- 住宅ローン完済済みもしくは二重ローンを組める
- 現マンションの売却条件が良い
■売却先行型(先売り)がおすすめの方
- 現マンションの売却額を新マンション購入に充てたい
- しっかりと予算を立てて新マンションを購入したい
- 住宅ローンがまだ残っている
- 自宅がご売却できるかどうかが心配
7:マンション買いかえのタイミングのポイント
最後に、マンションの買いかえタイミングを考える際のポイントを4つ紹介します。
- 無理に買いかえをしない
- ダブルローンやオーバーローンに注意する
- 経験豊富な不動産屋に相談する
- 内見時の清掃にこだわる
それぞれ重要なので、ぜひ参考にしてみてください。
無理に買いかえをしない
元も子もないかもしれませんが、無理に買いかえをしないことも重要です。
これまで紹介してきたとおり、さまざまなご事情があって買いかえのタイミングを検討されていると思います。
ご事情を加味し、しっかりと納得したうえで買いかえをするのは今後の人生にも良い影響を与えるはずです。
しかしながら、焦って無理に買いかえをした場合、以下のようなことが発生するおそれがあります。
- 理想の暮らしの立地、間取りじゃなかった
- 資金繰りがきつい
- 後に調べたら相場とかけ離れていた
買いかえを目的にせず、買いかえた後の未来を想像することをおすすめします。
ダブルローンやオーバーローンに注意する
「購入先行型(先買い)」「売却先行型(先売り)」でも少し触れましたが、「ダブルローン」や「オーバーローン」には注意しましょう。
理由は簡単で、日々の生活が苦しくなってしまうからです。
「ダブルローン」は「購入先行型(先買い)」の手段を取ったときに起こりうる状態で、新マンションと現マンションの両方のローンを支払う状態です。
やはり、新マンションと現マンション両方のローンを払うのは、一時的であってもきついと感じる方は多いです。
現マンションが売れるかわからない不安から慌ててしまい、当初の予定から大幅に提示額を下げて売却する方もいらっしゃいます。
「ダブルローン」になりそうな場合、資金に余裕を持ち、いつまでに売れなかったらいくら下げる、といった販売計画をしっかり立ててのぞみましょう。
「オーバーローン」は融資を受けて新マンションを購入する際、購入価格以上に融資を受けることを指します。
融資額が増えるということは、もちろん借入額が増えるのと同義。
無理な資金計画で、毎月の返済額が増えると生活にも響きます。
また、将来的に売却しようと検討する際に、「オーバーローン」の場合、「自宅を売却できる額がローン借入額よりも安く、手元から資金を補充しないと売れない」ことも起こり得ます。
どちらも念入りに検討する必要があるため、注意しましょう。
経験豊富な不動産会社に相談する
決して安くない売買をする以上、できるだけ損はしないで買いかえを終えたい方が大半ですよね。
その手助けをしてくれるのは経験豊富な不動産会社です。
中でも、マンション売買を得意としている不動産会社に相談するのがおすすめです。
円滑に取引を進めやすいのが最大の魅力になります。
例えば、
- 「購入先行型(先買い)」「売却先行型(先売り)」のどちらにしたら良いのか
- 売却と購入をなるべく同時期にしたい
- 仮住まいはしたくない
など、相談したいことも色々と出てくることが想定されます。
経験豊富な不動産会社であれば、相談事に関して適切なアドバイスを行えるでしょう。
とはいえ、「どこに相談したら良いかわからない」という方もいらっしゃるかと思います。
その場合、「オークラヤ住宅」にお気軽にお問合せください。
1982(昭和57)年の創業以来、累計契約数11万件以上の実績がございます。
しかしながら、不動産会社を選ぶ際には、比較検討することも重要です。
気になっている不動産会社がある場合は、無理に「オークラヤ住宅」にお問合せいただく必要はありません。
比較検討したうえで、「オークラヤ住宅」に魅力を感じてもらえたらお問合せくださいね。
内見時の印象を良くする
現マンションを売却するにあたり、購入希望者にお部屋を見せるための「内見」は付きもの。
内見のポイントとして、まずは「内見時の清掃にこだわる」ことが重要です。
自分がマンションを購入するときに置き換えるとわかりやすいはず。
例えば、以下のような状態のお部屋を内見したらどのように感じるでしょうか?
- 生活感を感じる
- 水まわりやサッシ、玄関などが汚れている
おそらく、ほとんどの方が魅力を感じないですよね。
購入希望者に魅力を感じてもらうためには、
- 生活感を減らせるように家具の配置やインテリアを工夫する
- 水まわりを始めとして、徹底的に清掃する
- 内見の時間帯を日当たりの良い時間で対応する
などが必要です。
内見時の印象はとても重要です。
印象を良くできるように工夫していきましょう。
なお、オークラヤ住宅では、内見いただいた際のイメージアップのためのサポートサービスを数多くご用意しております。
こちらもぜひご活用くださいね。
(※適用条件がございます。詳しくは下記ページをご参照ください)
8:まとめ
当コラムでは、マンション買いかえのタイミングについて7つの側面から紹介しました。
- 季節要因と買いかえのタイミング
- 自宅マンション築年数と買いかえのタイミング
- 市況と買いかえのタイミング
- 住宅ローンと買いかえのタイミング
- 「買いかえ事情」と買いかえのタイミング
- 先行購入と先行売却の違い
- マンション買いかえタイミングのポイント4つ
買いかえの事情が人それぞれである以上、お買いか替えのベストなタイミングもその人ごとの「良いタイミング」があります。
まずは、ご自分の事情と照らし合わせた「良いタイミング」を模索しましょう。
そのうえで、「今が良いタイミングかもしれないな」と感じた方は、現マンションの売却価格を知ることから始めましょう。
そのためには査定が必須ですが、もちろん現マンションを絶対売却する必要はありません。
気軽にマンション査定をしてみてくださいね。
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